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元魔王の人間無双  作者: 月田優
学園襲撃編
18/52

セレス・アルデモンド

 今日の1時限目は射的訓練。

 基礎的な魔法である魔力弾を放ち、50メートル先の的を破壊し、魔力制御を上げる授業。

 名前を呼ばれた順に的に向かって魔法を放つ。


「次、ガゼル・レイヴァルド」


 オレは名前を呼ばれて的の前に立つ。

 《魔力弾》

 魔法を放ち的を破壊する。

 生まれつきずば抜けた魔力制御のセンスを持つオレにとっては、こんな遊びは朝飯前だ。


「10発中10発命中。流石ですねガゼル君」


 どうも、と一礼して順番を譲る。


「次、オリビア・ハーマニー」


 はい、と返事をして的の前に立つ。

 一呼吸おいて集中し、魔力弾を放つ。

 結果は最後の1発を外して10発中9発だった。


「魔力弾じゃなくて得意の火魔法だったら全弾命中間違いなしなのに…」


 オリビアは悔しそうに呟く。

 そういえばこの前戦った時も火魔法ばかり使っていたな。


「オリビアは火魔法が得意なのか?」


「そうよ。アタシの生まれつきの魔力の性質は火魔法だもの。ガゼルは何性質なのよ?」


 オレの魔力の性質?

 そういえば知らないな。

 力が圧倒的すぎてそんな細かいこと気にしたこともなかった。


「分からない、どうやって確かめるんだ?」


 そう言うと、呆れた顔を向けられる。


「信じられない。そんなことも知らないの?四系統魔法を同じ魔力量で放って、一番威力がでた系統の魔法が自分の魔力性質よ。」


 オレは試しにやってみることにした。

 火、水、風、土、全ての魔法を放ってみる。

 ……全部同じ威力だな…。


「この場合はどうなるんだ?」


 そう聞くとオリビアはうぅ〜ん、と考え込む。


「この場合はどうなのかしら?四系統全てに当てはまらない性質なのか、それとも全ての性質に当てはまるのか…。こんなこと初めてよ。…何者なのよアンタ…?」


 オリビアが疑惑の眼差しで見つめてくる。


「何者って、ただの魔法騎士候補生だけど」


 魔王生まれ変わりだとバレたら面倒なことになる。

 オレは普通の生活が送りたいだけなのだ。

 ここは隠しておくのがいいだろう。

 オリビアから鋭い視線を感じるが、無表情で明後日の方向を向いてやり過ごす。

 そんなやりとりをしていると、


「見ろよあいつ、1発も当たってないぜ」


「マジかよ、才能ないんじゃねえの」


 そんな声が聞こえてくる。


「セレス君、10発中0発。もっと訓練した方がいいんじゃないかい?」


 一発も当たらなかった生徒がいたようだ。

 セレスとかいう男は情け無さそうに俯いている。


「これからは自由時間とします。各々(おのおの)自由に射的の練習をしてください。30分後もう一度テストをします」


 先生がそういうと生徒たちは散らばって個人で練習を始める。

 しかし、一人その場所から動かず立ち尽くしている生徒がいた。

 ……セレスだ。

 俯いて立ち尽くしたまま動こうとしない。

 …なんか可哀想で見てられないな…。

 オレは声をかけることにした。


「練習しないのか?もしよかったら付き合うけど…」


 俯いたままで首を横に振る。


「いいよ。どうせ僕なんかが練習したって無駄だから…」


 相当落ち込んでいるようだ。

 こういう時は励ますのが普通だけど、無責任なことを言ってはいけない。

 悩んだ末にオレはコツを教えることにした。


「射的のコツは、せき止めていた水を一気に放出するイメージだ。少し試してみないか?」


 少し悩んで渋々頷いてくれた。


「…うん、わかった。《魔力弾》あっ!?」


 さっきまでは届きもしなかったのに、威力が出て的に届く距離まで近づく。


「イメージ1つで結構変わるだろ?オレも付き合うから一緒に練習しないか?」


 オレは手を差し出し尋ねてみる。

 するとオレの手をとって応えてくれた。


「…うん、やるだけやってみるよ。」


 オレは気持ちに応えてくれたことが少し嬉しかった。


「オレはガゼル・レイヴァルド。よろしくな」


「僕はセレス。セレス・アルデモンド、よろしくガゼル」


 オレたちは一緒に練習を始めた。







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