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鑑定と選択肢

 よくよく考えてみればわざわざ俺が仕切る必要ないよな。


 話し合いをするなら俺がしなくても、その辺のリア充グループがまとめてくれるはずだ。なら俺は……鑑定について調べてみるか。

 とりあえず机に焦点を合わせる。……エイヤッ【鑑定】!


[木でできた机]


 ……えっこれだけ? なんていうかショボイ。


 今度は前で呆然としている大地に鑑定を使う。


[ダイチ・ノモト 男]


 ……しっとるわボケェ!!

 ふぅ、まずは落ち着こう。こういうときは理由を探して、どうすればいいかを考えよう。


 Q.大地を鑑定した結果は?


 A.名前と性別しか出てこなかった。これは他の生徒や自分でも試したが同じだった。


 一つ目はクリア。


Q.俺はこの結果に何が不満なのか?


A.情報量が圧倒的に少ない。ステータスボードや俺が既に知ってる知識の方が多くのことが書かれていたため。


 二つ目もクリア、次だ。


  Q.なんで情報量が少ないのか。


 A.一番高い可能性としては、鑑定のレベルが低いから。


 よし、原因は分かった。


  Q.どうすれば情報量が増えるのか。


  A.鑑定のレベルを上げる。


  Q.どうすれば鑑定のレベルが上がるか。

 

 さて、どうすれば上がるか。こういう系のラノベからすると回数をこなすとレベルあががるのがほとんどだろう。


  A.鑑定の回数をこなす(仮定)。


 ふむ、じゃあさっそく実践してみるか。


 俺は自分の机に目線を落とした。


【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】【鑑定】! 


[木でできた机] [木でできた机] [木でできた机] [木でできた机] [木でできた机] [木でできた机] [木でできた机] [木でできた机] [木でできた机] [木でできた机、足の部分は金属でできている]


 連続で鑑定をすると、出てくるウィンドウの大きさが変わったのがわかる。


 説明文が増えているところをみると成功したようだ。ステータス!


【名前】 セイイチ・キサラギ  17歳


【性別】男


【種族】人族


【レベル】1


【生命力】 100


【魔力】 100


【筋力】 100


【防御】100


【持久力】100


【敏捷】 100


【魔攻撃】100


【魔防御】100


【運】100


◆スキル


[鑑定lv2]


◆称号


なし

 



 鑑定のレベルが2に上がっている。やはり成功したようだな。どうせやることないし、更にレベルを――

「みんな! 聞いてくれ!」


 っと、声がかかったみたいだな。やっぱあの腐れリア充か。


「皆落ち着こう! 正直なところ俺も混乱している。でもさっきの放送の間は誰も喋ることができなかったし、誰も立ち歩くことができなかった。そのことから考えるとさっきのやつは本当に神様である可能性が高い!」


 まあそうだろうな、俺も同じ結論に至ったし。


「あの人の話が本当だとしたら、俺たちは決めなきゃいけないものがある。そう、どこに転送されるかだ。話によると草原・無人島・森の中のどれかだ。俺としては見晴らしのいい草原がベストだと思うけど、こんな重大なことを俺一人で決めるわけにはいかない。だからみんなと話し合う必要があるだろう。だけどこの状況じゃ話し合うこともできない。だからまずは落ち着いて席に座って俺の話を聞いてほしい!」


 語りながら教壇に上る男。紹介がまだだったな。せっかくだし新しい紹介方法で行くか。


 【鑑定】!

[リョウ・アサノ 男 17歳]


 ふむ、レベルが上がって年齢も出るようになったか。


 御覧の通りこいつは浅野亮(あさのりょう)、成績優秀でスポーツ万能。おまけに性格がいいイケメンと来たもんだ。更には美少女の幼馴染までいる上にラブレターも大量にもらっている始末。もげろ。


 鑑定してから気付いたけど、名前がカタカナ表記だから結局自分で紹介してしまった。なんか恥ずかしい。


 ちなみに俺はこいつのことが嫌いだ。正義感(笑)が強くて周りのことを考えない。こいつのせいで俺は地味に迷惑を被っていたりもする。

 だからこいつが幼馴染と違うクラスになったと知った時は内心本気で喜んだ。ついでに、俺の心の汚さも浮き彫りになったけどな。


 閑話休題それはさておき



 落ち着いた一同を見た浅野は黒板に文字を書き始めた。


 ・無人島 ・草原 ・森


「まずは、それぞれのメリットデメリットを挙げていった上で多数決を採ろうか」


 うん、個人的には嫌いだけど、こうやってまとめてくれるところは便利だよな。 


「俺としては無人島はあまりお勧めできないかな。草原なのか森なのかはたまた砂漠なのか、どんなところに降りるのかがわからないし、おそらくこの三つの中では一番人の助けを呼びにくい所だと思う」


 まあ、そうだろうな。草原や森だったら人里が近いかも知れんが、無人島は人がいるとは思えない。なんたって無人島だし。


「その次に草原。俺はこの中で一番いい選択肢だと思う。視界も広いし人を見つけやすい。敵が来てもすぐに対処ができるしね。その代わりに人里から離れ過ぎていると草原で飢え死に、なんてことになりかねないけどね」


 俺もおおむね同じ意見だがあっちの世界には魔物がいるんだぞ? いくらステータスが少し高いと言っても、戦闘なんて全くできない日本人が丸腰でいるんだ。あんまり強い奴がいるところに出たら逃げる暇もなく殺される危険性だってあるだろう。


「後は森だね、これは賭けの要素が強いと思う。森ならば最悪、人がいなくても木の実や川などで飢えを凌ぎながら生活できるかもしれない。だけど毒のある木の実を間違えて食べたり、視界が悪い中で獣に襲われたりしたら最悪だ。俺の中では森は二番目かな」


 ふむ、ちゃんと考えてあるな。


 この鑑定が俺の知らない異世界の果物に対してどれだけの情報を表示してくれるかによっては、森にする価値もあると思う。


 まあもしかしたら周りの果物が毒ばっかりだったり鑑定が全く役に立たなかったら詰むだろうな。


 それにしてもこうやって一個ずつ考えてみると、神の示した選択肢って結構鬼畜な気がするな……一体神は何がしたくて俺たちにこんなことをさせるんだ?

神様トリップ物には付きものの「転移の目的」、この神様は一体何が目的で彼らを異世界に送るんでしょう?

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