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盗賊団と救出

 翌日、俺達は早めに朝食をすませてギルドに来ていた。ジョズはかなり緊張しているようだが多分その辺の敵じゃもうお前の相手じゃないぞ?


 俺達は事前に聞いていた通り受付に並んで手続きを済ませる。適当な所に並んでいると横のジョズが話しかけてきた。


「なぁ、大丈夫だよな? 本当に試験は受かるのか?」


 不安そうにこちらを見てくるジョズ。残念ながら俺はそっち系の趣味はないので全くときめかない。無いったらないのだ。


「しるか。でも少なくとも俺の訓練を受けたお前なら、その辺の魔物なんて相手にもならねえよ」


 そんな会話をしているうちに順番がやってきたようだ。


「セイイチ様とジョズ様ですね……今日はランクアップの試験ということで……試験官の方が来てくださるまで少々お待ちいただけますか?」


 一度列から抜けてギルドの職員さんに待たされる事20分ほど。職員さんと見覚えのある人がやってきた。


「今回の試験官を務めるセレナです。よろしく~」


 試験官をしてくれるのはほんわかお姉さんことセレナさんだった。この前も俺の試験官をしてたし……暇なのかね?


 俺が割と失礼な事を考えているとセレナさんに話しかけられる。


「セイイチ君は最初の試験でも会ったよね~、横の子は知らないけどやっぱり強いのかな~? それじゃあ、早速依頼を受けましょ?」


 ここで職員さんとは別れて俺達は三人で掲示板へ行く。俺達は二人で受けるから、推奨人数が二人以上で書かれている物を受ける必要があるのだそうだ。


 掲示板の前まで行きざっと依頼を見る。さて、どれにしたものか……


 俺が適当に探そうとするとジョズが提案をしてきた。


「なあ、ここは俺が選んでもいいか? 実はもう依頼に目をつけてたんだ」


 俺は別に断る理由もないので頷いておく。ジョズが依頼にこだわるとは珍しいな。


「えっと、これなんだけど……」


 ジョズは少し言い難そうに持ってきた紙を持ってきた。そこにあったのは盗賊団の制圧。B-ランクの任務だ。


「あ、これってお前の……」


 言いかけて止める。一応セレナさんもいるしベラベラと喋らない方がいいだろう。


「まあ、な。一応旅に出るわけだし、あいつらを潰しておきたいんだ」


 短い間でも入っていたからこそ、今後あの盗賊団が何かしないか心配なんだろう。


「いいんじゃねえの? 別に俺は何か受けたい依頼があったわけでもないし、CランクもB-も変わんねえだろ」


 俺はジョズから紙を受け取り、一応セレナさんにも見せておく。それを見たセレナさんは少しだけ考えるようにして、


「B-で推奨4人? うーん……まあ、セイイチ君の実力はざっと見せてもらった感じでは問題なさそうだし、二人の実力を見るためなら丁度いいかもね。面白そうだし、いいんじゃない?」


 と許可をくれた。そんなんでいいのかとは思わなくもない。


 セレナさんにも了承をもらったので手続きを済ませに行く。今回セレナさんは試験官なのでもちろん依頼は手伝わないが、命の危険があれば割って入ることもあるらしい。


 ギルドで依頼を受理した俺達はあるいて2時間ほどの所にある盗賊団のアジトを目指す。これはジョズからもらった情報なので正確なはずだ。


 それにしてもさすがにこの距離を歩くのは面倒くさいな。俺のステータスなら疲れる事はないが今の季節としては初夏くらいの陽気なので常に水魔法で涼しくしていないとやっていられない。


 尤も、そんな事をしているのは俺くらいでジョズとセレナさんは汗だくになって歩いてるけどな。この一人だけ涼しくしている事の優越感。


 俺がわりとひどい事を考えているのを悟られないようにセレナさんに話を振る。


「さすがにここまで遠いと疲れますね。普通の冒険者はこういうときでもなかなか馬を使わない物なんですか?」


 俺に話を振られたセレナさんは汗を軽くぬぐいながら答える。


「うーん、日帰りで行けるところには滅多に馬は使わないかな~? 護衛とかで何日も移動するんだったら馬を使うけどね。あとは、従魔士(テイマー)の人とかはこのくらいの距離を自分の従魔に乗って移動してたな~」


 後半は従魔士の人と一緒に依頼を受けた事があるのか、思いだすような話し方だった。


 ふむ、従魔か……確かに俺もサイクロプスの肩乗っかっていたりしたがそうではない、もっと獣の形をした魔物に乗っかって移動する事が多いらしい。普通は人型の魔物に乗る事はないとまで言われてしまった。


