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臭いと魔法理論

ユニーク数が10万を突破しました。これからも「強欲の花」をよろしくお願いします

 翌日いつもと同じ時間に起きた俺は寝ているスライムを起こさないようにベッドから抜け出し訓練場に行っていつも通り訓練をしに行く。


 するとダンはいつものように剣をふっていた。一応こいつも病みあがりなのだが元気そうで何よりだ。


「よう、セイイチじゃねえか。怪我の方は大丈夫か? 俺は一週間じゃ治んねえレベルだって聞いたんだが」

「ええ、この通り元気ですよ。回復魔法の練習をしてたら思ってたよりずっと早く治りました。ダンさんの方こそ大丈夫なんですか?」

「まあな、俺はあのくらいの傷なら気合いで治せる」


 気合い!? 嘘だと思うが本当にやってそうで否定ができない。

 ……本当にやってないよな?


 しばらく素振りをしているとダンが声をかけてきた。


「なあセイイチ、また模擬戦をしないか? お前もソードオーガを倒したみたいだしかなり強くなってるだろ。なに、あの時はやられちまったが対人戦ならまだまだ俺の方が上だってことを教えてやる」


 模擬戦か、あのときはぼろ負けしたが今なら勝てるとは言わんがかなりいい勝負は出来るだろう。多分ダンは対人戦においては俺より強い。そもそも魔物との戦闘においても普通の俺じゃ到底かなわないだろう。

これは今の俺の実力を知るいい機会だ、受けない手はない。


「いいでしょう。その勝負、受けて立ちます。しかしあの時ほど手加減してるとやられますよ?」

「なに、あの時より強いのは素振りを見りゃわかるさ。俺も今回はほぼ手加減なしで行くぞ?」


 向かいあう俺とダン。正直あのときはギャラリーがいたからあんまり本気を出そうと思っていなかった。

そのせいであんなにコテンパンにやられたという訳ではないが今回は周りを気にせず戦えるしあの時よりレベルも上がった。今度はそう簡単には行かないぞ?


「よし、じゃあおまえのペースでかかってこい。いつでもいいぞ!」


 この間とは違いかかってこいと言うように構えるダン。それでもあの時よりも俺をしっかりと見ているところからしてやはりそれなりに本気なのだろう。


「では遠慮なく……フッ!」


 この間のダンと同じような動きで斬りかかる。しかしダンはそれをさばいて俺に一太刀浴びせようとする。


 俺はそれをぎりぎりでかわして距離をとる。ついでにダンに向かって足払いを仕掛けてみたが難なくかわされた。


 その後も何度か剣を打ち合わせていると疲労が出てきたのか少しずつ俺の動きが鈍くなる。もちろんその隙をダンが逃すはずもなくオーガと張り合えるんじゃないかと思うほどの腕で手刀を放ってくる。

 攻撃が来るかとは思っていたがここで手が出てくるとは思わなかった俺だが左手を剣から離して【剛腕】を発動させる。

 

