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死へと誘う転生令嬢  作者: ✰✰✰死語遣いのサンシロウ✰✰✰
イルドアラン編
47/102

みんな一緒にパパ―リン

 タクスス達が進入するよりも一足先に、裏口から潜入したシャガとアムネシア。

 物陰に身を隠し警戒しながら、お目当ての場所を探して回る2人。

 先頭を進むシャガは、ローズから与えられた役割通り、周囲にある細工を施していく。

 ズボンのポケットから取り出した丈夫な黒い紐を、至る所に巻き付けていく彼。

 暗闇に紛れる蜘蛛の巣は、獲物が懸かるのを今か今かと待ち侘びている。

 

「う~ん……」


「何だよ、どうかしたの?」


「……何かショボいのさ」


「仕方がないだろ、資材が準備出来なかったんだし……ってか、派手な仕掛けは時間がかかるんだよ。その間に見つかったら大変だろ?」


「ん? 誰だお前ら!! こんな時間に何をしている!!」


「そうそうこんな感じで……えぇ!?」


「早速見つかったんだよぉ!!」


 偶然信者と鉢合わせした2人。

 あまりに唐突だったため、反応するのがいつもより遅れてしまった。


「……ぐっ!? 足に何かが……誰かに知らせないと!! だ……!?」


 直ぐに増援を呼ぼうとした信者の男性。

 声が喉から出る寸前の所で動きを止めたシャガは、小柄な体を巣と巣の間にねじ込むながら接近すると、背後へと回り頭蓋骨を固めていく。

 ゆでだこの様に顔を赤くした男性は、暫くすると力なくその場に倒れ込んでいった。


「あ、あっぶねぇ……」


「間一髪なんだよぉ」


「どうしよう……その辺の部屋にぶち込んでおこっかな……そっちの両足は任せたよ」


「うぇ……力仕事は苦手なんだよ……」


 遅れて追いついたアムネシア。

 渋々頼みを承諾した彼女は、シャガと協力して使われていなさそうな部屋へと気絶した信者を運んでいく。

 物置部屋のような場所に辿り着いた彼ら。

 証拠隠滅のため、埃が積もったクローゼットへ詰め込む前に、可能な限り身体を拘束するシャガ。

 今回が初めてではないような手捌きで、男を簀巻きにしていく。


「これで大丈夫かな? 念のため口も塞いでっと……ん? これって……」


「手慣れてるね、シャガは」


「ん? ……まあね。よし、こんなもんでしょ」


「ふふん!! 一見落着なのさ!!」


「……」


「ん? 何だよ、不満そうな顔をして」


「アムネシアさん、アンタの仕事がまだなんだけど……」


「……ああ、記憶を覗けってね。了解なんだよぉ!!」


 シャガから促されるまま、気絶する男の記憶を探り始めるアムネシア。

 教祖の部屋が何処にあるのか知りたかったのだが、どうもこの人物は入信して日が浅いらしく、めぼしい情報を得ることが出来なかった。

 他人の記憶を覗いていたアムネシアは、両手をひらひらと動かしコチラにて訴えかけている。


「外れだよぉ」


「はぁ……そう上手くはいかないか」


「そもそもさ~本当に教祖の部屋に、加工前の会員証があるのかい?」


「さあ……行ってみないと分からないよ」


 先が思いやられているシャガは、この教会に来る前の事を思い出している。

 ここに向かうことを決意したあの時、ある確認を行うため、その辺を歩いていた信者を拉致し、会員証がどんな物かの確認をしていた。

 最悪代用出来れば、わざわざ教会を訪ねる必要が無くなるからだ。

 顔を近づけて中を覗く4人。

 一通りの情報に目を通すと、タクスス達が抱いた感情は落胆であった。

 懐から取り出した会員証らしき黒い手帳のような物には、生年月日から名前、発行部数や証明写真などの、誤魔化しが効かない情報が載っていた。

 何をどうやっても、改竄不可能だと悟ったタクスス達は、重たい足を無理やり動かし、この教会にやって来ていたのである。


「面倒くさいなぁー……」


「むぅ……こそこそせずに正面から堂々と貰いに行けば良いのに……僕達に会員証をよこすんだぉ!! ってな感じで」


「辞めた方が良いよ」


「何で?」


「……昼間、何が行われていたのか知らないんだったね……俺の勘なんだけどさ、ここの教団相当ヤバいよ」


「……はぁ?」


「あそこまで陶酔しちゃった信者がわんさかいる集団ってさ、どう考えても普通じゃないんだよね」


「そんな酷いの?」


「うん、脳味噌が溶けてるねアレ……思考力が著しく低下している……何処かで見た症状だよ。俺達山賊が売りさばいていた薬物と似たような症状だったね」


「山賊……? あー……ローズの記憶でそんなの見たような気がするんだよぉ」


「……俺達さ、こんな連中に売った覚えはないんだよね。貴族に売りつけて金を巻き上げる方針だったから」


「それもローズの記憶で見たんだよぉ。義賊だって言われてたんだよぉ」


「まあ、その通りなんだけど……でさ、問題が1個あるんだよね」


「……何処で手に入れたか?」


「そうそう。他の貴族に売りつけた薬物を売って貰ったと思うんだけどね……そんなコネが普通の教団にあると思うかな? となると……」


「貴族かそれに近しい身分の人間が運営している宗教団体ってことなんだよぉ!!」


「……そう考えちゃうよね」

 

 信者の男を簀巻きにしている際に偶然発見した、透明なビニール内に入った白い粉末。

 それを見て、今まで抱いていた疑問が確証に代わって行くシャガ。

 どうやら今回の相手は、相当質の悪い相手であると頭を抱えるのであった。

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