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大森林と昆虫時代

 序章が終わりです! 次の章からは恐竜世界になり、物語が進みます。

 多細胞生物が発生してからの多様化は目を見張るものがある。生き物の体が大きくなると、日の光や空気中のエネルギー源だけでは栄養素が足りなくなった。そこで、他の生物を捕食するよう進化していった。

 捕食者が現れたために、非捕食者はエビのような殻を持つタイプが生き残りやすくなる。殻を砕くために、捕食者は牙を持つ進化をする。

 生物は互いに進化していくことにより、身体構造の複雑化が進んだ。進化の過程で虫のような節足動物や魚類も見られるようになった。海の中はとても賑やかである。


 海中では珊瑚などが現れた。光合成生物の更なる繁栄により、大気中の酸素は20%近くを占めるようになり、成層圏にオゾン層が形成された。オゾン層が『太陽』からの紫外線を吸収し始めると、生物が陸上へ進出する下地が整った。

 今海の中は生存競争が激しくなっているため、本能的に陸を目指すものが出てきた。陸に最初に上がった生物は、ダニやムカデに似た節足動物だった。海中の微生物を体につけて運んだため、陸上にコケが進出した。海からの上陸によらず、陸上で最初に発生したのは胞子で増殖するシダ植物の一種だった。


 次に、魚類から別れた脊椎動物、つまりは両生類が出現し、陸上へ進出した。オオサンショウウオの体にオタマジャクシのような尻尾が生えた生物だった。シダ植物は急速に大型化し、この世界で最古の大森林を形成した。

 森林ができたことにより、節足動物から進化した昆虫類が現れることとなる。また、両生類からは哺乳類や爬虫類の特徴を持つものが出現していく。

 今のところ繁殖力が最も強いものは昆虫類である。生物の8割以上が大型昆虫であり、世は大昆虫時代である。


 魔力を持つものは増えてきているが、まだ全生物の2%ほどだ。魔力の操作をできるものはいない。






 だいぶ陸地が豊かになってきたので、ここで大陸について言及する。龍はとある陸地に棲んでおり、自分の家とも呼べる大岩からほぼ動いていなかった。

 数十億年、周りのマグマや海を見ながらぼけっと魔力操作をしていただけである。おかげで魔力を使い、天気をある程度動かすことができるようになった。空中で水分子の運動を停止して、水分を大量に凍らせることで雷雨を発生させたりした。


 『気象現象』を起こすことはできたが、規模が大きくなりすぎるという欠点がある。思い付きでやっていいものではなかった。この『魔法』を使ってしまうと生物に対する影響が大きすぎる。龍の目的は観察がメインであり、何者かの殲滅ではない。食べるわけでもないのに殺すのは気分が悪い。


 閑休話題、この星の大陸は幾つかにわかれており、海洋と大陸の比率はおよそ7:3で地球と同じである。その大陸が数十億年かけて1つにまとまった。現在この星の大陸は1つである。

 これを龍は『アース大陸』と名付けて呼ぶことにした。プレートが動いて1つになったということは、将来的にバラバラになることも考えられるので適当に名付けた。

 地球と似ているため、星の名前は『アース』、恒星の名前は『太陽』など、本当に適当につけてしまっている。星の名前は地球の英訳になっているが、龍は特に問題ないと思っている。問題ないなら仕方ないな!

 言葉とは概念に名前をつけ、周りと区別することで、概念を認識するための道具である。そういうものだと勝手に考える。

 今の龍にとってはコミュニケーションの道具ではない。他者と共有しないので、自分だけがわかればいいのだ!

 そういうわけで、地球で使われていた単語を今後も使っていくが問題ない。









 数億年後、海洋には珊瑚が、大陸には大森林が発生しているため、酸素濃度が30%に上昇。さらに、龍は天候操作などで大気中に大量の魔力を垂れ流していた。大気の層が完成していた結果、魔力が分散されずに大気中にとどまるとこになる。それにより気圧が上昇し、星の生物の90%近くが酸素などの中毒により死に絶える大量絶滅が起こった。

 魔力は急激な増加でなければ徐々に宇宙空間に流されていたのだが、龍単位でちょっとした期間にハマって()()()()()事が影響した。


 龍自身は原因がわからず困惑した。今まで進化しながら数を増やし続けた太古の生物が、突然一度リセットされるように死滅してしまったのだから。海水の構成や大気の構成は常にかわり続けているので、何が原因なのかはっきりしたことはわからなかったのだ。

 しかし、自分が興味本位で大量の魔力を動かしたことが、大きな原因になったと感じとっている。魔力が直接生物の害になっている様子はなかったので、気にせずに大量放出していた。そのせいか、以前より空気が濃くなったように感じていたのだ。









 ――俺は、ショックを受けている。


 今までもそこそこ絶滅したり、急激な減少をする種族はあった。……初めてこんな大量絶滅を見た。……魔力は様々な化学反応を引き起こしたり、物理的な影響さえ起こせる。そういう事ができるから、楽しくてやらかしてしまった。魔力自体に害はなくとも、何か他のものに影響を与えて大きな問題を引き起こす。そんなこと今まで考えていなかった。今回の出来事は常に頭の片隅に置いておく必要がある。

