王様とボロ屋
本日(2014/4/3)二話目の投稿です
2014/4/3 訂正しました。
2014/4/3 内容を少しだけ変更しました。
しばらくすると王女から父親……つまりこの国の王と対面するとの説明を受けた。
俺たちは王女と護衛の兵士召喚の儀式が行われた部屋から出て、広間に連れて行かれた。おいこら兵士背中突っつくな、確かにさっき王女に喧嘩売ったけどよ。
「そなた達が勇者様か。私はガウル・ノスティア。ここノスティア王国の国王をしている。この度は我々の都合で勝手に呼び出してすまなかった」
まずは王様が頭を下げた。
「別に頭を下げていただく必要はありません。俺たちは全く気にしていませんから」
慌てて浅野が答える。まあ俺も本心では召喚されたこと自体は気にしていない。召喚されなくても草原に放り投げられてたしな。
「そういってもらえると助かる。そなた達を呼んだ理由はマリーからもう聞いておるか?」
「はい」
王の問いに返す浅野。なんでお前そんな堂々としてんの?
「ならば話が早い。数年はこの城で兵士と一緒に訓練を受けてもらう。部屋もこちらで用意させてもらうし、一人ずつ専属のメイドを付けよう。また身元の方も私が責任を持って保障させていただく。それでよろしいかな?」
「わざわざそこまでの配慮をしていただき、有難う御座います」
浅野がいるおかげで話がどんどん進んだ。
それにしてもこいつもかなりの狸だな。俺達を騙す気満々だ。さっきの王女と親子なだけはある、と言ったところか。
「最後に皆様のステータスを確認させてください。ステータスのひらきかたは大丈夫でしょうか?」
「はい。大丈夫です」
王女がステータスを出せと言ってきた。鑑定スキルとかを使われると偽装lv1でごまかせるか不安が残るがステータスを見せるだけなら大丈夫……なはずだ。
「では、私が確認していきますのでステータスを開いてください」
王女様直々に確認するのか。念のためもう一度偽装が聞いているか確認しておいたが大丈夫のようだ。
「……はい、次は……リョウ様ですか。すごいですね! 鑑定スキルlv2を持っているんですか」
亮の前に来ると顔がゆるむ王女。完全に惚れてんなあいつ。
「次は……セイイチ様ですね。あら、一人だけ鑑定スキルがないんですね」
わざと周りに聞こえるよう声を大きくしてから俺にだけ聞こえるように鼻で笑った。
……何あれ? ケンカ売ってんの? ついでにクラスメイトにめっちゃ見られてるんだけど。馬鹿にするような目線がカチンと来る。
その後は何もなく全員のステータスを確認して終わった。
「では、今日は勇者様方も疲れているだろうからここまでとする」
王がお開きを宣言して、後ろの扉から出て行った。
「では皆さんにメイドをつけますので、メイドの指示に従って部屋に行ってください。明日は7時に食堂で朝食。10時から訓練を行います。明日は簡単な説明だけになるとは思いますが、今日は早く寝て無理をしないようにしてくださいね」
王女が手をたたくと30人近いメイドがぞろぞろとやって来た。しかも全員美少女。ひゃっほい。
しかし俺が入ってくるメイドを見ていると違和感に気付いた。メイドが34人しかいないのだ。俺のクラスは35人、一人足りない。
俺が疑問に思っていると
「セイイチ様、このあと少しだけお時間よろしいですか?」
と聞かれた。いやな予感がする……
俺は王女に城の裏から歩いて五分ほどの森に連れられた。
「セイイチ様。実は大変申し上げにくいのですが城の部屋が一部屋ほど足りなくて……一人だけここを使っていただくことになるのですが」
王女が指したのは―――びっくりするほどのボロ小屋だった。やっぱ悪女だこいつ。
「えっと……俺は別に宿とかでもいいんですけど……」
さすがにこんなところに住む勇気はない。王国の近くとはいえ外だぞこれ。盗賊とか魔物とか来ないの?
「いえ、そうしたいのは山々ですがこちらもそこまで手が回せずに……それに、勇者としてふさわしくない方にはこの家が妥当ではないかと」
王女が向けてくる視線は明らかな侮蔑だ。こいつ絶対さっきの事根に持ってるぞ。
「じ、じゃあせめて、メイドというか護衛というか……そういう人は付けてもらえないんですかね?」
「一人の勇者ごときに動かせるほど、王国のメイドも騎士も安くはありませんから。リョウ様の知り合いということでできる限りは優遇しているのですが……口が悪いと思えばスキルも持っていないような、勇者にふさわしくない人間に優遇できるほどの余裕はありませんから。明日からは今来た裏口から入ってくださいね。それとこのあたりには魔物が出るので気をつけてください」
王女はそういうとすぐに城に戻っていった。
えっ?