夜這いと尾行
最近一話あたりの文字数が少なくなってきたような気が……あんまり内容が薄くならないように気をつけます。
こんにちは、鎌倉結衣です。お久しぶりですね。
私は今全力で廊下を走っています。この前もこんなことがあった気がしますが気にしてはいけません。
ちなみに私は今顔を真っ赤にしてにやけながら走っています。あんまり考えるとその場で卒倒してしまいそうなので頭の中だけでも敬語にしてとにかく何も考えないようにして走っています。
そして私は目的の部屋に着きました。私の幼馴染の鈴ちゃんの部屋です。私は全力で扉を開け放ちました。
「誠一くんの名前呼びが結衣って図書館で痛いっ!?」
入ってくるなり暴走した私の顔面に拳が飛んできました。女の子の顔にこんなにも遠慮なく拳を叩きこむ人を私は一人しか知りません。
「うう……痛いよ鈴ちゃん……あと何かデジャヴ」
顔面に拳をもらったお陰で冷静になった私は蹲りつつも拳をはなった犯人である幼馴染を見上げる。あ、ちょっとパンツ見えた。
「とりあえず落ち着きなさい。その様子からしてどうやら計画は成功したのね?」
鈴ちゃんは自分のベッドに座るとそう聞いてきた。
「うん、成功したよ! やっぱり鈴ちゃんはすごいよね。まさかこんなにも簡単に名前呼びに持って行けるなんて思ってなかった」
「当然よ、私が考えた作戦よ? このまま作戦を遂行しあなたは彼の部屋に夜這いに行きなさい! 何、心配することはないわ。必要なものはすでにそろえてある。夕飯を食べてお風呂に入って寝る時間になったらこれに着替えて彼の部屋に行く。どう? 簡単でしょ?」
ドヤ顔をしながらとんでもないことを言い出す鈴ちゃん。そんなことをしたらいろいろとまずい気がする。
「もちろんそこまでのお膳立てはしてあげるわ。今日中に彼の部屋を調べ上げておくからしっかりと用意をして置きなさい」
「だからそういう問題じゃないよね!? そんなことをして誠一くんに嫌われちゃったらどうするの!? せっかく名前で呼んでもらえるようになったのに……結衣……エヘヘ」
いきなりトリップしだす私に無言で拳を振り抜く鈴ちゃん。もしかしなくても実は鈴ちゃんは魔王なんじゃないだろうか。
「とにかく、準備をしておきなさい。異論は認めない。ほら、行った行った!」
そのまま私は追い出されてしまった。しょうがないのでご飯を食べに食堂に向かう私の後ろから、
「フフフ。結衣、あなたのその巨大なおっぱいを使って×××して如月くんの×××を×××してやりなさい!」
という声が聞こえた気がしなくもないができるだけ考えないようにしておいた。
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食堂に着いた俺はあたりを見回してみるが鎌倉さん……結衣らしき人影はいない。一旦自分の部屋にでも行ったのだろうか?
いつまでも結衣を探していてもしょうがないので俺も飯を食べることにした。
「よう誠一。一緒にどうだ?」
俺が料理を取って座る席を探していると皿いっぱいに料理を置いた大地がこっちに向かって手を振ってくる。丁度いい、こっちも大地に話があるんだ。
「ああ、一緒に食おうぜ。それと服の件なんだが……」
「ああ、分かってる。そろそろだと思ってちゃんと用意はしてある。心配すんな」
声をひそめて尋ねる俺に同じように小声で返す大地。こいつは本当に面倒見がいいな、いいお嫁さんになれると思うぞ。勉強はできないけど。
「ああ、悪いな。食い終わったらお前の部屋に行くから待っててくれ」
その後も他愛もない話をして飯を食って先に食べ終わった大地が部屋に戻って行った。俺も食べ終わったら部屋に行かないとな。
大地の部屋に行く途中。視線のようなものを感じた。一瞬王女が俺の事を見張ってるのかと思い、辺りを探してみたが見つからないようなので諦めて部屋に入った。