 俺は神のように振る舞いたいのではない。アース上の生物の生殺与奪を握りたいわけではない。進化の過程を見守りたいだけなのだ。


 『気象魔法』は星の環境に影響を残すので、もう大量に使うことは控えるべきだろう。いや、封印だ。そんなことをせずとも、今後は空気中の魔力濃度が濃い状態で生きられる生物へと進化していくだろうが、俺のワガママで進化させるような形になるのは傲慢だ。

 心の奥底で、この星に存在する他の生物と自分は根本的にどこか違うと思っている。だからこそ、アースの生命は自分以外の手によって進化すべきだと思うのだ。

 小さな命が時間をかけて変えてきたものを、俺一人が台無しにしてしまった。前世でも、目の前の作業に没頭しすぎて思わぬ失敗をしたことがある。生まれ変わったところで、自分の性質など変わらない。残念なことだ。


 なまじっか大きな力を持ってしまったために、無責任なことをすると周りの命が危ない。魔法の力を伸ばすようなことはしない方がいい。

 コントロールの練習もしない方がいいだろう。繊細に使う方法を練習した結果、思ったより時間がかかってしまったら? 空気中に大量の魔力を放出してしまうだろう。同じ悲劇を繰り返したら意味がない


 今後は体を動かす練習をすべきだろう。ドラゴンの体は心臓・目・血液・鱗などに魔力が宿っているため相当頑丈かつ便利なのだ。

 自分自身の研究は、これから運動をメインとする。







 アースで初めての大量絶滅は大きなターニングポイントだった。生き残ったものたちは、魔力が満ちた世界の環境に対応できる生物へと進化したのだ。

 この後恐竜が地上に現れ、食物連鎖の上位に立つ。さらに、からだの強い恐竜たちの中から、俺ほどの規模ではないが魔法を使う個体が出現する。それらは『魔物』と呼ぶことにした。つまりドラゴンも魔物に分類だ。

 俺が棲んでいる大岩は大陸の中では一番東に位置する。地球のユーラシア大陸でいえば韓国の場所だ。その周囲は魔力が濃い地域となっており、魔物の生息数が多い領域となる。


 そして魔物は進化元の生物よりも大きい傾向にあり、脳も発達していることが多い。それとなく意思を表すのだ。俺は巣の周りで暮らす者の意思をなんとか読み取ろうと努力した結果、なんとなく理解し、発信できるようになった。

 おしゃべりができるようになったのだ!




ゴギャァァ!(テメぇその洞窟)グルァ!(よこせや)

 たぶんこんな感じで喋っている。これはドラゴン翻訳だ。


 今日もアロサウルスっぽい魔物が3頭で絡んできた。このヤンキー恐竜たちは俺の巣を拠点にして狩りをしたいらしい。絶対あげないけどね! 産まれてからずっと棲んでるこの場所を譲るわけがあるまいよ。愛着があるのだ。

 ただし、こいつらは俺に向けて意識をとばしてくるし、遊んで(喧嘩して)くれてボッチから救ってくれた存在でもある。


 ぶっちゃけかなり好きになってしまった。こいつらは俺と違ってすぐに死んでしまうのだろう。本来ではそのような生物と深く関わらないようにするルールを自分に課したはずだ。

 しかしこうも思う。人間流に言うなら、「明日からでいいじゃないか」と。実際のところは「こいつらがいなくなってからでいいじゃん」だけれども。だから今日も相手するのだ。


 「グルルゥ……。(懲りないなぁ。)グルギャオ?(また怪我するぞ?)


 本当は構ってくれて嬉しいのだが、ウキウキしているところを見せたくない。クールな自分を演出してしまう。頬が赤くなるような体じゃなくてよかった。

 恐竜の戦いは基本的に頭や首に噛みつくことと、尻尾や体当たりによる打撃である。超野性的バトルだ。俺の顔や首を中心に傷痕が残っている。オスの勲章だ。

 もちろん俺は魔法を使わない。

 今日も体を動かす練習に付き合ってもらおうか。









 龍の体は今全長40メートルほどであり、魔竜のアロサウルスは18メートルくらいの大きさだ。どちらも尻尾を振り回せば木をへし折り、岩を砕く。顎の力も数トンであるため弱い生き物では致命傷になる。しかし、こいつらの鱗と筋肉は魔力により頑強であるため、裂傷ができる程度で済んでいる。


 これから先、龍は知性のある者たちとの関わりを持つことで、今までの数十億年と比べて生の密度が濃くなっていく。

 恐竜達との生活は龍に何をもたらすのだろうか……。


【生命起源編】完

 この世界に魔法生物が生まれるための仕組みを作ったつもりです。今後はの世界の進化と龍の成長を描きながら、主人公の謎について話を進めていきます。

 応援よろしくお願いします。

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[一言] 面白いです。これからの展開がとても楽しみです。
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