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忍者と勇者

 この世界に来てから4ヶ月が経ち、大分クラスメイト達もこの世界の事にも慣れてきた頃だ。訓練も危険な魔物がいないか調査された上で万全の状態で、迷宮に入っての訓練が再開された。そこまでされて逆に窮屈な気もしなくもないが、王国側の意図も分からない訳ではない。これ以上勇者を失うのはあまり王国側にとってもよろしくないのだろう。


 さて、先程クラスメイト達もこの世界に慣れてきた、と言っただろう。もちろん、その中にも例外は存在する。むしろこの世界に馴染んできているのは6割程度だろうか。残りの4割は今でこそ普通に生活出来ているものの、迷宮に入るとダメになる人や、魔物と遭遇することがトラウマになっている人もいる。余程あの事件がショックだったのだろう。


 そして俺、神田さん、鎌倉さん。この三人も同じようにこの世界……と言うよりこの国に馴染めないでいる。

その一番の理由が今目の前にある腕輪――隷属の腕輪だ。


 俺たち三人は机を囲み、情報を交換し合う。今ではバラバラになって情報を集め、毎週中庭作戦会議のような物を開いている。


「じゃあ、まずは俺からだな。取りあえずこの腕輪の解析、これはいくつか発見があった。腕輪に登録されているのは俺達クラスメイト全員だ。俺達の腕輪を交換してもしっかりと機能するだろう。後は腕輪に少しずつ所有者の魔力を吸い上げる機能が付いているのがわかった」

「つまり図鑑に書いてあるような事しか分からなかったと」


 俺の報告を神田さんがバッサリ切り捨てる。確かにその通りなんだが結構心に来る。


「でも、確か隷属の腕輪は本来一人しか登録出来なかったはずよね?」

「その点についても一応調べた。どうやら勇者様のためにわざわざ改造してくださったそうだぞ」


 俺が王国への皮肉をこめて報告する。本来隷属系の魔道具は準アーティファクトと呼ばれる、現在製造するのはほぼ不可能と言われている魔道具だ。それを改造するってことは、それだけの技術を持った所の協力があるのだろうか。


「じゃあ次は結衣ね、クラスメイト達に何か変化は?」


 神田さんが鎌倉さんに話を振る。鎌倉さんは確かクラスメイト達に異変がないか観察する役を任されていたはずだ。回復職なので俺達より詳しくわかるだろうと言う神田さんの判断だ。


「えっと……先週に引き続き、異変はないね。野本君が言ってたようにごく微量の魔力が腕輪に流れてるけど、自然回復量の何十分の一程度だから問題ないよ」


 隷属の腕輪が命令を主人から受信すれば何らかの魔力の動きがあるはずなので、今の所王国は勇者達に命令を飛ばしていなと言うことになる。


「そう、なら問題ないわね。……最後は私ね、色々あるわ」


 最後は神田さんが報告を始める。この人はステータスを除くたびに潜入に使えそうなスキルが増えてたり上がってたりするから、本当に何をやってるのか底が知れない。


「まずは図書館でいろいろと情報収集をしてきたのだけど……一つに、戦争に巻き込まれる可能性がある事がわかったわ。人族同士の、ね」


 人族同士の戦争? どういうことだ?


「まず、これを見なさい。図書館の本にあった地図を書き写してきたものよ」


 そういいながら一枚の紙を取り出す。そこに書いてあったのはこの世界の地図だ。


「ノスティア王国がここで、研究国家とか言う……この地図を発行した所がここから南に行ったここ。更にその方角に同じ距離だけ進めば大陸の端、確か……都市ジェークル? だったかしら。こんな感じね」


 ふむ、大体説明を受けた時と同じような気がするが……


「これが?」

「いくらなんでも魔大陸から遠すぎるのよ。魔王を倒すだけならもっと近くの国に任せればいい」


 俺が続きを促すと即座に神田さんが答える。それに鎌倉さんが口をはさんだ。


「でも、確か近いと魔族側に気付かれて攻め入られる可能性があるって……」

「だとしても遠すぎるわよ。ここから魔大陸……いや、都市ジェークルまでにも年単位でかかるのよ? そもそも大陸間に海があって簡単に行き来出来ない状況なのにこんなに距離を取る必要はないわよ。実際に先代勇者はもっと魔大陸の近くの国で召喚されているわ」


