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秘密兵器猫壱号  作者: 津嶋朋靖


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エピローグ

リアルがいなくなって寂しい日々を過ごす瑠璃華

 目覚まし時計の音であたしは目を覚ました。

「おはよう。リアル」

 返事はなかった。

 ベッドから身を起こして横に目を向けると、カリカリを盛った猫皿が置いてある。

 リアルが居なくなって何日も経つのに、どうしてもこれはやめられなかった。

 ケージの中でグッキーがヒマワリの種をかじっている。でも、なんか寂しそう。

「おまえもリアルが居なくて寂しいのね」

 ケージに手を入れるとグッキーは這い上がってきた。

 何も泣くことなんかないのよ。

 リアルは死んだわけじゃない。

 今もどこかで生きているのよ。

 そう言い聞かせても、胸にぽっかりと穴があいたような寂しさは消えなかった。

 玄関を出ると猫の鳴き声がした。

「リアル」

 ちがった。横山さんちのぺぺだ。

「あんたもリアルに会いたいのね」

 真君はクラスでも人望があったけど、その分身のリアルもこの辺りの猫達に慕われていたみたいだ。

 あたしはそのまま学校に向かった。

 通学路の途中に選挙ポスターの掲示板があった。

 次の総選挙の候補者がずらっと並んでいる。その中に星野さん……いや、キララのお父さんがいる。

 ちなみに今、あたし達は星野さん美樹本さんと呼び合っていない。

 キララとルリカで呼び合う友達になれた。

 次の選挙で政友党が勝てば、キララのお父さんが総理になれると言われている。

 今のところそれが唯一の希望。

 キララのお父さんが総理になれば、あたしとリアルの面会を認めてくれるかもしれない。

 でも、選挙まで先が長いなあ。

「はあ」

 校門の前であたしは大きくため息をついた。

「何ため息なんかついてんだよ」

 うるさいなあ、誰よ?

 声の方を見ると校門の上に黒猫がいた。

 なんだリアルか。

「あたしだって溜息ぐらいつくわよ。この先いつになったらリアルと会えるのかと……え?」

 いけない。最近、黒猫がみんなリアルに見えてしまうわ。

「どうした目なんか擦って痒いのか?」

 え? 

「リアル……なの?」

「当たり前だろ。他に喋る猫なんているかよ」

「だって内調は?」

「それが……クビになった」

「どうして?」

「ほら。この前シーガーディアンの船での騒動がネット動画に流れたろ。あれに俺の姿が映っちゃってたんだよ」

「それだけで?」

「あれで有名になってしまったので、もう隠密活動には使えなくなってしまった。それで科研に戻されたけどそこでも居場所がなくて」

「そうなんだ」

「それでさ。俺、行き場所がないんだけど、置いてくれるかい?」

「もちろん」

    

 了



私の長い話にお付き合いいただきありがとうございました。

挿絵(By みてみん)

この小説を書いたのは四年ほど前、シナリオ作家教室でシナリオライターの先生から指導を受けながらのことです。

同じ教室にいる仲間からも感想を言ってもらいながら書き上げました。

しかし、コンテストに送った結果は惨敗。一次選考すら越えられませんでした。

その後エブリスタというサイトで「少女が恋した黒い猫」というタイトルで公開していましたが、今回加筆修正してなろうでも公開してみようと思い今回の連載となりました。



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