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1章 中編


…あ、そうだ、村を出たら渡そうと思ってたんだ。


リュックを前に持ってきてゴソゴソと漁り、一枚のローブを取り出す。俺が修行に行く時に羽織っていたものだ。俺の目がおかしいせいで忘れそうになるが、この子の格好といい肌の色といい、人目につきやすいものばかりだ。せめて服だけでも隠せればと思って持ってきたのだ。


「これ、羽織っといて、暑くなければいいけど、その服は大きな街に行けば意味がわかる人も多いだろうし」

「ん、わかった」

ぬぎ。

「っ?!!」


あ、下にちゃんと服着てた。けれどインナーに近く、首元は少し緩い。逆に下は身体の線がくっきりとわかるほどに余裕がない。


「…エンヴィっていくつ?」


ぽい、と囚人服を投げ捨ててローブに袖を通す。うん、ちょいと引きずるが全然いい。フードとボタンを閉めれば鼻先まで隠れるから人と鉢合わせても問題はないだろ。


俺の問いかけにエンヴィはんー、と唸ってから指を折り始める。


「十二」

「………、幼いなぁ」


溢れた俺の言葉に少しムッとした顔のエンヴィはお返しと言わんばかりに俺の歳を聞いてきた。


「ラックはいくつなの?」

「俺? 俺は…確か二十四、もしかしたら、もう少し上」

「…覚えてないの?」

「いや、そういうわけじゃなくて、俺捨て子だったからさ、正確な歳がわかんねえんだよな」


あ…、と申し訳なさそうな顔をするエンヴィ。その頭をわし、と撫でて、笑いかける。


「なぁにバツの悪そうな顔してんだよ。ファミリアだろ?お互いの事は、知っておこうぜ」


と、いいつつ、俺はエンヴィの事を聞くのは野暮な気がしていた。マーズさんが言っていた、魔法を習得するための環境はきっとヘレンカイトが一番だろう。エンヴィはきっとそこから来た。けれど、彼女のいた教会の事を考えると、何も考えずに一人でここまで来させるとは思えない。


俺の親はいないけど、マーズさんやミールさんをみてると、そんな気がする。大事な娘を、簡単に死刑台なんかに登らせるもんか。


「ラック、アレ…何?」

「あれ?」


エンヴィが指差した先には、魔種だったものの残骸が残っていた。


「………、アレはアイアンワームの死骸だよ」


アイアンワームは元々ここら辺には生息していなかった魔種だ。鋼と同等の甲殻を持ち、強靭な顎はなんでも噛み砕く。そして最大の特徴は、その脚にある。そいつの身体が一体どいう構造になっているかはわからないが、アイアンワームは移動する際に、チェーンソーの様に脚を回転させて移動する。そのため、奴が通った後には、幾重にも斬り裂かれた残骸が残っていることがある。


更にタチの悪い事と言えば、こいつは肉食で、人間も食う所にある。甲殻のお陰で火の魔法、それもとびきり強力なものでなければダメージを与えることができないため、討伐には特に注意が必要だ。


「…おっきそう」

「あぁデケェぞぉ。小さいのでも二メートルはあるけど、大きい奴は十メートル超える事だってある」

「じゃあアレって結構大きいんじゃ…」

「そうだな…デカイ方だと思う」

「でも、不思議だね、ずっと残ってるなんて」

「んー、確かに不思議だけど、甲殻だけが残って、中身がないって事なんじゃないか?加工屋が来ない限りはあの甲殻を使おうって思う奴もいないだろうし」


強度は高いが、その分加工するには苦労する。でかければデカイほど素材の良さは際立つが、活かすための設備も必要になる。素材の価値が高く設定されている様な商業国ならまだしも、この国の人間はその価値を見出す事は少ない。何せ騎士よりも魔法使いの方が殴り合いに勝つ国だからな。