 ダンの手刀が俺の体に当たる寸前で腕を弾き距離をとる。が、体勢を立て直す前に連続で斬りかかってくるダンの猛攻に耐えきれず結局負けてしまった。


「くっ……参りました」

「はっはっは! まだこんな若造には負けんよ!」


 俺が負けを認めるとドヤ顔をしてくるダン。殴りたい、この笑顔。


 まあ実際にダンが強いのは事実だ。まだダンの実力の70%くらいまでしか出させられていないだろう。今後の課題もできたのでその点も直していかないとな。


 その後はいつもと同じように風呂に入り食堂に向かう。すると大地に声をかけられた。


「よう誠一。どうした? 昨日は風邪ひいて訓練休むとか言ってたみたいだけどお前馬鹿だから絶対に風邪引かないだろ。なんかあったのか?」

「おいこら何さらっとバカ呼ばわりしてんだぶっ飛ばすぞ。……まあ大地なら言っても問題ないか」


 俺は大地にソードオーガの事とボコボコにされたので医務室で休んでいた事を話した。

 すると大地は話を聞いて心配したのか、


「おいおい、大丈夫か? 骨折れたってなおったのか? これが魔法の力って奴か?」


 などといろいろ聞いてくる。うるさいのでとりあえず飯を食わせてほしい。


 その後飯を食べながら魔法で治した事など全てを話して俺達は別れた。


図書館で適当に時間を潰した後訓練場に向かおうとすると結衣が声をかけてきた。


「あ、誠一くん? 昨日風邪ひいたって聞いたんだけど大丈夫だったの? 心配したよ?」


 俺の事を心配してくれる結衣。何この娘可愛い。


 まあどうせ勘違いして告白しても振られる未来しか待っていないだろうしそれはひとまず永遠にどこかに置いておく。


「え? ああ、ちょっとこの世界になれないせいか体調を崩しただけみたいだから大丈夫だよ」


 実際に急な環境変化で体調を崩した生徒も何人かいるおかげか結衣も簡単に納得してくれた。この人だけには心配をかけたくないしな。


「良かった~、昨日訓練場に行ったら誠一くんの匂い……あ、いやそうじゃなくて、その……姿! 姿が見えなくて心配したんだよ? あ、もう私行かなきゃだからいくね。バイバイ!」


 急に早口で捲し立てて走り去っていく結衣。訓練場は反対側なんですがね。


 それよりも結衣が聞き捨てならない言葉を言った。え? 何? 臭い? 俺ってもしかして臭いの?


 ……いや、待ておちつけ。臭くはないはずだ。普段からボロ屋で寝泊まりしているところを見ると汚いように見えるがその代わりに朝起きたら訓練の後に風呂に入っている。別に臭いなんてことはないはずだ。



 俺が必死で自分の臭いを否定していて気付いたらいつの間にか剣術の修行が終わっていてそれどころかいつの間にか昼食も終わってセリスの授業の時間になっていた。どんだけ臭いのこと気にしてんだよ俺……


「……いいですか皆さん。つまり魔法の詠唱短縮というのは魔法のイメージです。例えば水は水属性の魔素が集まってできています。そのイメージと水がしっかりと飛んでいくイメージを完璧にすることで必要とされる詠唱が……」


 船を漕ぎながら座学を聞いていたがセリスの教えで引っかかる所があった。水属性の魔素が集まって水ができる? なんじゃそりゃ?


 確か原子論が認められてきたのはドルトンの原子論、18~19世紀だったはずだ。確か古代ギリシア時代からも原子論はあったと思ったが一般的に原子が登場したのはその頃。

その後にアンペール、ドルトンによって分子と言う概念が一般的になったんだっけか? あまり詳しくは覚えていないが多分あっているはずだ。


そう考えるとこの世界にはまだそんな知識がないとしてもおかしくはないだろう。おそらく魔法の元素魔法とか言っていることからすると四元素説が一般的なのだろうか。


この事から考えると魔法というのは思い描いたものが理論的に正しくある必要はないということになる。


じゃあ魔法とはそもそも何なのだろうか? 俺の認識の範囲では魔法は質量保存の法則などぶっちぎって物を作り出す事も出来るスピリチュアルパワーだ。つまりほとんどなんなのかが分からない。


 まあ俺は別に魔法の研究者でもないので使えればいいだろう。そのうちより使いこなすために研究が必要になったら考えればいいさ。


 そんな事を考えていると時間が来たようで授業が終わった。

 途中から全くセリスの言葉を聞いていなかったがまあ問題ないだろう。


 その後夕飯を食べると俺は医務室にスライムを迎えに行って早めにボロ屋に戻った。今日早く帰ったのは確かめたい事があったのだ。【強欲の芽レベル1】の効果についてだ。


「取りあえずお前は家の中で待ってろ……っておお!? なんかボロ屋が綺麗に掃除されてんぞ!? オルトさんが行ってた調査隊? の人がやってくれたのか?」


 俺が言うとスライムが肩の上でぴょんぴょん跳ねる。家が綺麗になって興奮してんのか?


