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竜使いの男

ガサゴソ、ガサゴソ。

飛行船のペット置き場で、一人の男が何かを探していた。


「あ、あった」


袋の中からわしづかみにその何かをつかみ取った。


「グエエッ」


そのつかみ取った何かはうめき声をもらし、空中に飛び出した。


「そういう扱いはやめろよっ!」


飛び出した何か、その正体はドラゴンであった。

しかも全長1メートルに満たないほど小さな品種である。

色は赤で、顔はトカゲみたいだ。

一応翼を持っていて、空も飛べる。

ちなみに、愛称はポールである。


「いつも変身した時は持ち手が首だからよ、つい、な」


この男の名はディック。

年は33で、子供もいる。

この飛行船に乗り込んだ理由は、レアメタル「ミスリル」を入手するためだ。

ミスリルは非常に希少な金属で、1キロ1000万ゴールドという破格の値である。

この飛行船に、その金属が塊で搬送されるという情報を入手し、VIPを装って潜入したのだ。


ディックの職業は国の捜査官で、世界に点在する「吸血鬼」を始末するのがその役目である。

この役割を担当することになったのは、つい先日であるが……


吸血鬼は普段、人間の社会に溶け込んでおり、しかもその存在が認められている。

吸血鬼によるデモ運動や、イメージだけで非難するのは時代遅れ、といった意見が世論として受け入れられたためである。


なぜ、ディックのように秘密裏に吸血鬼を始末する人間がいるのか。

それは、吸血鬼が次第に権力を持つようになったからだ。

吸血鬼は元来とても長生きで、そのため知識が豊富であったり、人間より秀でていることが多いのである。

自分たちの足元をすくわれかねない状況に陥った、というのがその理由であった。


吸血鬼は、ほぼ不死の体を持ち、通常の武器で攻撃しても瞬く間に傷が修復される。

では、どうすれば葬ることができるのか。

その唯一の手段が、ミスリルである。

吸血鬼は、ミスリルに強いアレルギー反応を示す。

よって、ミスリルを加工した剣で相手を斬りつければ、傷は修復されないのだ。

















俺はポールを肩に乗せて、ペット置き場から出た。

そして、ミスリルの保管されているであろう、荷物置場に向かった。


衛兵が2人、扉の前で待機している。

明らかに厳重な警戒である。


「あそこにありそうだな」


俺はそうつぶやき、ポールにこう言った。


「今からあいつらをぶっ飛ばす」


すると、ポールは目を見開いた。


「えっ、やめろよっ、あいつらの血で汚れるじゃないか」


「うるせえ、モード・剣」


ポールは、「ちょ……まっ」と何か言いかけた顔のまま、剣に変身した。


「ちっ、ブサイクな顔の柄だな。まあいいか」


このドラゴン、トランスドラゴンと言われる品種で、なつき度に応じて色々な形の武器に変身できる。

ちなみにディックはなつき度がめちゃめちゃ低いため、剣にしか変身してくれない。


俺は剣を担いで、衛兵に突進した。

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