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死へと誘う転生令嬢  作者: ✰✰✰死語遣いのサンシロウ✰✰✰
イルドアラン編
95/102

True or Lie

 雨声が絶えず鳴り響く戦場と化した街。

 隻腕の狙撃手は左脇に長銃を挟み、手榴弾へと姿を変えたリンゴを、狙撃手が潜んで居そうな場所へ手当たり次第に投げ込んでいく。

 短パンの両ポケットから忙しなくそれを取り出し続けるカガチ。

 投げ込まれた物体を目撃した軍人達は、慌てふためき姿を屋根から晒す者が続出する。

 やっと訪れた混乱の中、比較的近くに場所を構えていた軍人の頭部を、脇に挟んでいた狙撃銃で撃ち抜いていく彼女。

 血しぶきを上げて地上へと倒れ込んでくる死体に駆け寄ると、彼女はそれを脇道まで引きずっていく。


「うっしゃ!! えぇ~と……おっ!! 弾持ってんなぁ~それに……本物の手榴弾もあんじゃん!! さぁて……面白くなってきたなぁ!!」


 路地に落ちていた石ころを拾い、剥ぎ取った手榴弾と同じ形に変えるカガチ。

 本物の手榴弾から安全ピンを抜き取ると、再度表道に姿を晒し、民家の屋根へ本物と偽物両方を投げ込んでいく。

 また偽物だと早まった判断を行う少数の軍人。

 軽率な判断行う彼らの行為は、自らの命を容易く危険に晒すことに等しく、本物の爆撃による衝撃を自分の体で受け止めることになる。


「はっ……はっ……!! 人数差はあったけどよ……案外いけそうか? テメェら軍人も大したことねぇ……ぐあっ!?」


 戦場を駆け抜ける片腕のスナイパーの右肩を貫いていく弾丸。

 思わず銃を落としたカガチは慌てて拾い上げると、後方でコチラに狙いを定めている、妙に色気のある中年男性と、瞼の重い女性の姿を目撃する。

 

「あの妙に雰囲気のあるのオッサン……ローズの言ってたザクロって奴じゃ? ……やっべっ!!」


 飛び込むようにして民家の物陰に姿を隠していく彼女。

 肌を泥水で汚しながら火傷しそうな熱を発する右肩を、切り取られて半分ほどしかない左腕で押さえると、深く息を吐き呼吸を整えるカガチ。

 一息つくと、痛みが引かないまま路地を壁沿いに進んで逃亡を図っていく。


「……糞痛ぇなっ!! 姿を見られたってことは……当然言葉は使ってるよな? 基地から逃げてる時に見た弾丸の軌道……確か直角には曲がらなかったよな? 必中つっても曲線にしか追尾して来ないなら、いくらでも逃げ方はあるな……こうやって射線を切って行けば……」


「逃げれると思ってるだろうね、彼女」


「Yes、甘いです……ねっ!!」


 カガチが逃げている路地の上空へ、距離が疎らになるように石ころを投げつけるカンナ。

 その横で狙撃銃を構え続けるザクロは、空を舞っている石ころへ言葉を使うと引き金を引いていく。

 距離の近い石ころに誘導されるように、鉄の塊は連鎖的に進路を変え続け、本来では有り得ない山なりの軌道で、上空からカガチの左肩を抉っていく。


「あ"ぁ"!? んだよコレっ!? 肩ばっか狙ってんじゃねぇよ糞がぁぁぁぁ!!」


「……当たったね」


「Yes、野太い声を遠方で確認。このまま続けますか?」


「う~ん……それも良いけど……何処に当たるか分からないし、辞めようか。ちょっと僕に考えがあるからそれに従ってねカンナ君」


「Yes、それで……考えとは……?」


「ちょっと博打を打って来るよ」


ー------------------------------

 

 民家の扉を突き破り、室内に姿を隠すカガチ。

 両肩を撃ち抜かれた彼女は、震える両腕で狙撃銃をその場で構えてみるが、激痛によりまともに照準を合わせることが出来なくなっている。


「……はぁ~……ド畜生がぁぁ……!! やってらんねぇよ……どうすっか。もうこのまま待ってようかな……それでどうにかなんだ……」


 安堵についていた彼女の全身が大きく揺れる。

 港の方角から凄まじい轟音と共に、地面が振動している。

 ローズの身に何かあったのか?

 考えを巡らせていると、今度は爆発のような落雷が、タクスス達が逃げた方角から聞こえて来た。


「……アイツら無事だよなっ!? ちっ!! ……アタシも……腹くくろうかね」


 民家の2階へと移動したカガチは、室内に置いてあったビー玉のようなガラスの塊を、ポケットへ仕舞い込んでいく。

 十分な量を確保するとそのまま窓を叩き割り、外へ数個のビー玉をばら撒く。

 それらの物体をカガチと同じ姿に変化させ、周囲の視線を誘導させた隙に、屋根の上へと登っていく彼女。

 続けざまに少量のビー玉をばら撒くと、外見が石造りのような壁に変化させ、カガチの姿を周囲から見えにくくする。

 

「『化けろ』!! ……時間との勝負だな。タダのハッタリの壁だしなぁコレ」


 短い左腕で銃の先台部分を支え、視界に入った軍人から即座に頭部を撃ち抜いていくカガチ。

 弾の装填をする前にビー玉をばら撒き、視界を遮る壁を作り出すと、そこへ移動し銃に弾を込めていく。


「次次々っ!! 腕が1本しかないのはキツイな本当っ!! もう慣れたけど……っ!?」


 カガチが身を潜める仮初の壁に、無造作に放たれる弾丸。

 石のような壁はあっさりと砕け散り、カガチの頬を掠めていく。


「……やっべぇ。速攻でバレたなこりゃ」

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