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死へと誘う転生令嬢  作者: ✰✰✰死語遣いのサンシロウ✰✰✰
イルドアラン編
45/102

包囲網

 やりたい放題の暴走機関車は、誰にも止められない。

 火の粉が降りかかるにも関わらず、碌な対策が出来ない。

 そんな出来事に遭遇したら、一体どうすればいいのだろうか。

 答えを探し求める3人は、先行していたアムネシアの元に追いついた。

 早々と到着していた彼女は、やっと来たのかと言わんばかりの不満げな態度をとっている。


「むぅ~!! 遅いんだよぉ!!」


「なぜ私達がアナタの都合に合わせなければいけないのですか……」


「それよりも!! この少女の母親が、宗教にドはまりして大変なんだよぉ!!」


「……本当? この真っ赤で煩い人に言わされてない……?」


「ねえねえタクスス、君は僕に当たりが強くないかい?」

 

 息が整わないまま膝を曲げ、少女と目線を合わせるタクスス。

 アムネシアに何か酷い行いをされたのではないかと心配そうにしている。

 会話を聞いていたローズは、微かな違和感を材料に話に混ざってきた。


「ちょっとちょっと……アナタ、もしかしてこの少女の記憶を覗きました?」


「当たり前だよぉ!! 話を聞くよりもそっちの方が簡単かつ確実だから……ぎゃぁぁぁぁ!? 殴られたよぉ!!」


「本当にデリカシーが無いですねぇ……むやみにあの言葉を使ったら、今度こそ灼き殺しますよ……?」


「ひぃぃ!? 肝に銘じるんだよぉ!!」


「……それで、今の話は本当なの……?」


 騒がしい2人を置いておいて、本題を切り出すタクスス。

 咽び泣く少女は、言葉が途切れ途切れになりながらも口を動かし始める。


「お、おか、お母さんが……あの、教会に、また……うぅ……」


「あ、通訳するとね~……家計が苦しくなったからさ、藁にもすがる思いで助けを求めたら~……宗教にドはまりして泥沼に……痛い痛い痛い!! もう喋らない!! だから関節を極めるのを辞めるんだよぉぉぉぉ!!」


「……本当に煩いなぁ……それで、今お母さんはあの……えー……キルムーチョムナムナだっけ? その本部に向かってるの?」


「……」


 声が出ないほど涙を流す少女は、タクススの言葉に頷くことで返事をする。

 事情を聞き終えた4人は、少女の家から離れた小路地へと場所を移した。

 このまま宿探しをしたかったのだが、1人それを許さない人間がいる。

 アムネシアだ。

 宗教団体の本拠地へ乗り込む気満々の彼女は、目を輝かせながら3人に提案する。

 

「みんな、我輩が言いたいことは分かっているね!?」


「……嫌です」


「タクススは何かを勘違いしているね!! 我輩は人助けをしたいんだよぉ!!」


「……どうせ好奇心でしょ、アナタの動機は……」


「俺もタクススお姉さんに賛成。助ける義理が無いよね」


「そういう事です、アムネシア。理解したのなら大人しくしなさい」


「くぅ……」


 冷たい視線を浴びせ続けられたアムネシア。

 燃える探究心は、すっかり下火になってしまった。

 ……やっと大人しくなったなコイツ。

 胸を撫で下ろした3人は、珍しく気持ちが一致する。

 早く宿を借りてアレをどうするか決めよう。

 厄介な粗大ゴミの処分に困るタクスス達は、近くの宿へ辿り着くと、受付を済ませるために定員らしき白い修道服を来た女性に声を掛ける。

 

「……あの、受付お願いできますか……?」


「はいはい……会員証を見せてね」


「……会員証?」


「キルムーチョムナムナの会員証ですよ。信者なら誰でも持っているアレですよ」


「……いや、私達この街に今日来たので、そんなもの持っていないのですが……」


「あらそう? じゃあ、料金は10倍払ってね」


「……じゅっ!?」


「あったりまえじゃない~!! この宿は信者の為の施設なのよ? 払えないならお断りだよ~」


 宿の外へと追い出されたタクスス達。

 釈然としない対応を受け、首を傾げている。

 意地悪にしては彼女の言葉から悪意が感じられなかった。

 その対応をするのが当然だったように。

 あの店だけなのだろうか。

 試しに他の店にも出向いてみる4人だったが、結局満足するような結果が得られることはなかった。

 法外な値段を払えるわけもなく、無慈悲に今夜の宿泊先が決定した彼女達。

 街の外で野宿に適した場所を見つけるため、急遽行き先を変更する。

 半日も滞在していない奇妙な街に別れを告げようとした時だ。

 数人の警備兵のに呼び止められた。

 ……嫌な予感がする。

 と言うのも、警備を務める人物達の服装が、今まで散々見てきたあの服装だからだ。

 

「君達、何処へ行くの? 街を出るには、キルムーチョムナムナの会員証が必要だよ?」


 ああそうか。

 そういうことだったのか。

 この街の異質さにやっと気が付いた面々は、僅かに目を細める。

 ……どうやらいつの間にか、この街に閉じ込められたようだ。

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