13話 お久しぶり、メタルモンスター。そして経験値になって。
「Aランク、か。だが、何故だ?」
「あのドラゴンを倒し、私を圧倒したんだ。君にはAランクになれるだけの力がある。本当ならSランクにしてあげたいんだが、流石に私単独の判断でSランクにすることは不可能だからね」
そりゃそうか。Sランクになるには全ギルドマスターからの推薦とAランクになるまでの功績、そして昇格試験がある。
試験と功績ならばどうにかなるかもしれないが、ギルドマスターからの推薦はどうにもできない。一つ一つギルドをまわって、力を示すか、もっと有名になるしかないだろう。
「はい、これ。私からのSランク推薦状。Sランク目指してるなら全ギルドまわらないとだけど、がんばってね」
「ありがとう」
推薦状をサレナにわたし、収納してもらった。収納魔法で収納しておけば、無くなることは無いし、劣化も進まないので本当に便利だ。
「は、はは。そっちの子もすごそうだね」
サレナが収納させたところを見てアリアはもう、呆れの境地にいたっていた。
無理もない。収納魔法が使える者なんて1000万人に一人ぐらいだからな。
「ああ、そうだ。アリア、ドラゴンの死体があるんだが解体出来ないか?」
「うーん、時間がかかるかもしれないが、やってみよう」
「そうか、頼んだ。どこに置けばいい?」
「へ?ここに置いていいけど……どこに、ってまさか」
サレナにドラゴンを取り出してもらい、地面へ置いた。
当たり前だが劣化もないようなので、安心だ。
「い、一体どれだけのMPを……」
「……レギオン様は私のMPの4倍以上ある」
様付けになったんだな。というか勝手にばらすなよ。
俺達はその後驚愕したアリアをリーネに頼み、サレナのギルドカードを作って、一つ依頼を受けてからギルドを後にした。
依頼はFランクの薬草探し。サレナのランクを上げるためにも簡単なものでもやっていかなければならない。
薬草は南門を通った先にある森にある。この森は魔物も多く生息しているため、何か有った時の為冒険者ギルドが近くにあるのだそうだ。
この国は冒険者ギルドに頼っている所が多く、魔物の対応は基本的に騎士団と呼ばれる国の兵が対応するが、どうしてもそれだけでは足りず、冒険者にも戦ってもらうがあるそうなのだ。
そのため、ギルドは国からの金銭的援助を受けているそうだ。
リーネから教えてもらった事を思い出しながら、俺は今薬草を探している。
もちろんサレナもだ。
薬草の納品数は25。現在採取出来ている薬草は2人合わせて24で、うち24はサレナが見つけた。
俺、運ほんとねぇな。
「……レギオン様。あれ」
「ん?あったか?ってあれは……」
サレナが指さす場所を見てみると、全身が銀色のメタリックな兎がいた。
念のため【サーチ】する。
メタルラビット
HP:10
MP:5
攻撃力:15
防御力:3200
魔力:10
魔防:8900
俊敏:1500
幸運:1000
やはり……こいつはメタルモンスターだ!!
しっかし、久しぶりに見たな。刈りつくして200年ぶりかな?
こいつを倒せば大幅にレベルが上がるのだが……俺はこれ以上あげてもステータスがバグるだけなので、サレナに倒させることにする。
「サレナ、アイツ、倒せるか?」
「……無理、アイツに魔法効かない」
おっとそうだったな。こいつの魔防は9999なので普通、魔法は効かない。
レベル999になってからは試してないが(というかメタルモンスターが居なかった)たぶん殆んど効かないだろう。
しかし、これさえあれば大丈夫。
「【武具創造】そして、【エンチャント】」
【武具創造】で弓と矢を作り、【エンチャント】で〈ホーミング〉+〈アクセル〉+〈クリティカル〉をつける。
〈ホーミング〉は、狙った相手を追尾し続け、〈アクセル〉は矢を加速させる。〈クリティカル〉は防御を貫通してダメージを与えると言う物だ。
この、メタルモンスター絶対殺すマンな武器をサレナに渡した。
「……何これ鬼畜」
「弓は扱えるか?」
「……一応」
「じゃ、それでアイツを射殺せ」
「……了解」
サレナはメタルラビットに狙いを定めると、グググ と音を立てながら弦を目いっぱいに引き、離した。
メタルラビットはこちらの攻撃に気付き逃走しようとする。だが、矢はメタルラビットに引き寄せられるように飛び、頭部に貫通した。
ピロロン
……あれ?
軽快な音が頭に響いたのでステータスを確認してみるとレベルが上がっていた。
何故だ?メタルラビットを倒したのはサレナの筈だ。基本的に経験値は倒した者と戦闘に大きく貢献した者に与えられる。
俺はそこまで貢献していないし、仮に貢献していたとしても、直接倒した者がもらえる経験値と比べると、4分の1程しかもらえないのだ。
しかも俺のレベルは先ほどまで1002だった。メタルラビットごときの経験値で上がるはずがない。
ん?そう言えばドラゴンを倒した時に上がったレベルは2だったな。いくらドラゴンの経験値が高かろうと2も上がらないはずだ……どういうことだ?
