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ティータイムと質問

今回同時に二話投稿しております。話数にご注意ください。


「じゃあまずは簡単な説明からだね。何が聞きたい?」


 サウロス――魔神タナトスと名乗った男は椅子に座ると俺にも座るように促す。


 俺が椅子に座ると、机の上にあったティーセットが浮かび上がってひとりでにお茶を注いでくれた。


「何って……まずは何から聞こうか……じゃあまず、この迷宮は何なんだ?」


 まずは俺が最も気になっていた事を聞く。何せこの迷宮には謎が多すぎるのだ。


「じゃあそれから話していこうか。……とはいっても多分君の知ってる情報と大した違いは無いんだけどね。

 全30階層で出来た初心者向けの低ランク迷宮。しかし不思議な事にダンジョンコアが存在しないため謎の多い迷宮とされてきた」


 タナトスが話した内容は俺も知っている。ダンジョンについての本では「サウロスの迷宮」という言葉が割とどの本にも載っていたので有名なのだろう。そして今はノスティア王国がダンジョンを囲っていると。


「で、実際のところは違うと?」


 俺が続きを促すとタナトスはにやりと笑う。


「まあね、もう君も気づいていると思うけどあそこの崖から落ちるのが正規ルート……とはいっても隠してたんだけどね。

 つまりダンジョンコアが無いんじゃなくてあそこはただの行き止まり。実際にはもっと先がありましたという訳さ」


 やはりか。この迷宮にダンジョンコアは存在しないと思われていた。それは実際にはそこが迷宮の最深部では無かったからだ。


「という事はやはりこの迷宮はお前が作ったって事で間違いないんだな?」


 俺が確認をするとタナトスは頷いて肯定する。


「尤も、このダンジョンは完全に僕の力で維持しているから結局ダンジョンコアは此処にも無いんだけどね。強いて言うなら僕がダンジョンコアってところさ」


「じゃあ次の質問だ。あのときあったゴーレムは何者だ?」

「あのゴーレム? ああ、あいつか。……あいつはただの掃除係だよ? あまりダンジョン内にアンバランスな魔物が出てきたら邪魔になるからね。そいつらを見つけて自動で潰してくれる役割を持っているのさ」


 つまりイエローサイクロプスみたいな化け物が出てきたらそいつを処理するかかりなのか……攻撃しなくて良かった。そんなのにあったら確実に死ぬじゃん。


「ん? まてよ? じゃあなんで崖の上にいたキメラは粛清されなかったんだ? お前の力を以てすればそのくらい余裕じゃないのか?」


 今思えばあいつが発端で何度も死にかける羽目になったのだ。ダンジョンマスター仕事しろ。


「ああ、その件については許してほしいとしか言いようが無いね。いい訳をするなら初心者用ダンジョンにあそこまで強い魔物が生まれてくることを想定していなかった。あれは人為的な物だね。その後発見してせっかくだから君と戦わせてみたのさ。そのおかげで君のサイクロプスが死んじゃったけど許してほしい」


 人為的?ノスティア王国が何かしたのか? その辺はタナトスは感知できてなさそうなので、ダンジョンから王国に戻ったら調べる必要があるかもしれない。


 まあ確かにオーガ程度の魔物が出てくるようなところにいきなりレベル500の魔物が出てくるなんてさすがに思わないだろうしな。

 それよりわざわざ戦わせた事の方が問題だと思う、ふざけんな。


 とはいえあいつも戦闘の中で死んだんだ。こいつを恨む事は無いだろう。


「じゃあ次の質問だ。何のためにわざわざ俺を戦わせてお前の下まで呼んだんだ?」

「あれ? 分かってて来たんじゃないの? ほら、扉の所に試練だよって書いてあったじゃん」


 少し不思議そうな顔をする。もしかして扉の所に書いてあるのってあのよくわからない文字の事を言っているのだろうか。


「いや、俺あれ読めなかったし。何あれ? 何語?」


 俺がきくとタナトスは驚いた顔をする。


「えっ? あ、もしかしてもう古代文字って奴に分類されるのかな……」


 何かを思い出したように呟くタナトス。俺がきくと何でもこの迷宮は千年以上前からあったので、当時使っていた文字が今では使われていないのではないかと言ってきた。


「いやー、失敗したかな。ムードを出すために当時の言葉を彫ったんだけど、やっぱり直接脳に干渉する魔法を埋め込んでおいたほうが良かったか」


 何やら怖い事を言うタナトス。何でも精神に語りかければ言語問わず理解ができるようになるらしい。勇者達や俺が持っている【異世界を渡りし者】の効果もこれに近い物なのだろう。


「それで、試練云々はなんとなく分かったような気がするが、何でお前がそんな事をする必要がある? たしか魔神ってのは神様だったはずだ。わざわざ俺達に何かをしてもらう必要があるとは思えないんだが?」


 それにしても質問をするたびに違う質問が浮かび上がってくるな。面倒くさいので必要な事だけ聞いておこう。


「目的、ねぇ?……まあ強いて言うなら……復活、かな?」

「え?」


 さっきまでポンポンと答えていたタナトスが急に含みのある言い方をした。俺は思わず聞き返してしまう。


「僕ら古代神――ああ、邪神、善神、人神、魔神、時空神、その他昔から居る神を古代神と区分するんだけどね、その神たちは全員一度滅びたんだ。そして復活するのには途方もない時間がかかる。神である僕から見てもあり得ない程に長いと感じる、ね。それで今は魔法の力でこうやって形をとどめているんだけどね。そして少しでも復活を早めるために作ったのがこのダンジョン。ある一定の強さを持つ人を選別するためのダンジョンだね」


 いきなり情報が増えすぎて分からなくなってきた。俺は先程手に入れた【高速思考】を発動させながら簡単にまとめていく。あ、さっきキメラから奪った【並列思考】ってこれ結構便利だな。演算領域を減らさずに【思考分割】してるみたいで……おっと、今はそうじゃないな。


 つまり今の話を簡単にまとめるとこうなる。


 魔神や邪神、その他古代神と呼ばれる神々は一度滅んだ。


 そしてその復活には途方もない時間が必要となると。


 そしてその復活を早めるためにダンジョンを作って強い奴を探しているという訳か。



「うんうん、理解が早くて助かるよ。さすがは此処まで来ただけの事はあるね」


 嬉しそうにするタナトス。イケメンの爽やか笑顔、俺が女子だったらキュンときちゃうところだろうが、あいにく俺は男だしそっちの趣味は無い。


「それで俺は此処にたどり着いちまったわけだが一体何をすればいいんだ? お前の復活のために魂をささげろとか言われても絶対に嫌だぞ?」


 胸に手を当てて隠すようにしながらタナトスから数cmほど距離をとる俺。そんな俺にタナトスは苦笑しながら


「いや、別にそんなことする必要はないよ。基本的に何をしろという訳じゃないんだ。僕が君に加護を与えてその後は君にぶらぶらしてもらえればそれだけで復活が早まるからね。それに君なら……いや、何でも無いよ、他に質問はあるかな?」


 最後に何を言っていたのかよくわからないが、どうやら何をするという訳でもないらしい。


 一体(神為らざる者)ごときの行動でどのくらいの効果があるのかは分からないが。取りあえず俺にデメリットは無いみたいだし、別に引き受けてやってもいいだろう。



 その後は当たり障りのない質問をしていき時間が流れていった。


説明回に入るとシリアス回以上に変な感じに……設定などで明らかにおかしいだろみたいなところがあれば遠慮なくご指摘ください。出来れば軌道修正がきくうちに←

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