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オークと実技

「あったあった、取りあえず畳んで持ってくか……ん?」


 ボロ屋に戻った俺は適当に脱ぎ捨ててあった服を畳んでいると何やら玉のようなものが指に当たった。

 俺はそれを取り出して鑑定を発動させる。


[スライムの核

特殊な条件を満たしてスライムを倒したときに低確率でスライムからドロップする。

複数個スライムゼリーで覆うとスライムが使役された状態で生まれる

スライムのレベルは覆ったスライムゼリーの数×二分の一]


「ああ、そう言えばあのスライムの時にこんなのを落としたな。説明文が増えたのは鑑定のレベルが上がったからか?」


 あの後も何度か普通のスライムを倒していてスライムゼリーは30個近く持っている。

またもう一度服をまさぐるとスライムの魔石(4)とスライムゼリーがもう一つ出てきた。どちらもあの時のスライムのものだろう。


「せっかくだしちょっとやってみるか? 使役」


 一度思ったらすぐに行動してしまう。

部屋の隅に置かれているスライムゼリーの山に手に持っているスライムゼリーとスライムの核を投げ込んでみる。


 するとスライムの核がスライムゼリーの中に埋まって行き大量のスライムゼリーが少しずつくっついていき一つの塊になった。


 更にしばらくするとスライムが動き出して同時に俺の脳内にアナウンスが鳴った。


“条件を満たしたため【使役】スキルを獲得しました。”


 動き出したスライムと俺の脳内に響いたアナウンスからしておそらくスライムは無事生まれた? のだろう。一応生まれてきたスライムに鑑定をしてみる。


[【種族】スライム(使役)


【レベル】11


【生命力】1/1


【魔力】 10


【筋力】 12


【防御】13


【持久力】15


【敏捷】 13


【魔攻撃】5


【魔防御】4


【運】30 ]


 どうやら本当にスライムを使役する事が出来たようだ。それにしても弱い。レベル11でこれならレベル1のスライムってどのくらい弱いんだろうか。本当に子供の蹴りで死んでしまうのだろう。


 ついでに使役スキルの方も確認しておく。


[使役lv1] 魔物と契約して従魔にすることができる。レベルが高いほど強い魔物を従魔にできる。契約をする場合は相手と一定以上の親密度が必要。また、従魔と簡単な意思疎通ができる。


 つまりこのスキルを使えばスライムとかゴブリンとかドラゴンとかを使役できるという訳か、ロマンが広がるな。


 取りあえずスライムには待機命令を出して大地に服を返しに行く。



 大地の部屋に着いた俺は大地に服を渡すと気になった事があったので聞いておいた。


「なあ大地、そう言えば今朝神田さんが物凄い剣幕で俺が何で昨日大地の部屋に行ったのか聞かれたんだけど、お前らなんかあったの?」

「ああ、その事についてはおまえは気にする必要はない。気にしたら負けだ」


 そう言って適当にはぐらかす大地。もしかしたら本当に二人は付き合ってるんだろうか。その幸福を俺にわけてもらえたりしないのかね?


 俺たちはそのまま夕食を食べに食堂へ向かった。

 

そう言えばスライムって何食ってるんだろう? スライムゼリーでいいのかな? 小説とかでは空気中の魔素を吸って生きるみたいな設定もあったりするけどどうなんだろう、後で確認しなくては。


 そんな事を考えながら夕飯を食べ俺はボロ屋へ戻る。すると小屋の周りに魔物がいるのが見えた。


 スライムに待機命令を出したままの俺は慌ててゴブリンを蹴り飛ばす。今のステータスなら蹴り飛ばしただけでHPを三分の二ほど削れる。


 そのまま続けて二匹、三匹と殴る、蹴るなどしてゴブリン達をひるませる。そのまま家から鍬を取り出し地べたで蹲っているゴブリンを殴る。最近はほとんど返り血を浴びずに倒す事が出来るようになった。


「ふぅ……んあ? まだ出てくんのかよ!」


 ゴブリン達を全滅させて一息つこうとしたが草むらからまた魔物が出る。今度はゴブリンではない。180センチメートルほどもある、棍棒を持っていて豚のような醜い頭をした人型の魔物、オークだ。


「こいつがオークか、実際に見るのは初めてだな。っと、【鑑定】!」


 念のため鑑定を発動しておく。スライムの時の二の舞はごめんだ。


[オーク lv20

【生命力】150/150

【魔力】15/15]


 どうやら普通? のオークのようだ。ゴブリンやスライムとは強さが段違いだがおそらくこんなものだろう。


 ちなみにこの鑑定スキル、知りたいと思った情報だけを表示させることも可能なようだ。さっきのスライムのようにステータス数値は全て出す事が可能だが無駄に情報が多くても気が散って戦闘の邪魔になるだけだからな。


 ステータスを確認した俺は鍬でオークに斬りかかる。オークも棍棒で迎え撃とうとするが所詮はオーク。大振りな一撃は簡単にかわす事が出来そのまま体に鍬を叩き込む。


「ギュエガァ!」


 痛そうな悲鳴を上げるオーク。やはり硬いな、今の攻撃はゴブリンだったら一撃で潰せていた。


 そのまま鍬で棍棒をたたき落とすと脳天に向けて二発目、三発目をはなつと案外あっさり絶命したようだ。


“レベルがアップしました”


 鍬を布で拭いて血を落とすとドロップアイテムの回収にかかった。ゴブリンの方はおなじみゴブリンの魔石とゴブリンの腰布だ。ちなみにこの魔石、低確率とかいてある割には俺が倒した魔物はゴブリンに限らずはほぼ100%魔石を落とす。これが運300の力なのだろう。今のところそんなに得をしている気分はないが。