 確かに離れ過ぎてるような……


「で、次にこっちが王国周辺の地図よ。ここが王国で、横にあるのがグラント帝国。この二つはあんまりいい関係じゃないようね。仮想敵国と言っても差し支えないはずよ」

「……つまり、勇者が戦争に放り込まれる可能性があると?」


 確かに、そう考えた方が不自然なまでに遠く召喚されたことについて自然に考えられる。


「まあ、直接戦地に投げ込まれるとは限らないけど。何らかの形で利用される可能性はかなり高いわね。これを渡してきた事とも繋がるし」


 神田さんが腕輪をつまみながら言う。隷属させるってことは陰から戦争のダシにされるってだけじゃないんだろうな……何も起こらないといいんだが、さすがに希望的観測すぎるよな。


「そろそろ誰か来るかもしれないから解散ね。引き続きそれぞれの事を調べるってことで」


 それだけ言うと神田さんは全く音を立てずに去っていく。【索敵】を発動させてみたが神田さんの姿は引っかからなかった。本当に何者なんだあの人。


 俺も不自然にならないようにさっさと中庭から室内に移動する。この後もダンさんとの訓練が待っているので余りダラダラはしていられない。


 最近はダンさん相手でもそれなりに戦えるようになってきた。魔法を使えばなんとか10回に1回くらいは勝利をもぎ取れるくらいには強くなっている。尤も、未だに剣だけで勝てたためしはないが。


 まあそのおかげで、俺の強さはクラスの中でも一位二位を争う実力となった。ちなみに争っている相手は浅野だ。


 迷宮の訓練が始まってから、浅野はレベルを上げることに専念していた。それに対して俺はスキルレベル、さらにスキル上だけでは無い技術等を磨いてきた。実際に戦ったらどっちが勝つかわからない、と言うぐらいには実力が拮抗していた(・・・・)


 と言うのも、最近になって浅野が【勇者】とか言ういかにもな称号を手に入れたせいで、大きくステータスが引き離されてしまった。さすがに今のあいつと拮抗するためには俺もレベルを中心に上げないといけないだろう。


 神田さん? あの人は実力を隠してるが、多分女子の中では一番強いと思う。正面から戦ったら多分俺の方が強いけど……あの人は戦闘スタイルからして暗殺者(アサシン)だからな。寝込みをやられたらなす術もなくやられそうだ。あの人は家系が忍者とかそういうのなのだろうか。


 後は誠一の事だ。最近なんとなく、あいつが生きていて俺よりはるかに強くなってる気がするんだよな。まあ、さすがに気のせいだろうけど。


「取りあえず明日の迷宮訓練に備えておくか……」


 取りあえず当面の目標はダンさんを倒す事だな。王国に対して何かしらの行動を取るにしても力がなくちゃどうしようもない。その力を付けるのが最優先だ。


 勇者達トップ2のステータス。今後変更があるかもしれません。



【名前】 ダイチ・ノモト  17歳


【性別】男


【種族】人族


【レベル】17


【生命力】250(40↑)


【魔力】 260(65↑)


【筋力】 250(45↑)


【防御】240(40↑)


【持久力】220(30↑)


【敏捷】 245(40↑)


【魔攻撃】250(50↑)


【魔防御】170(25↑)


【運】100


 ◆スキル


※鑑定系スキル

[鑑定 lv7](1↑)

[看破 lv7](2↑)


※隠蔽系スキル

[偽装 lv5]

[隠密 lv4](NEW!)


※戦闘系スキル

[剣術 lv7](1↑)

[見切り lv6](3↑)

[威圧 lv4](3↑)


※魔法スキル

[魔力操作 lv6](1↑)

[水魔法 lv5](3↑)

[土魔法 lv6](2↑)

[火魔法 lv7](1↑)

[光魔法 lv5](2↑)

[魔法陣魔法 lv4]


※索敵系スキル

[遠見 lv4](NEW!)

[索敵 lv5](NEW!)


※生産系スキル

[裁縫 lv1]


◆称号


[異世界を渡りし者]




【名前】 リョウ・アサノ  17歳


【性別】男


【種族】人族


【レベル】20


【生命力】900


【魔力】 840


【筋力】 900


【防御】830


【持久力】780


【敏捷】 670


【魔攻撃】840


【魔防御】840


【運】140


 ◆スキル


※鑑定系スキル

[鑑定lv5]


※隠蔽系スキル

[隠密 lv3]


※戦闘系スキル

[剣術 lv7]

[威圧lv4]


※魔法スキル

[魔力操作lv5]

[水魔法lv4]

[土魔法lv3]

[無魔法lv4]

[風魔法 lv3]

[火魔法 lv4]

[光魔法 lv7]

[回復魔法lv3]



※索敵系スキル

[索敵 lv2]

[魔力感知 lv3]

[害意感知 lv1]



◆称号


[異世界を渡りし者]

[勇者]

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