「サレナ、お前何か経験値に関することで特殊な力持ってたりしないよな」
「……ある。スキルに」
あるんかい。とりあえず、【サーチ】して確かめる。
【祝福の心】
効果:スキル所有者がもらえる経験値が10倍になる。また、周囲20m内に居るパーティーメンバーがもらえる経験値が100倍になる。
20m内にいるパーティーメンバーは撃破貢献関係なく経験値がもらえる。
20m内にいるパーティーメンバーが撃破して、スキル保有者が貢献していない場合も経験値がもらえる。
なんだこのチートスキルは。これって、ばれたらめちゃくちゃ人が集まってくるぞ。
サレナはずっと魔王城に引き籠っていたはずなのに何でこんなにレベルが高いのかと疑問に思っていたんだが、これで解決した。
あ、魔王城に引き籠っていて、このレベル……まさか……。
「サレナ、魔王城では何をしていたんだ?」
「……魔王軍の皆と模擬戦」
やはり。
「ふふ、ふ、ふははははっは!」
いかんいかん。思わず笑いが吹き出てしまった。サレナが若干引いているように見えるが気にしない。
サレナは魔王軍と模擬戦をしていると言った。模擬戦でも経験値は手に入る。
と、いうことはだ。魔王軍の奴らは100倍の経験値をもらっていた訳で、もしかしたら俺と同じぐらい強い奴が居るかもしれない。
これを笑わずにいられようか。なおさら魔王城に行かなければならなくなったな。
「……レギオン様」
俺が歓喜に満たされていた所へサレナが無表情で服の袖を引っ張ってきた。
「どうしたんだ?」
「……あれ」
サレナが指さす方向を見てみると、そこには異常な光景が目に映った。
「メタルモンスターの……群れ!?」
しかも小さな群れなんかじゃない。見る限り、軽く300匹は超えている。狼型、ゴーレム型、スライム型、様々なタイプのメタルモンスターが居る。
その中でも中心で異彩を放っているメタルモンスターが居た。
「【サーチ】」
ヘビーメタルドラゴン
HP:2500
MP:200
攻撃力:1200
防御力:9999
魔力:170
魔防:9999
俊敏:2000
幸運:8000
うおっ!?なんだこいつ。防御と魔防だけなら昔の俺と同じだぞ!?
これ……倒せる人間いんの?
……しかし、こいつらどっから湧いて出て来たんだ?しかもこんな大勢で。
「……グガ、グガガガ!!」
っとこちらに気付いたようだ。鋭い眼光をこちらに向けてくる。
ちっ面倒だな。俺が倒してもサレナには経験値が流れるようなので、一気に殲滅するか。
「サレナ、俺の後ろに隠れてろ」
「……了解」
サレナがしっかりと俺の後ろに隠れたのを確認し、俺は地面に手を当て、呪文を唱える。
「【影雷】」
黒目が一瞬赤く光り、俺の両手にバチバチと黒い電流が纏わりつく。
電流は俺の腕から地面へ消えていく。
すると、こちらを見て警戒していたメタルモンスター達が、自らの影から出てきた黒き電流にろ見込まれ、プシュー、と音を立てながら痙攣し、その場で息絶えた。
ピロリン ピロリン ピロリン ピロリン ピロリン ピロリン ピロリン
まるでBGMだな。レベルを確認したが、バグってんな。
「……グ、グガァ!」
大抵の雑魚は死んだようだが、やはりヘビーメタルドラゴンは生きていた。
「流石に硬いな。少し(・・)しか効かねぇ」
「……メタルモンスターを魔法で倒した……。化け物……」
サレナが最後に化け物と言ったが、実際そうなので、否定できない。
昔の俺ならメタルモンスターを魔法で倒すなんて事は難しかったが、魔力が5桁になった俺ならいけると思ったので、試しにやってみたんだが……予想以上だったな。
流石にヘビーメタルドラゴンは堅いうえにHPが多いから削りきることはできなかったが、他の雑魚は一撃死だ。
人に使いでもしたら……灰も残らねぇな。
「グガアァァァァ!!」
っとそんな事を考えていると、ヘビーメタルドラゴンが咆哮をあげ、こちらへ突進してきた。
「やっぱり、ドラゴンにはドラゴンだよなぁ? 【双頭雷竜】」
俺の目の前に巨大な魔法陣が現れ、その中から蒼白い閃光を放つ双頭のドラゴンが現れる。
その竜は、目の前から突っ込んでくるヘビーメタルドラゴンを捉えると、口を大きく開け、ヘビーメタルドラゴンへ食らいついた。
そして後に残るのは、全身を丸焦げにし、金属が溶けるような匂いを放つ焼死体だけだった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回は来週の土日に投稿いたします。




