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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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新王と市民軍 王都灰燼 11

 王城の広場に傭兵を含めた兵が並ぶ。

 ざっと見て1万あたり。

 恩赦もあるよと、囚人たちもかき集めた混成軍だ。

 王都の中で、暴徒と化してる集団の鎮圧が目的だけど――これは未だ実験に過ぎない。


 王の手となった、へドン卿の最初の事業は王都掌握である。

 コンバートル全土をまとめ上げるには、ここが試金石となるわけで。

 重要な戦いのひとつ。

 頼りない王は宣言する。

『王都の民は、余が、余の軍隊が守るであろう』

 と。


 手始めに――叛徒と化したただの暴徒を“反乱軍”或いは“市民軍”と呼び、鎮圧すると宣った。



「それは、包帯と、軽装の革鎧で身を包み、金色に輝く片目のみ覗かせて――深々とフードを被ってはいたけども...私の鼻は今でも覚えている。鼻先をかすかに擽る甘い匂いと、黒い長髪の女だったと...その者の忌み名を“金色のサイクロプス”といって、睨まれた者は塵にされるという化け物だ」

 ヒルダさんみたいに、ブロードソード1本で、城壁破壊する人に言われたくはない。

 あたしは...いや、あたしの細腕で。

 そんな事したならば、壁に弾かれ、刃こぼれ程度じゃすまないし。

 良くて獲物が真後ろに跳ぶか、

 或いはその場でぽっきり折れるだろう。


 技と、力で城壁壊す人の方を、

 他人ひとは、畏怖と敬意をこめて“化け物”だというんだよ。

 いっとくが、あたしじゃない。

「そ、それ..女、だったの?!」

 都市伝説じゃあ蛇の仲間みたいに言われてる。

 ってことで、リザードマンやドラゴニュートの皆さんに、とんだご迷惑をかけた。

「包帯で露出するところは覆われてるけど、あれが鱗持ちって事はないだろう。対峙して分かったことは、相当な場数を踏んでいるって事だ。帝国式の斬撃を()()っていう物理的な事象で封じられたしな。しかも、臆することなく立ち塞がれた」

 ヒルダの言葉を後輩が遮る。

「ちょっと飛ばし過ぎ! ニアミスって言ってたよね?」


「あ、ああ」

 あたしは、あの暗殺しごとの時は――

 城塞が背にしている崖の上に居た。

 “金色のサイクロプス”は魔法を使わない制約を誓わされてるから、城塞へのアプローチが限られてた――正面の城壁と、空堀には多くの敵兵とで常時対立してて、昼夜問わずに多くの見張りがあった。城塞の取り合いだからこそ、平時にはない有事なりの緊張感がそこにあって...。

 でもね、ヒルダさんがその緊張感ってのを台無しにしてくれたんだわ。

「正面じゃないけど、城塞のわき腹にあたる部分を吹き飛ばし侵入。ま、結局、そこから対立してた兵団が入ってきちゃったんで...彼らに感謝されちゃったんだわ」


「何してんの、あんたは!!」


「いやあ」

 頭掻いてるけど、本当に何してくれてんだって話だ。

 ったく、この災害ディザスター娘が。



「えっと...リストはないって言ってたけど」

 敵意を探るホスティリティ・サーチを使用する。

 これはスキル使用で魔法じゃない。

 で、しかもすっごい精度が低い。


 使うとだねえ...


 あっちこっちから、

 敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意敵意...


 ってのが飛び込んできて、頭が痛くなる。

 んで、あたしは吐く。

 制度が悪い理由のもう一つが、誰に向けられたものかが分からない。

 通常、これにセンス・エネミーってのを載せるんだわ。


 敵意は緩和され、あたしの敵になり得るものが炙り出されるんだけども...

 これも精度がイマイチ...

 だって、ミロムとヒルダが検出されたんだもの。

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