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死へと誘う転生令嬢  作者: ✰✰✰死語遣いのサンシロウ✰✰✰
イルドアラン編
55/102

泡沫は潰える

「モンテラねぇ~何かあったけ? あそこド田舎じゃん」


「……」


「たっく……人使い荒いよな~アウレラの次はモンテラに向かえってさ」


「……プロテア大佐、怪我は大丈夫なんですか?」


「あぁ? まぁー……多分?」


 かつて盗人と共に共存してきたあの街で、山賊の姿を見かけるものは、今後2度と現れないだろう。

 アウレラで山賊達を捕らえた後、軍へ身柄を護送し、そのままの足で移動してきたプロテアとテッセン。

 額が覆い隠されるように包帯が巻かれた伊達男は、時間潰しがてらに、運転席に座る部下と他愛もない話をしている。


「不甲斐ないな。たるんどる」


「んだよアヤメ~? 相手が相手だぞ。つーか、乗せて貰ってるのに何だよその態度!!」


「ふっ、本当の事を言ったまでだ!! 今度鍛え直してやろうか?」


「御免だねっ!! 休日まで体を動かしたくないっつーの!!」


 現在、車内にいるのはプロテアやテッセンだけではない。

 軍の本部で合流したアヤメとカタバミも一緒だ。

 現在彼らは、目的の場所であるモンテラへと向かっていた。


「はいはいっ!! プロテア大佐!! 質問です!!」


「あん? 何だよカタバミちゃん」


「プロテア大佐は軍でも屈指の強者!! ですよね!?」


「んだよ急に……照れちゃうなオイ」


「カタバミ、コイツを変に煽てるな」


「えぇ~? でも本当の事じゃないですか。そんな大佐に大怪我を負わせた奴て、どんな奴だったんですか!?」


「あぁ? あぁー……」


「カタバミ、辞めろ」


「お気遣いなく、アヤメ様っと……んでカタバミちゃん、クシノヤって人知ってるか?」


「んん? ……聞いたことがあるような?」


「元軍人で俺達の先輩……アナベルさんと同期の人だよ。その人だ」


「あれ? 大佐って確か山賊を捕まえに行ってたような……まさか!!」


「そのまさかだよ。俺もビビったわ……山賊のリーダーがクシノヤさんだった時はな」


「……それで今は何処に? 軍の獄舎ですか?」


「いいや……あの人はもうこの世に居ない。火葬しといたからな」


 プロテアの寂しそうな表情を見て、会話の内容が不味かったと悟るカタバミ。

 どうこの場を取り繕うかあたふたしていると、それに気づいたプロテアは涼しい顔でなだめる。


「い~よ、い~よお気遣いなく。アヤメと違って素直で良い子だよな~カタバミちゃん……いって!?」


「一言多いんだよ、貴様」


 傷の癒えていない頭部を叩くアヤメ。

 じゃれ合う2人を背に、車の運転手テッセンと助手席に座るカタバミは、周囲に気を配りながら真昼の山道を進んで行くのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 タクスス達がモンテラを出発して2日後。

 羽毛の様に真っ白な軍服を纏う彼らが、モンテラの地に辿り着いた。

 

「……なんもねぇな、本当」


「今回の現場は新興宗教の本部……情報によれば、そこで大量虐殺があったらしいです、プロテア大佐」


「んだそりゃ? 仲間割れでもしたのか?」


「さぁ……? 行ってみれば分かるんじゃないですかね」


「了解了解。おう、アヤメ!! そっちは任せたぞ」


「言われるまでもない。行くぞカタバミ」


「了解っ!!」


 元気よく返事をするカタバミ。

 彼女達は街の様子を探るため、別行動をとることになった。

 煙草を吹かせるリーダーを筆頭に、教会へと歩くプロテア達の部隊。

 そんな行列を、怯えた目をして住民は見つめていた。


「……何か目立ってますね」


「そりゃ~なぁ~……こんなぞろぞろと軍人が来てみろよ。嫌でも目立つわな。んで……何だっけ……キルムーチョムナムナ? その団体の本部がここなの? テッセンちゃん」


「恐らく……」


「へぇー……金持ってんな。教祖様って貴族か?」


「ですかね」


「了解了解っと……お前ら、早速調査するぞ」


 情報交換を行っていると、厳格な造りが見る者を驚愕させる、キルムーチョムナムナの総本山へと到達していた。

 立派な造りに関心している部下たちを他所に、プロテアは各々に指示を飛ばす。

 教会内部の探索、内部に集まっていた信者達への事情徴収などなど……

 数時間の調査を終え、散らばったピースを集めていくと、次第に事態の全容が見えてきた彼ら。

 アヤメ達と街の広場で合流すると、持ち寄った情報を元に考察を始める。


「ただの仲間割れみてーだな。信者達の話によれば、首謀者は教祖のムナムナらしーぜ」


「こちらも概ね、貴様たちと同じだ。信者達を洗脳し、自分に従わない奴らを殺させたと言っていたな。今いる信者達は、運良く生き延びた連中みたいだ」


「どんな凶悪事件かと思ったら……ただの内輪揉めとはな? 教祖はその時に殺されて、骨まで塵になったんだと……」


「皆さ~ん!! ちょっと良いですか!?」


「んだよカタバミちゃん!! 今さ、俺が気持ちよく〆ようとしてたのによ!?」


「どうしたカタバミ? 向こうで何かあったのか?」


「いやですね……信者に聞き込み調査をしていたら、その子供が興味深い事を言っていたんですよ」


「あぁん?」


「どうもですね……ローズさんがこの街に来ていたかもしれないんですよ」

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