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ランクと解体

明け方に書き終える作者です。眠い。

 職員さんの気合いのこもった声がかかる。俺はまずセレナさんの出方を窺おうとしたがセレナさんは動く気配が無い。


「これは試験だからそっちが先に攻撃してきていいよ~?」


 確かに普通の駆け出し冒険者にA+ランクのセレナさんが突っ込んできたらトラウマ物だろう。こちらの実力を見るためにも最初はこちらに譲るということか。


「それに魔法剣士と戦う機会なんてなかなか無いからね~。私も補助程度にしか魔法を使わないしね~」


 さらにセレナさんが言葉を続ける。やはり魔法剣士はマイナー職業のようだ。


 セレナさんに先手を譲ると言われたのでまずは観察をする。武器は剣、防具は魔物の革なのか見た事のない素材でできている。


俺は参考までに【鑑定】を使わせてもらう。


[セレナ・クリス lv60


【生命力】700/700

【魔力】300/300

【筋力】667

【防御】342

【持久力】564

【敏捷】895

【魔攻撃】325

【魔防御】420

【運】30

 ◆スキル

[剣術 lv7]

[威圧 lv4]

[無魔法 lv3]

[料理 lv4]

[見切り lv2]

[魔力操作 lv2]

[索敵 lv3]

[偽装 lv2]


]


 強い。さすがはA+ランク冒険者と言ったところだろう。俺が最後に見た勇者達よりも余裕で強い。


 中でも目を見張るべきなのは敏捷値である。この事から彼女がスピード特化の戦闘スタイルであることがうかがえる。ステータスはあくまで目安でしかないがこれが見えるのと見えないのでは天と地ほどの差がある。


 しかし俺と比べてしまうとどうしても見劣りしてしまう。まあ結構チートな自覚はあったし気にしないでおこう。


「それじゃあこちらから行かせてもらいます――よっと!」


 俺は声をかけると同時にセレナさんとの距離を詰め軽く木刀を振る。セレナさんはそれに驚いた様子を見せたがすぐに反応して木刀を剣で流す。


 しばらくは俺がやりすぎないレベルにとどめながら木刀を振りセレナさんがそれを受け流して行くだけだったがセレナさんは俺から一度距離をとると、


「魔法は使わないの~? 魔法剣士としての技量を見るために魔法も使ってもらえると嬉しいんだけどな~」


 と言ってきた。確かにこれは力量を見る試験なので魔法剣士としての実力を見せる必要があるだろう。


「それじゃあ……水よ 斬り裂け『水刃(ウォーターカッター)』」


 俺はセレナさんに向けて魔法を放つ。これくらいならば詠唱破棄で発動できるのだがあんまり無駄に目立つ必要はないだろう。


 俺が唱えると空中に16本の水の刃が現れる。


「へ~、魔法の技量も凄いんだね~」


 俺の魔法をみたセレナさんは感心するような声を出したが全て剣で叩き斬られる。この人も大概でたらめだな。


「それじゃあ今度はこっちから行くよ~」


 魔法を全部斬ったセレナさんはおっとりとした口調とは裏腹にものすごいスピードで迫ってくる。だがこの程度の速度という事はまだ本気を出していないのだろう。


 俺は迫りくるセレナさんの剣をうっすらと魔力を覆わせた木刀でさばいて行く。


 その後何度か攻防が続いたが途中で職員さんがストップをかける。


「そこまで! 両者引き分け!」


 その声と同時に俺とセレナさんぴたりと止まる。こんな事が出来るのもお互いに本気を出しあっていない証拠だろう。


 お互いに離れると職員さんがこちらによってきて話しかけてきた。


「お二人とも、お疲れ様です。セレナさん、セイイチさんの実力はどうでしたか?」


 職員さんが問いかけるとセレナさんはうふふと笑う。


「そうね~。剣の腕も魔法の腕もそれ専門の冒険者のD+くらいはあったかしらね~。これも私があのなかで引き出した力だけの評価だしあそこまでやって余裕があるってことは最低でもCランク、いやB-はあるでしょうね~」


 お互いに本気を出して無かったのにえらく高評価だな。とは思ったが、セレナさん曰くいつもの入会試験はあの程度の力でも駆け出しにとってはつらいらしく全力でかかってくるらしい。そこを余裕の表情でこなす俺はかなり強いとの事だ。


「それではギルドカードを更新するためにもう一度上に行きましょうか」


 俺は一回に戻ると職員さんにカードを渡し更新をしてもらう。


 カードの更新はすぐにできるらしく職員さんは奥に行くと1分もしないうちに戻ってきた。


「おめでとうございます。Dランク冒険者として登録されました。これからもがんばってください」


 職員さんにカードを渡しながら言われお礼を言ってカードを受け取る。ひとまずジョズの所に戻るか。


「あ、そうそう。言い忘れてたけど自分よりランクが高い依頼は特に指定が無い限り取ってってもいいけれど、自分のランクよりあんまり下の依頼ばっかり受けるのはあんまりしない方がいいよ~」


