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13.リリシェラのひとりごと

 あの事故のあと、私、リリシェラはこの世界に生まれた。


 そして疑問を持った。


 私はなんで理紗の記憶を持ったまま生まれたんだろう。


 新しい生活も悪くは無いのだが、大好きだった前の家族の事を思い出しては、悲しさが募り、自然と涙がこぼれた。私が泣く姿を見て、両親は慰めようとしてくれたが、私の寂しさが埋められることは無かった。

 一緒に事故に遭ったお兄ちゃんは、無事だったんだろうか。最後にお兄ちゃんの声が聞こえたから、多分生きているんだろう。

 そう思って生きてきた。


 隣のユーキアはいいやつで、私が昔を思い出して泣いていると、いつも慰めてくれた。その優しさが、どこか懐かしかった。

 そう感じていた。あの時までは。


 彼が同時に死んだお兄ちゃんだったと知るまでは。

 事実を知った瞬間、驚き、悲しみ、喜び、色々な感情が入り混じった。お兄ちゃんが一緒に死んでしまったのは残念ではあるけれど、側に居たんだ、という事実が嬉しかった。そしてその安心感を得てから、私は泣かなくなった。


 けれど、今度は兄妹じゃない。

 前世では家に帰れば、毎日お兄ちゃんと顔を合わせていた。でも今度は違う家庭。一緒に過ごす時間は減った。言い様の無い寂しさが有る。でも、ひとつだけ良かったことがある。


 お兄ちゃんと結婚できる!


 外見もそうだけれど、お兄ちゃんの優しい性格が大好き。何を隠そう、私は隠れブラコンだったのだ。

 お兄ちゃんには分からないようにしていたので、多分気付かれていなかったとは思う。

 寄って来る女どもを蹴散らし、お兄ちゃんを守るのが私の日課だった。

 ミリちゃんは仲の良い友達だけれど、反面、お兄ちゃんを狙う強敵だった。彼女が引っ越して居なくなったのは寂しかったが、敵が居なくなってほっとした、という気持ちもあった。

 そして事故に遭ったあの日は、お兄ちゃんと二人きりでデート、という私にとってのご褒美デーだったんだけどね。


 今世のユーキアの姿は前世のお兄ちゃんと似ていて、バッチリ私の好み。中身はお兄ちゃん。

 最高じゃん!


 とはいえ、安い女に見せてはいけない。……んじゃなくって、隠れブラコンだったから、アプローチの仕方とか分からないんだよね。男共に告白された事は何回も有ったけど、他の男に興味が無かったから全部断ったし、自分から誰かにアプローチした経験も無いし。

 容赦なくベタベタするミリちゃんに敵対心燃やしてたのは、嫉妬というか羨ましさというか、そういったものが根本にある。

 まあ、お兄ちゃんにしてみれば、私もミリちゃんもただの妹としてしか見てなかったっぽいんだけどね。

 だから私は今、出来る限りの手を尽くさなければいけない。


 ミューリナが現れた時には、キスをしておいた。……頬だけど。

 学舎の皆には婚約者だって思われている。……はずだし。

 幼馴染設定が大好きなお兄ちゃんには、私はベストポジション。……中身妹だけど。

 私の居ない間の悪い虫対策はミューリナちゃんに任せたし。……いや、むしろそっちが悪い虫?


 これで安泰。……いや、まずいんじゃない?


 ミューリナがユーキア大好きなのも知っている。アタックするには彼女のポジションが最高だし、私の見ていない間にキスしちゃってるかもしれないし、義妹だから結婚も出来ちゃうし。


 んんんんん……何か少し不安になってきた。


 と、つい先程まで思っておりました。

 はい、先程までです。


 今、仲良くトマトソースパスタを食べているように見えますが、実のところ心中穏やかではありません。

 先程ミューリナの正体を知って抱きついた時、私は耳元で一言念押しをしました。

「お兄ちゃんは絶対渡さないからね」と。

 そしたら、小声で帰ってきました。

「今はポジション的に私が有利です」と。

 それを聞いて冷や汗がダラダラ出てきた。


 ヤバイ、敵の方が有利かもしんない。

 どうしよう、今日の夕食もミューリナの手柄だし。私、野菜とってきて、体洗ってただけだ。

 今までだって、ツンデレ的な態度に見えちゃってるかもしれないし。いや、そもそも私「デレ」あったっけ?


 ああ、とにかく何とかしなくっちゃ!


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