それだけ、この国では魔法が栄えてる。


「…なんだか勿体無いかも」

「そう思えるなら、もしかしたら職人の方が向いてるかもな」


死骸を遠くに眺めながら、また脚を進める。エンヴィは下から俺の顔を覗き込んで不思議そうに尋ねてきた。


「ラックは勿体無くないの?」

「………、あー…、なんて言ったらいいかな。この国のマグの価値ってどれくらいかわかる?」

「…あんまり」


やっぱりピンと来ないか。とはいえ、他に身近なもので例えられるものも少ないから、そのまま話すことにする。


「例えば、今エンヴィがしてるマグ、形は少し悪いけど、印の加工がされていて、用途が決まっているものになると、途端に価値が跳ねる。その小さいもので、大体金貨三枚。一週間は宿を取れて、普通に食事やらの生活が出来るレベルの価値になる。けど、あのアイアンワームの素材を加工して武器や防具を作っても、銀貨一枚になるかならないかでしかない」


因みに銀貨十枚で金貨一枚だ。


「何でそんなに違うの?」

「生活必需品か、そうでないか。それに加えて、職人の数が関係してくる。この国はマグ職人の数が少ないから、貿易でマグを輸入してくる。安定した生活に欠かせない良質なマグはその分価値が高いし、頭を使わずに魔力さえ込めれば誰にでも使える印付きのマグは道具さえあれば使えるという点でとても重宝される。でも武器はそうじゃない。誰もが欲しがるわけじゃないし、誰もが扱えるわけじゃない。使う人も少ないこの国では価値が下がるんだ」


ただ、この国に限った話ではある。俺が普段素材を仕入れている師匠の国の商人は逆にこういった魔種の素材に目がない。だからいつもあのアイアンワームからちょっとずつ甲殻を剥ぎ取って交換している。


あの死骸があのまま残っていて、かつ死骸の形がおかしいのはそのせいでもある。エンヴィはそこまで気付いていないだろうけどな。


「むぅ…」

「はは、ちょっと難しかったか。でも物の価値は覚えておいて損はないぞ」

「うん、わかった。ラックってなんだか先生みたい」

「先生?」


そんなこと言われたのは初めてだな。ただ、俺の中の先生のイメージと結びつかないから自分がそんな風だと言われてもあまりピンと来ない。


俺の先生つったらもうおっそろしいもんだぜ。


でも優しかった。差別も分け隔てもしなかった。だから、俺はあの人を師匠と呼んでいる。


と、そこへ、街道の向こうから馬車が走ってくる。エンヴィがフードをサッと被り俯いた。馬車に乗っていたのは普段から俺たちの村を訪ねてくる行商の人だった。馬車の荷台に貼られている紋章が通行証の役割を果たしている為、どこの国の行商なのかもすぐわかる。


いつも接待してるのが俺というのもあって、彼方もこっちに気がついたようで、徐々にスピードを緩めて馬車を止めた。キャップを持ち上げて、やぁ、と声を掛けられる。


「誰かと思えばラックさんじゃないか。お出かけですか?」

「どうも、ヨイチさん。これから首都に行くんですよ。そちらはもう帰りですか?」

「えぇ、これから山を抜けるのでそちらの村で補給をしようと思って。それより、首都、ですか」


ヨイチさんはキャップでちょいちょいと手招きをする。俺が側によると、口許を隠しながら小さく話す。


「もうご存知だと思いますが、首都は今大変殺気立ってます。貴方は充分気をつけた方がいい。優しさも使いどころを間違えると命を落としますからね」

「………、どうも」


俺に話しかけてはいるが、暗に何のことを話しているのかは目線の配り方ですぐにわかった。こつん、と道端の小石を蹴飛ばすエンヴィを横目に見て、一応、礼を述べておく。


「あとは、サービス」

「っ?!」


耳元に響くリップ音。


俺はパッと彼女の側から離れる。


「首都に行くならしばらく会えませんからね、私、貴方のこと気に入ってますから、帰ってきてくださいね」

「…ど、どうも」


やっぱり、ちょっとこの人苦手だ。


頰を抑えるを若干の湿り気を感じてなぞる。よかった口紅はついてない。


俺とヨイチさんが離れたのに気付いたエンヴィが俺の方に近づいて来る、が俺の顔を見てむ、と眉間に皺を寄せた。口許まで覆っているせいでそこでしか判別は出来ないがなんだか不機嫌そうだ。そそ、っと俺の頰に指でなぞる。