 俺が行こうとするとセレナさんから忠告を受ける。余り下の依頼を取って下の人たちの仕事を減らすなという暗黙のルールでもあるのだろう。たしかに理にかなっている。


 俺はセレナさんにお礼を言うと彼女と別れジョズを探す。幸いジョズは酒場で飯を食っていたのですぐに見つかった。


「お、お帰り。入会試験も受けたか?」


 俺がジョズの横に座ると最初にジョズが訪ねてくる。


「まあな。ちゃんとDランクになれたぜ? あ、すいません俺にもこのスープください」


 俺は飯を注文しながら軽い感じで答える。しかしジョズはそれが驚きだったようで目を見開いてこちらを見ている。別に男に見つめられて喜ぶみたいな趣味はないんだけどな。


「確かに最初会ったときから強いとは思っていたがやっぱつええな。俺なんて試験の時はE-止まりだったんだぜ……」


 ジョズは当時を思い出したのか溜息をつくとスープを呷る。そう言えばこいつも今Dランクって言ってたし今俺とジョズは同じランクなのか。


 俺はポケットからカードを取り出すと軽く振って見せつける。それを見たジョズはうらやましそうな顔をしている。結局いまは同じランクなんだからいいじゃん。


「っていうかあんたセイイチって言うのか。完全に名前を聞くタイミングを損ねてたぜ」


 ジョズはもう一度ギルドカードを見ると今度は別の所で驚く。確かに自己紹介してなかったな。


「じゃあ今更感たっぷりだけど一応自己紹介するか? 俺はセイイチ。セイイチ・キサラギだ。いろいろあってある国を目指している」

「じゃあ俺もしておくか? 名前は知っての通りジョズ。斥候をしているDランク冒険者だ。俺もまぁ、いろいろあってとある国を目指している。といっても探して歩きまわっているわけでもないんだけどな」


 本来出会った時にするべき自己紹介を済ませると俺も出てきたスープを飲む。王城の食事と比べるとどうしても見劣りするがこちらの方が塩がよく利いている。ノスティア王国って内陸の国なのか?


 食事を済ませるとジョズがこの後について聞いてくる。


「俺はこの後依頼を受けに行くんだが……せっかくだしあんたも初依頼を受けてみればいいんじゃないか? 俺は別の依頼を受けるけどあんたなら問題ないだろ」


 そう言ってジョズは依頼が貼ってある掲示板へ行ってしまった。


 俺も飯を食ったら少し依頼を見ておくつもりだったのでそのままDランクの依頼が貼ってある掲示板を見る。


 そこにはゴブリンやグレイウルフの討伐等弱い魔物の討伐依頼。更に建物の取り壊しや木の伐採の手伝いなど低ランク冒険者にはきつい雑用などがある。


 俺はその中からロマンあふれる討伐依頼――ではなく建物の取り壊しの依頼を掲示板から引っぺがす。


 それをみたジョズは心配そうな声をかけてくる。


「おいおい大丈夫か? 建物の取り壊しは場合によっては下手な討伐依頼より難しい事もあってかなりの重労働だぞ?」


 しかしどうせ討伐依頼といっても片手間に倒せるような敵しかいない訳でむしろこっちを受けた方がやりがいがあるというものだ。


「問題ないって、俺くらいになると薬草採集も取り壊しも変わらん」


 俺は紙をひらひらさせて問題ないというと受付に並んで受理してもらう。


「はい……建物の取り壊しですか? 結構大変ですよ? そもそもこれ3人用の依頼ですし」

「問題ありません」


 ここでも職員のお姉さんに心配されたが問題ないと伝えると普通に受理してもらえた。最悪魔法を使えば今日中に終わらせられるだろう。


「では依頼主の方に終了のサインをもらってきてください。行ってらっしゃい、お気をつけて!」


 職員のお姉さんは俺に完了のサインを書く紙を渡すと定型文のような送り出し方をしてくれた。



 俺が現場に着くとそこにあったのはボロボロの木造建築の三階建て。そこまで苦労せずに終わりそうだ。


 俺はまず隣の家に住んでいる雇い主さんの所にあいさつに行く。


「すんませーん。冒険者ギルドでーす。依頼を受けに来ましたー」


 地球宅配業者のような呼びかけ方をするとおっさんが出てきた。おっさんは俺を見ると俺の背後に視線を移す。俺もつられて後ろを見るが誰もいなかった。


「お前一人か? 俺は3人以上推奨の依頼としてだしたはずだが?」


 なるほど、俺が一人しかいないから後ろを見たわけか。


「いえ、私一人で十分です。今日中に終わらせます」


 俺が答えるとおっさんに笑われてしまった。


「ハッハッハ、さすがに一晩じゃ無理だ。三人でやっても二日はかかるだろうな」


 まあ、頑張ってくれよという言葉を残しておっさんは家の中に入って行った。


 そして俺は現場に戻る。そして周囲に誰もいない事を確認する。


「……よし、誰もいないな」


 それじゃあ一丁、始めますかね!


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