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死へと誘う転生令嬢  作者: ✰✰✰死語遣いのサンシロウ✰✰✰
イルドアラン編
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危険な香り

 耳を疑う提案を聞いた4人。 

 何事もないまま帰って欲しかった彼女達は、面倒なことになりそうだと頭を抱えている。


「……あの、急に何を」


「んだよ、アタシが仲間になるんだぜ? 素直に喜べよっ!?」


「これはこれは、大変お花畑な脳味噌で……羨ましい限りですねぇ」


「あ"ぁ"!?」


「どこの誰か分からない奴と同行するなんて、危険極まりないですよ。そんな事例はこの赤いので十分です」


「なんでこっちを見るんだよぉ。僕の事が嫌いなのローズ?」


「大方探すのを手伝えとかそんな所でしょう。コルスとか言う男はアナタが自分で探しなさい。こっちは先を急いでいるのでねぇ」


「……の割には、宿で休んでいるんだな」


「はいはい、休息は大事なので。それが何か」


「いやよ、誰かに追われているにしては、随分悠長だなぁって思ったんだわ」


「はてはて?」


「惚けんなよヤニカス。テメェらが死に物狂いで逃げてんのはちゃんと見てたぜ? そうだな……仲間にしてくれんなら、暫く匿ってやることも可能だが?」


「これはこれはお気遣いいただきありがとうございます。ですが心配ご無用で……」


「誰か居ないか!? 少し聞きたいことがあるんだが」


 ローズとカガチの小競り合いが繰り広げられる中、宿の入口から男性の声が聞こえてくる。

 会話を切り上げ、壁に耳をつけ、会話の様子を探るローズ。

 内容を聞けば聞くほど、彼女の表情が険しくなっていった。


「……これはこれは、軍人ですねぇ」


「……え?」


「参りましたねぇ……こんなに早く追いつかれるとは。あの髭を相手にするのは本当に面倒なことで」


「おっ!? 何だテメェら、軍人から逃げてんのか。よっぽど悪い事したんだなっ!! んでどうする? 提案を受ける気にはなったか!?」


 げんなりしているタクスス達とは対照的に、カラッとした笑顔を見せるカガチ。

 ため息を吐く彼女達は、しぶしぶ新たな仲間を迎え入れるのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ここだここ。狭いけど文句言うなよ?」


 日はとっくに暮れ、人々が寝静まる時間。

 宿を出発したタクスス達は、街中をうろつく軍人の目から逃れるように、山の中にひっそりと佇む小屋の前まで移動していた。

 ドアの鍵を施錠していくカガチは、タクスス達を中へ招き入れる。

 室内には狩りで使用する猟銃や獣の皮、狩ってきたばかりの獣の生肉が無造作に置かれていた。


「じゃ~ん!! どうだ!? 感想をどうぞっ!!」


「……なんか臭いです」


「獣臭ですねぇ」


「部屋が汚いよ」


「汚物なんだよぉ!!」


「うるせぇ死ねぇ!!」


「ぎゃぁぁぁぁ!?」


 感想を正直に伝えたタクスス達。

 機嫌を損ねたカガチの右手の拳が、アムネシアの顔面へと振り抜かれる。

 血を吐きながら壁へと叩きつけられるアムネシア。

 その勢いの良さに、流石に心配になったシャガは彼女に駆け寄る。

 殴り足りないカガチは追い打ちを掛けに行くが、間にシャガが割って入り、今以上の暴行は受けずにいた。


「……煩い……凄く」


「ですねぇ……始めは私とタクススの2人だけだったのに、こうも人が増えるとは……」


「……まあ、もう慣れましたけどね」


「ですです。さあ、今は休息の時間に当てましょう」


 散らかった部屋から物を搔き分け、寝床の確保を行うタクスス達。 

 空いたスペースに腰を下ろし、彼女達は使い込まれた木製のテーブルを囲っていく。


「テメェら、ちょと待ってな~!! 飯を持って来るからよ」


 台所へと移動したカガチは、作り置きの鍋を温め直すとタクスス達の元へと運んできた。

 湯気が立ち込めるそれは、新鮮な野菜や狩りたての獣肉が入っており、山の幸がふんだんに使われていた。


「……美味しそう」


「だろぉ~? 遠慮せず食えよ」


「アナタ、料理が出来るのですねぇ~その風貌で」


「あぁ!? どういう意味だよ!!」


「さぁ? どういう意味でしょうねぇ」


「……俺、この味好きかも」


「おお、ガキは素直だなオイ!! テメェらも見習えよ」


「う~ん、パンとかないの? 物足りないんだよぉ」


「……テメェはさ、遠慮って言葉知ってるか? だからそんなだるんだるんの体してんだよ!!」


「はぁ!? 心外なんだよぉ!! 脳殺ボディって言うんだよぉ!!」


「……えっとカガチさん、それは気にしなくていいので、幾つか話したいことがあります」


「あん?」


「……私達は対国のエレーケスに向かっているんですよ。港町のブリダンから船に乗って。無駄足になるかもしれないんですけど大丈夫ですか?」


「エレーケス? あー……心配ねぇ。コルスの野郎もそこが出身だって話してた気がするからよ。探すならそこかなとは思ってたんだ」


「……あの人が向こうの出身」


「ああ。偶にこっちに来て、人を攫って売ってるんだとよ。テメェらよく遭遇できたよな」


「……偶然ですよ」


「軍隊には目を付けられてるし運が良いよな。その……悪運? 今は発揮するんじゃねぇぞ」


「……なぜですか?」


「最近よ、この周辺で殺人事件が起きてんだわ。移動する時に遭遇したら面倒だろ?」

 

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