「クリア」


指先が淡く光り、俺の頰から光の玉がエンヴィの指に吸い付いて行く。


「おや、バレました? 魔種にしてはお利口ですね」


俺の頰をなぞった時に見えた肌の色で判別したのか、クスクスと楽しそうに笑うヨイチさん。それを見てさらに不機嫌になるエンヴィ。なんだなんだ、ちょっと険悪だぞ。


「えーっと…、早くしないと日が暮れますよ、ヨイチさん」

「おっと、そうでした。ではこれで失礼します。またお会いしましょう」

「えぇ、お気をつけて」


馬車を走らせ始めたヨイチさんを見送って、俺たちも歩くのを再開する。なんだか変に気疲れしたぞ。


でも結局俺は何をつけられたのだろう、詠唱も特になかったし、魔法の類ではなかったのかな?


未だに感触の残る頰をさする。女性の考える事はよくわからん。


「ラック、不用心」

「え? そ、そうか?」

「もうエマから指輪も貰ってるのに、他の女の人に近づいちゃダメ」

「……、え?これそういう意味なの?」

「エマがエマだから、わかってないかもしれないけど、あの場にいた人はきっとみんなわかってる。だから、ダメ」

「そう…だったか…。あぁ、気をつけるよ。これじゃどっちが主人かわからないな」

「私がご主人様になる?」

「おいおい、まるで俺が特殊性癖持ちじゃねえか、お願いします」

「ふふっ」


楽しそうに笑ってくれるエンヴィ。こうしてみると、やっぱり普通の女の子にしか見えないよなぁ。この際俺の目が普通じゃ無いことは言ってはいけない。ただ、その後も話題が続いてくれるわけでもなく、エンヴィに気を使いながら道を進むとようやく次の街が見えてくる。


ドーウィ、一番辺境の交易都市。


ここを中継して、中央から俺たちの村に物を運んだり、逆に外から来た商人たちをここで数えて首都の方へ報告する役割を持っている。その為、ここに限らずだが、交易都市を通らずに首都に行った場合には少なからず不利益を被る事がある。何せ首都に入るための手形は交易都市でしか発行されない。一段階踏む必要があるのは、ある程度の情報を得て、審査を行うから、らしい。


その審査の内容と結果は当然公表されないが、何を判断基準に審査をしているかもわからない。とはいえ、不利益は被りたくない。だから皆結局一度交易都市を通る。


よく出来たシステムだよな…。


疑われないようにするためには確実に個人情報を明け渡さなければならない。この国においては、包み隠さず曝け出せ、そう言われているような気がしてならない。


別にこの国が嫌いってわけじゃない。訳の分からない人たちが闊歩するよりは全然良い。むしろ国民が安心できる制度だと思う。


でも今回に限っちゃそうはいかない。エンヴィの事は少なくとも隠し通さなければならない。最悪、本当に魔種として手形を発行しなければならないかもしれない。魔種のファミリアは前例がない訳じゃない。けれど、俺が知る限りじゃ、決して良い扱いを受けている訳じゃない。この国では奴隷を禁止しているが魔種のファミリアの扱いは奴隷のソレと似たようなものだ。エンヴィが耐えられるとは思えないし、受けて欲しいとも思わない。


