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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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新王と市民軍 王都灰燼 9

 大使館を狙撃できる屋根にこぶが一つ。

 足場は不安定だけど、石弓を抱えるように構えれば。

 たとえ不安定であっても、踏ん張りは効く。


 それでも長射程ともなれば、反動は大きいし。

 矢は山なりの曲射弾道を描く。

 そんな針孔の射撃となれば、寸分でも集中を乱されたら、たちまち明後日の方へ飛ぶだろう。

 或いは、態勢でも崩して落ちてくれるかもしれない。


 いや、それは達人に対して失礼な考え。

 体勢を崩したとしても、そこから即座に計算しなおして()()(達人には)簡単な方法で標的を射抜くに決まっている。

 暗殺者の世界はとてもシビアで、技量を問われる狭き世界。

 どんな状況下でも“()()”の二文字が赦されないもの。

 かくいう、あたしだって神の賽が悪い目を出したのなら、絶対に引き受けないものだし。

 そんだけ評判を気にする職業だったりする。



 ヒルダがあたしの水やり場を眺めつつ、

「そういえば、暗殺界隈こっちの業界で()()()凄腕の狩人ハンターがいたっけね。依頼に失敗した者の言い訳くらいにしか思っていなかったんだけど...都市伝説じゃないと分かると、今までの事案ケースが見直されるようになったもんさ」


「例えば?」

 食いつくのは後輩と、ミロム。

 海兵隊と聖堂騎士の合流は出来たけど、結局のところ脱出のめどが立ってない。

 もっというと、あたしが行く不明なため立往生みたに、な。


 あたしが原因かよ!?


「とある公国が山賊を装って、戦争の口実っての...ま、端的に言うと国宝の何某ってのが贈られることになってた――」

 ミロムは、頷きながら。

「それを山賊が襲うと!」


「凄腕の傭兵5人と盗賊ギルドから、暗殺をも兼務するスカウト数名が送り込まれた。単純に考えれば護衛する兵力の前に幾ら数を揃えようとも、太刀打出来るはずもないんだけど。それら傭兵は、リーズ王国兵にも匹敵するような才能があったとか」

 ミロムは、紅の修道女に向き直ると...

 腕をぶんぶん降って、

「あ、こ、こっちの国は何もしてないから!!」


「そう。ミロムんとこの士官先くには無実。リーズ王国式の傭兵教育は有名で、国軍の兵質向上なんかに役立つって理由で、他国に講師を派遣するほどのもの。ま、本家に匹敵するというのは、傭兵を斡旋したギルドの言い訳だと思うけども...国宝警備隊の()()()()によって計画は阻まれてしまった」

 ほ~って声が海兵隊から上がる。

 噂には聞くけど、業界の話は兵隊さんには別の世界線でしかない。

 もっとも、後輩とミロムも口が空いてた。

「そのままだと、口の中に虫が入るよ?」


「その生き残りは...」


「もちろん、対抗で雇われてた狩人ハンターの方。獲物は、ショートソードに棒ナイフ...ただし尋常ならざる数の武器を所持してて、極めつけに組み立て式の複合短弓ってのを使うって話」

 ショートソードは、刀身40センチメートル超のものを使用。

 見る者によっては一刀であったり、二刀であったりするという。

 この点から両手利きである可能性がある。


 腰ベルト、ブーツの仕込み、腕の皮革リストとか懐の中からも、棒ナイフ或いは棒クナイと呼ばれる五寸釘の親玉みたいなのを隠し持っているという。かつては()()()という暗器の類だったようだけど、狩人ハンターが多用するようになると。

 真似をする暗殺者も出始めた。

 厄介なことに成りすますものが出てきた。

「めっちゃ迷惑」


「あ、うん...でも、大概はなんちゃってだから」

 対峙すると偽物だと分かる。

 狩人の決定的な特徴は、片目だけ覆っていないという。

 覆面の何某っぽい中二病を患ってるような雰囲気で、金色の光彩を放つ怪しい目を持っているという。

 噂だと、魔眼だとか。


 はあ、そうなんだあ~

 こっちはドライアイになるから、やりたくないだけなんだけど。

 碧眼のハイエナの旦那が、

『馬鹿野郎! かっこいいからトレードマークにするんだよ!!!』

 って聞かなかったもんで。

 仕方なく、バ〇ス食らったム〇カみたいに堪えながら、瞬きもせずに決めポーズ取ってたわけで。

 いや、そんな話になってるとはねえ。

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