 とにかくスライムは家の中で待機命令を出して外に出る。今日は調査隊の人たちが入ったせいか魔物が少ない。


「なんか探せないのかね? オーラを感じ取るみたいな」


 索敵スキルは異世界物の小説だけでなくVRMMO系の小説でもメジャーなスキルだし試してみるか。


(イメージでは魔力のソナーのような感じで……全身から魔力を出して返ってくる波動を読み取ればいいのか?)


 実際にやってみると魔力を出して波動にするところまでは出たがその辺の木々にぶつかっても跳ね返ってくれないし少し離れるだけで魔力が霧散する。もっとイメージを明確にして何回か試してみる。


(一応木とか魔物が分かるくらいの影が見える感じに……索敵索敵索敵索敵索敵索敵……なんかちょっとヤンデレっぽいな)


偽装を習得した時の感覚を思い出しながら念じているとアナウンスが響いた。


“【索敵】スキルを獲得しました”


その瞬間さっきまで半径1mほどの距離をぼんやりと感じ取れる程度の索敵範囲が一気に拡大した。大体半径50mくらいだろうか。


「それなら魔力の場所を探るためだけに特化したものを作れば……」


 残念ながらこの範囲では引っかからない。だが索敵の感覚は覚える事が出来たので魔力の塊を探すためだけに特化させればもっと範囲が伸びると結論づけた。


「我が魔力よ 我が目となり魔力を見よ 『劣化索敵(ソナー)』」


 即興で詠唱を考えて発動させてみる。すると一瞬だけだが半径500mの範囲の魔力反応が確認できた。すぐに索敵情報が消えてしまうのは要改善だな。


 ひとまず一番近い魔力反応に近づくとゴブリンが5体ほどみつかった。


 一匹の首元にオーガソードを差し込み絶命させると訓練用の剣をふるってもう一匹のゴブリンを殺す。


 ようやく反応したゴブリン達は棍棒をふりあげようとするがその隙を突かれ二体は蹴り飛ばされ、もう一体は剣で殴られる。

 全員が絶命したのを見るとひとまず息を吐いた。


「アナウンスは聞こえなかったけどこれで成功したのか?」


一応スキルの確認をするためにステータスボードを開いた。


◆スキル


[鑑定lv5]

[偽装lv3]

[剣術lv3]

[水魔法lv3]

[魔力操作lv3]

[土魔法lv3]

[無魔法lv2]

[使役lv1]

[剛腕lv1]

[威圧lv1]

[回復魔法lv2]

[夜目lv1]

[索敵lv1]


◆エクストラスキル


[強欲の芽レベル1]


 ◆固有スキル


[異種族間交尾]



[夜目lv1] 夜の中でも昼と同じ視界になる。レベルが高いほど暗い場所がはっきりと見える


 ◆固有スキル 本来魔物や魔人のみが持っている生来的に得られるスキル。


[異種族間交尾]  種族が違う相手との交尾でも自分と同じ種族の子供が確実に生まれる。



「一つ目はいいとして二つ目は何だよ!? こんなスキルもらって誰が得すんだ!」


 別に俺はそんなに飢えてないし亜人との子どもは人間と亜人の間でも普通に生まれる。つまりこれはゴブリンのメスとかと交尾しても人間が生まれるという訳だ。


「……もう何か今日はどっと疲れた。とっとと帰って寝るか」


 俺は来た道を引き返すと小屋に入り、スライムを抱きながら綺麗になった小屋の床の上でそのまま眠りに就いた。


 なんか最近書くのがだるく……これがいわゆる倦怠期……いや違う。スランプってやつですかね

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