 スライム? あんなもんに乗ったら即死するわ。


 その後もセレナさんに過去の冒険の話を聞いたり、ジョズにちょっかいを掛けたりして進んでいく。

 そして盗賊団のアジトになっている洞窟まで近づくと声をひそめ辺りに盗賊がいないかを確認する。


「私は適当に隠れて邪魔にならないようにしているから、居ない物だと思って進めてね~」


 セレナさんはなにも起こらない限りは見守るだけのようで、俺達が作戦会議をしているところを眺めている。


「それじゃあ俺が周りを警戒している2人を倒す。その後兄貴が魔法で入口から内部の様子をうかがう。その時に捕まっている人がいれば兄貴がその人たちの保護に、俺が盗賊に対して遊撃を行う。いなければそのまま2人で突撃だ」


 俺が頷くとジョズは気配を消して見張りをしている2人の盗賊まで忍びよる。一ヶ月前にゴブリンの群れを倒したときとは比べ物にならない程に気配を薄く、そして素早く動いている。気配を消すという点だけならセレナさんより上手かもしれないな。


 俺はその場から【遠視】でジョズが見張りを倒すのを確認してから、一応セレナさんに合図をして入口の方まで駆け寄る。


「全ての理は我が手の中に 『領域(テリトリー)』」


 そのままセレナさんにばれない程度の声で詠唱をして内部の様子を探る。制圧だけならこんな魔法を持ち出さなくてもいいのだが、中で誰かがとらわれていたら面倒だし、安全を確保するために一応な。


 スキルで思考速度に補正をかけつつ情報を処理していく。内部偵察なら範囲を一瞬スキャンすれば事足りる。


 数秒たらずで内部の隅から隅までを探索した俺はその結果をジョズに伝える。


「3人ほど捕まっていると思わしき人がいる。ボスがいる所までは一本道でそこに行くまでの道のりで8人、ボスがいる広めの部屋にボスと手下達が12人。計20人だ。行けるな?」


 俺はジョズに確認をとると、あらかじめ決めていた通り捕えられている人の救出に向かった。


 途中で1人の盗賊に出くわしたがすれ違いざまに木刀で首を一閃。まるで忍者のような手際で仕留めた。


 そのまま小部屋のようになっている所までたどり着く。どうやら最初から少し窪んでいた所を簡単に掘ったようだ。


 中にはどこから調達してきたのか錆びた鉄柵が。その柵からのびる鎖に足をつながれた3人の女性達がいた。


 一人は最近連れてこられたばかりなのか体力が残っているように見える。しかしもう二人はここ数日ろくな物を食べていないようで、やせ細って動く気力もないようだ。


 俺は女性達を脅えさせないように鉄柵と鎖を取り除く。


「『水刃(ウォーターカッター)』、『ヒール』」


 俺の詠唱とともに現れた水の刃が鎖と鉄柵を必要最低限の部分だけ破壊する。それと同時に3人の女性の周りに淡い光が浮き上がり彼女達の怪我を癒していく。


「もう大丈夫ですよ。あなた達を助けに来ました」


 外れた鉄柵を適当に捨てると安心させるように声をかける。一応表情には出していないがこんな時のマニュアルなど知らないので背中からは緊張から冷や汗が流れまくっている。


 一応回復魔法をかけたのである程度の体力は回復しているが足りない栄養を魔法で補う事は出来ない。


 俺は全員に異常が無いかを再確認すると比較的しっかりした女性と協力して残りの2人を洞窟の外まで連れ出す事にした。


 念のため『空間把握(ディメンション)』を使って内部をざっくりと監視しているが問題ないだろう。ジョズの方も苦戦しているようには見えない。


 途中で隠れてやり過ごしたのか盗賊の一人が俺達に襲い掛かってきたが一発で撃退。特に問題もなく外へ運び出す事が出来た。


 洞窟の外ではセレナさんが待っていた。あんた試験監督なのに一緒に入らなくていいのか?


 セレナさんに簡単に経緯を伝えると女性達に話しかけて心のケアのような事を行っている。この辺りは冒険者として経験が豊富なセレナさんに任せよう。


 俺も後学のためにやり取りを見守る――盗み聞きとも言う――事にした。ジョズの方は雑魚はあらかた片づけてボスっぽい人と話しているのが確認できる。


 一応ジョズも盗賊団に入っていたから何かしら話す事でもあるんだろう。ボスがBランク冒険者相当の実力を持っていれば別だがジョズが倒せない相手でもないだろうし、問題はなさそうだ。


 タイトルでは人質って表現をしたけどこういう場合って表現として人質でいいんだろうか……


 

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