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プロローグ
「やったぁぁ!」
今にも桜が咲き始めようかとする、3月18日のこと。
ミヅキは飛び上がった。名門公立の宮坂高校になんと合格したのである。
ミヅキは母親に抱きついて、放さなかった。ミヅキの顔はぐしゃぐしゃだった。
「よかった、本当によかった。よく今まで頑張ったわ。おめでとう、ミヅキ…」
母はミヅキをぎゅっと抱きしめ、ミヅキの溢れ出た思いを、愛情深く受け止めた。
だんだん、曇っていた空に陽が差してきた。宮坂高校名物、ちえとちからの塔に陽が当たり、
輝かしいその姿は、まるで、ミヅキを出迎えているようだった。
ミヅキは泣きながら、久しぶりであり、かつ最高の笑顔を母親に見せた。