街が近づくに連れて、少し気が重くなってくる。


「…ラック、来た」

「ん? 何が?」


急に足を止めたエンヴィに合わせて、俺の足も止まる。その半歩先から、轟音が響く。


「っ!!」


冷たい風があたり一体を吹き抜ける。街道を塞ぐように突立った氷の塊は、舗装を壊す事なく、綺麗にその場に突き立っていた。


「見つけたぞ!」


その声は…


「昨日の奴か…!」

「昨日は世話になったな! アイツらを始末するのは中々にキツかったぞ」


あの数のウルフを一人でなんとかしたのか…。この氷の壁といい、魔法使いとしてはやり手なのかもしれない。


エンヴィを庇いながら少し下がる。


さてどうする、道は塞がれてる。魔法での私闘は厳禁だ。だが相手にソレは関係しない。


「さぁ、もうお前の助けをするものは無いぞ! 大人しくその娘を渡せ!」

「昨日も行った通りだ。断る」

「…ほう、余程命知らずと見える。多少は魔法の心得があるようだが、これはどうかな…!」


ガン!


空中に突如現れた巨大な氷塊は、空中の水分を吸って更に巨大化していく。


「ラック…下がって」

「いや、ダメだ。エンヴィの魔法はきっと取り込まれる」


昨日の見立てが正しければ、エンヴィの魔法は闇と水の性質が混ざっている。水分をかき集めているあの魔法相手だと分が悪い。


だが、その反面、こちらとしても優位に立てる。


「そう簡単に逃げられると思うなよ!『大爆雹』!」


男の合図と共に、氷塊が真っ直ぐ俺らに向けて降ってくる。


よし…!


「朱雀!突っ込め!!」


焔を纏った巨大な鳥が俺の全身から放たれる。


「無駄無駄ァ!」


自信満々の奴の顔がムカつくが、朱雀が掻き消されるのは解りきっている。だが、ここからは別の奴の仕事だ。


「青龍!息吹け!」


朱雀に追い風がかかる。焔の鳥と氷塊が打つかる。すると、狙い通り、辺りは一面真白に染まる。俺は氷塊が落ちてくるポイントを把握しながら、氷の壁を回り込む。


「くっそ!見えねえ!どこ行きやがった!!」


奴の怒声を頭上に聴きながら、静かにその場を立ち去る。朱雀と氷じゃあたしかに分が悪いが、こういった使い方なら、勝たずに勝てる。


あれだけ巨大な氷なら、水蒸気になった時の量は半端じゃ無いだろう。今も壁の周りはもくもくと白い煙で覆われていた。追い風にしたのは瞬間的に出来上がった水蒸気での目くらましのためだ。エンヴィの手を引いてその場から一目散に離脱する。


一気に走りきって、街の目の前までやってくる。切れていた息を整えながら、来た道を振り返る。よし、追って来てない。


「…君達、大丈夫かね?ずいぶん急いでやって来たみたいだが」


街を守護する門番に訝しげな目で見られる。ここはしっかりハッタリかましておかなければ。


「なんか、道のど真ん中で魔法使って喧嘩してる奴がいて…、逃げて来たところです」

「なに…? おい。ソレに関しては私どもの方で見てみよう」


ようやく整った息で話し終えると、門番はほかの門番に調査しに行くように指示を出し、それから俺たちに向き直った。


「さて、ドーウィへようこそ、身分証明書の提示をお願いする」


俺は懐から技術免許を提示する。免許を取ったのが師匠の国のため、こういった時に外国人と勘違いされることが多い。今は寧ろ好都合だけども。


「ほう、職人の方であったか。それで、そちらのは?」

「この子は…」


やっべ、言い訳を考えてなかった。エンヴィは横目で俺の顔を見た後、鼻許まで覆っていたローブのボタンを外し、首のマグを見せる。門番はエンヴィを見てギョッとした後、首輪とそこに付いているマグを見て、俺の方を向き、もう一度尋ねる。


