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スライムとイレギュラー

 俺がボロ屋に着替えを置いて夕食に行こうとすると、またもや茂みから何かが出てきた。


 俺はすぐに警戒して鍬を持ってこようとしたが出てきた魔物を見てその必要はないと判断した。

 

「…………」


 茂みから出てきたのは緑色の粘り気のある体をプルプルとふるわせ、中には核と思わしき球体が入っている魔物――そう、スライムだった。


 この世界のスライムには核があり、その核が無傷な限りは体の部分が十分の一しか残っていなくても再生することができるらしい。これだけ見ると、かなり強い魔物のようにも見える。しかしその代わり、核に少しでも傷がつくと死んでしまうため、子どもでも全力で蹴飛ばせば倒せる程度の雑魚だ。


 すっかり安心した俺はスライムがどの程度の魔物なのか知るために、鑑定スキルを発動させた。【鑑定】!


[スライム Lv90

【生命力】 850/850

【魔力】 10/10]


 ……はい?


 いくらなんでも高すぎやしませんかね? Lv90でHP850? まだ鑑定レベルが低いせいか他のステータスを見ることはできないが多分そのほかも高いのだろう。こんな化け物を蹴り一つで倒せるなんてこの世界の人たちはすごいなー。ハハッ


「っと、現実逃避してもしょうがない、とにかく家の中に入って一回態勢を――」



 ――ととのえて……

 

 途中から言葉は出なくなった。腹に衝撃が走り、肺から空気が搾り出されて体の奥から血が吐き出される。そのまま二メートルほど飛ばされた俺は自分の事を吹っ飛ばした犯人を見ると驚いた。


 スライムが核を拳のように打ち出していたのだ。


 本来スライムのというのはとても脆くて核を少しぶつけただけで死んでしまう程度のもの。と事典には書いてあった。だからスライムは本能的に核を体の内側に寄せて生きている。


 そんなスライムがなぜ俺を吹っ飛ばすほどのパンチを核で打ったのか、答えは簡単。


「俺を殴る程度じゃ核にダメージが入らないってことか?ふざけやがって」


 おそらく普通のスライムで同じことをやったら、俺が吹っ飛ばされる前に核がつぶれて絶命するだろう。本来のスライムはそんなものだ。このスライムは異常ということだろう。まずい、こいつは完全にイレギュラーな存在だ。


 スライムは体をぶるぶるとふるわせると、俺に体当たりで飛びかかって来た。前兆を感じ取った俺は全力で横に逃げる。俺が避けると次の瞬間、俺のいた場所を超高速の物体が通り過ぎて木に激突した。


 おそらく時速200km近く出ているだろう。バッティングセンターの時速150kmなんて目じゃない。


 俺はスライムが木に激突して体勢を立て直している間に鍬を持って来た。そしてとてもスライムが作り出したとは思えない、大きな砂埃を睨みつける。すると今度は最速だと避けられると思ったのか、連続で体当たりを繰り出してきた。


「うおおおおっ!? おらっ! おらっ! おらっ!」


 体当たりのインターバルが短くなったがその分速度も減少したので俺でもぎりぎり捉えられる速度になった。


「おらっ、ふっ!」


 できる限り攻撃を躱して隙があるときに鍬でたたいているが、実際に効いているのかどうかがわからない。


 お互いに一度距離をとると俺はもう一度スライムを鑑定した

[スライム Lv90

【生命力】 650/850]


 生命力を知りたいと思ったからか、魔力が表示されなかったがこの際問題ないだろう。どうやら効いているみたいだが、そこまで減っている訳ではないようだ。

 生命力だけ確認した俺はすぐにスライムに視線を戻すと、スライムはまた体当たりを繰り出してきた。


 もうこの速度の体当たりなら何とか対応できるので横に避ける。が、直感が危機を訴えたので更に後ろに下がって鍬を振りかぶる。


 ――ブチン!


 ゴムが切れるような音がしてスライムの体を鍬が千切った。どうやら俺に近づいてから最初と同じパンチを食らわせようとしていたようだ。


 おそらく核でパンチをするために体を伸ばした結果、伸ばした部分の耐久力が低くなり、鍬で千切られてしまったのだろう。


 最初の五分の一程の大きさになったスライムが慌てる。さっきのような素早さも見せないがどういうことだろうか? スライムの強さはスライムの大きさによって変化するのか?


 色々疑問に思うこともあるがこっちもそんな余裕がない。小さくなったスライムに全力で鍬を振りおろし核を潰した。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」



“レベルがアップしました”


 頭の中で何か響いた気もするが興奮しすぎて聞こえていなかった。スライムの落としたアイテムにも気づかなかったが落ち着いてくるといきなり腹に激痛が襲った。


「がっ!? くそ、いてえええええええ!」


 戦闘中はアドレナリンがドッパドパに出ていたので気付かなかったが、一発で吐血するほどのパンチを食らったんだ。おそらく内臓だか消化器官だかにもダメージが届いているだろう。


 完全に疲れ切った俺は這いつくばってボロ屋の中に戻ると、夕飯にも行かずそのまま眠ってしまった。


誠一くんの二回目の戦闘はイレギュラーなスライムでした。やっぱり戦闘描写って難しいですね。作者が戦闘に関してど素人なのも影響してるんでしょうか?

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