 次にオークのドロップを確認すると何やら葉っぱのようなものに包まれた肉の塊とゴブリンのものより一回り大きい魔石が落ちていた。


[オーク肉

オークから高確率でドロップする肉。柔らかく美味]


[オークの魔石 

オークからやや低確率でドロップする。魔力を込めることができるが一定以上の魔力を注ぐと壊れる。(0/20)]


 魔石の方に書かれている(0/20)というのは魔石に込められる魔力だろうか?鑑定レベルが上がったため見れるようになったのだろう。


 ちなみに出てきたオーク肉はスライムがおいしく頂きました。スライムは基本雑食で魔素を吸っても生きる事が可能なようだが普通に食べ物を取り込んだ方がエネルギーを効率よく摂取できるようだ。


 寝る前にステータスの方も確認しておいたがこちらはレベルが上がったからと言って劇的にステータスが上がってるわけでもないのでそのまま寝てしまった。



翌朝、俺は朝練の後ダンと風呂に入っているときにダンにあるお願いをしてみた。


「ダンさん。最近俺の家のあたりによく魔物が出るんですよ」

「ん? ああ、そう言えばおまえは城の外にいるんだったな。あそこはあまり強い魔物は出ないが雑魚は時々出てくる。気を付けておけよ?」

「その事なんですが……最近鍬だけで戦うのは厳しいんで訓練用の剣をお借りしたいなぁと思って……」

「剣? あぁ、別にかまわんよ。あの辺ならせいぜいゴブリンやスライム程度だろうがごくまれにオークも出るからな。用心に越した事は無いだろう」


 いや、昨日普通にオークと戦ったんですけど。まぁ取りあえず許可はもらったし昨日までよりは戦いやすくなるだろう。


「ありがとうございます。ところでオークってあそこじゃ滅多に出ないんですか? 昨日遭遇したんですけど」

「ほう? あそこにオークが出るのなんて1年に1度有るか無いかくらいだぞ? 運が悪かったな」


 ガッハッハと笑うダン。それって笑いごとじゃないと思うんだが? まあ余裕で勝てたから問題ないけど。


 その後は朝食をとったり訓練をしたりして今は魔法の授業を受けている。


「……では、次は皆さんもやってみましょう。訓練場に移動します」


 そう言うとセリスは訓練場に向かう。浅野をはじめとした生徒達もそれについていく。


 訓練場――普段剣の訓練をしている所とは違う、おそらく魔法用の訓練場なのだろう――に着いた俺たちにセリスが声をかける。


「では皆さん。まずは初級の水魔法から始めましょう。私の詠唱に続いてください。

我が魔力よ 水の波動を借りて水を成せ 『ウォーターボール』」


 セリスがそう唱えると人間の頭ほどの大きさの水が飛び出して空中で弾けた。


「まず皆さんにはこれができるようになって貰います。魔法を使う事が出来なければ話になりませんから。まあ皆さんならほぼ(・・)全員可能でしょう」


 俺への嫌味を織り交ぜつつ話をするセリス。だが俺もその程度の魔法は使える。


 「我魔力よ 水の波動を――」「詠唱ってなんかかっこいいね!」「破道の九十『黒○』!」


 魔法を見た生徒達が興奮して真似をしたりはしゃいだりしている。ちなみに九十番台の詠唱破棄は隊長格でもそうそう使えるもんじゃないしお前らにはまだ無理だ。


 俺も魔法を唱える。しかしさすがにウォーターボールなんかはかったるくて使っていられない。


「水の刃よ 『水刃(ウォーターカッター)』」


 セリスや周りにばれないように魔法を真上に出して空中で霧散させる。今のは水の下級魔法の水刃(ウォーターカッター)だ。見た目ははウォーターボールとさほど変わっていないので一瞬見たくらいでは気づかれない……はずだ。


 詠唱破棄で放った魔法だがそれなりの威力はある。どうやらこの世界の魔法は詠唱とイメージ力によって作られる。


今のウォーターカッターで言うと、

魔力を練る・水属性に変換する・水の刃を形作る。水の刃を飛ばす


の四つのプロセスを踏む必要がある。本来これらは詠唱を使用して行うが俺の場合は、


【魔力操作】で魔力を練る(無詠唱)・【魔力操作】で水属性に変換(無詠唱)水の刃を作る(イメージをしながら短い詠唱で不完全な部分を補う)・水の刃を飛ばすイメージをする(無詠唱)


 とこうなる。熟練者が詠唱短縮を可能なのは何度も魔法を使っているからイメージがしっかりとできるのだろう。


 それから二時間ほどするとクラスの全員がウォーターボールを使えるようになった。俺はそこで一つ気になった事がある、習得の早さだ。


 俺が最初に魔法を使っとき、しっかりしたイメージはほとんどないのに詠唱をしたら一発で魔法を使う事が出来た。それに比べてお手本(セリス)を見ているこいつらが魔法を使えるようになるまで一番早い浅野でも30分、遅い奴は一時間半以上かかっていた。


 もしかするとこれが神の言っていた知識量の差という奴なのだろうか? 俺がそう言った小説ばかり読んでいるから自然とイメージがついたからかもしれないな。実際に小説のような事が起こるとは思っていなかったが実際に召喚なんてものをされてみると心強い知識だ。


今までより文字数を長くしてみました。ちなみにいつもより投稿が遅いのは文字数の原因ではありません。作者の腹の具合です。

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