「…ファミリアかね?」

「えぇ、はい。お手伝いをしてもらっています」


バクバクと煩い心臓を押さえながら、顔に出ないように、澄ました顔で答える。


門番は無精髭をぞりぞりと摩りながら、ここで少し待ちたまえ、と駐屯所の中に入っていく。俺はそれを見送って、エンヴィに声を掛けた。


「ごめん、何も考えてなかった…」

「………、」


首をふるふる、と振って、両手をグッと握った。励ましてくれているらしい、俺はありがとう、とお礼を言って、少し周りを見渡す。先程、街道のアイツを見に行った兵士は二人、ここに三人、先程のが隊長として、駐屯所にも何人かいるんだろう。


ここにいる三人がチラチラとエンヴィを見ているのが少し気になるが、それも仕方ない。エンヴィの肌の色を加味すれば、注目をされるのは当然だろう。少し待って、先程の門番が戻ってくると、その手に持っていたものをエンヴィに渡した。


「着けておくといい、魔種のファミリアは禁止それていないとはいえ、珍しい事に変わりはない。人型なら尚更だ。では手形を発行する。手をこちらに」


優しい人だなぁ…。礼を告げ、門番に促されて看板の前に立つ。


立て看板には魔法陣が描かれた紙が貼られている。コレに手を押し当てる事で魔法が発動し、指紋や手相が刻まれた手形になる。コレはこの先通る町の先々で必要になるものなので、失くさないようにしなければならない。


そうして出来上がった手形を門番から受け取り、街の中に入る。


昼時も少し過ぎて少し活気も収まった時間なのか、人通りはそこまで多くない。エンヴィは先程貰った手袋をジッと見つめ、溜息をついた。


「どうかした?」

「………、」


こく、と頷いたエンヴィは持っていた手袋を指差した。どうやら手袋に何か細工がされているらしい。ヨイチさんの時といい、エンヴィは魔法を看破するのが得意なようだ。ただ、まだ入口からさほど離れてはいない。今振り返れば何か勘ぐられるだろう。


よし、先に宿を取ろう。


「すみません、ここら辺で一番近い宿はどこですか?」


エンヴィの手を取り、近くで出店を開いていたおじさんに声をかける。おじさんは俺を見て、エンヴィを見た後で、もう一度俺を見ると、少し目の色を変えて入口からまっすぐ伸びる道の先を指差した。


「この先に噴水のある円形広場があるよ。その並びにある宿がオススメだね」

「ありがとう。コレ、一つ買うよ」

「ああ、毎度」


並んでいたリンゴを一つ手に取って会計を済ませる。そのままエンヴィに渡して、工具セットを拾い上げ、広場の方に向かう。


広場の入口からは、中央の噴水から、様々なものが目に入る。出店もあればレストラン、雑貨屋、工房もあった。その中で宿を見つけると、俺は真っ直ぐそこに足を向ける。


中に入ると受付のお嬢さんが綺麗な笑顔で俺を迎えてくれた。


「いらっしゃいませ! お二人様ですか?」

「はい、お願いします。空いてる部屋なら何処でもいいので」

「はーい。すぐにお部屋入ります?」

「出来れば、ちょっと荷物を置きたいので」


背中のデカイリュックを見たお嬢さんははーいと元気に返事をして俺たちを案内してくれる。宿にしては珍しい石造り外観だったが、中はそうでもないようで、内側から見ると木造建築にも見える。



床も石から木に張り替えているのか、ぎし、ぎし、とたまに音が響く。ちょっと不安になるな。


「こちらのお部屋どうぞー。とりあえず料金の説明しちゃいますね。このイグラムでは後払い制になっておりまして、お部屋によって料金が異なります。このお部屋ですと銅貨二十枚で一泊。連続してお泊りになると日に応じてお安くなります。このお部屋の設備は自由に使っていただいて構いませんが、足りないものがあればお申し付けください。それではごゆっくり」


ペコリとお辞儀をしたお嬢さんにお礼を言って、見送る。ゆっくりとドアを閉めた後、大きく一息吐いた。


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