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訓練と図書館デート

日に日にPV数やブックマーク数が増えているのを見てにやにやしている今日この頃。皆さんは如何お過ごしですか?

 俺が訓練場に着いてしばらくすると全員が集まりダンが口を開いた。


「よーし、全員集まったな。俺は騎士長をやっているダンだ。今日からお前らの剣の指導をする。お前らには俺達騎士団より強くなってもらうつもりだから、そのつもりで訓練をするように!」


 ダンが自己紹介をすると俺たちの訓練用の刃を潰した剣を渡され素振りをさせられた。


「お前はもっと顎を引いて……お前は腕で振りすぎだ。もっと全体の重心を考えて……」


 皆が素振りをしている中ダンが生徒たちを見て回っている。俺は朝の特訓を思い出して素振りをすると、思い描いたように振れることができた。


「よし、じゃあ最後に素振りを500回やった奴から上がっていいぞ!」


 ……誰だよ初日は軽いって言ったやつ。


 その後、昼食をとって2時間ほどランニングをさせられた。こう書くと簡単に聞こえるが丸二時間走りこむのは本当にきつい。よく吐かないな皆。


「よし、今日はここまで! 本来ならこの後魔法の訓練があるのだが……生憎魔法の教師のセリス先生が不在でな、魔法の訓練は来週からになる」


 なんで初日から教師不在なんだよ。やっぱ勇者に教える人だから宮廷魔導師みたいな人で忙しいのかね。


「だから今日の訓練はここまでだ、後は各自自由に行動してくれ」


 生徒たちから歓声が上がる。お前らなんでそんな喜べるんだよ。魔法だぞ魔法、夢の魔法への道が遠ざかったんだぞ。


 なにはともあれ訓練が終わった俺たちは訓練場を後にした。


「あ、如月君。如月君ってこの後予定とかあるかな?」


 俺も図書館に戻って魔物について調べようと思っていたら、鎌倉さんが話しかけてきた。こっちに来てから鎌倉さんと話す機会が増えたような気がする。


「俺? 俺は図書館でも行って適当に時間をつぶすつもりだけど……」


 俺が答えると鎌倉さんは目は輝かせて

「わあ! 如月君も図書館行くんだー。私も行きたいんだけど場所が分からないんだよね」


 えへへと笑う鎌倉さん。可愛い、いやだからそうじゃない。


「俺は訓練の前に行ったから場所わかるけど、良かったら案内するけど?」

 俺が提案すると鎌倉さんは急に顔を上げた。


「え、いいの!? じゃ、じゃあ是非……あ、いや、ちょっと待って! 今私汗だくじゃん! ごめん私汗臭いよね。すぐ着替えてくるからちょっと待ってて!」


 ……と思ったら急に顔を赤くしてそのまま行ってしまった。鎌倉さんは俺みたいな男の前でもそういうのを気にするんだろう、勘違いしてしまいそうだ。でも鎌倉さんの汗なら大歓迎だよ結衣たんprpr、とかほざく男子が一定数いそうで怖いな。あ、もちろん俺は違うぞ、本当だ。


 冷静になると俺も汗だくなのに気づいたので、近くのメイドさんにタオルを持ってきてもらって体を拭いていたら鎌倉さんが帰って来た。


「ごめん如月君、待った?」


 着替えてきた鎌倉さんからはいい匂いがする。ついでに着替えてきた服は胸元が強調されてて何て言うかエロい。て言うかなんでそんな着替え持ってんの? 俺なんて一着しか渡されてないよ?


「いや、全然待ってないから大丈夫だよ。取りあえず図書館に行こうか」

 脳内のしょうもない考えを追いやって俺たちは図書館へと向かった。



―――結衣SIDE―――


 私こと鎌倉結衣は今、全力で王城の廊下を走っていた。もちろんそこには理由がある。


 そのまま一つの扉の前まで行き全力で扉を開け放った。


「鈴ちゃん! 大変! 大変な図書館デートの汗だくがぶべらっ!?」


 私が最後まで言い切る前に拳が顔に飛んできた。


「結衣。まずは少し落ち着きなさい」

「確かに暴走した私が悪いけど顔はひどいよ鈴ちゃん」


 顔を押さえてうずくまった私が目線を上げると、ひとりの女の子が立っていた。


 この子は神田鈴(かんだれい)、いつも私の相談(主に恋の)に乗ってくれる優しい子だ。


「だってだって! 私と如月君が図書館デートだよ!? これで冷静になんてなれますか! って痛い!」


 逆ギレする私の脳天に正確にチョップを下した鈴ちゃんは溜め息をついた。


「で、いつなの?」

「今すぐ」

「はっ?」

「だから今すぐ」


 そう答える私に彼女はもう一度拳を振りかぶって……ってちょっと待って!?


「ちょっとタンマ! 落ち着いて!?」

「そんな絶好の機会を前にして、なぜあなたはこんなところにいるのかしら?」


 いつでも拳が射出できるようにと、スタンバイしながら聞いてくる鈴ちゃん。怖い。


「ほら、さっき訓練終わったばっかりで私汗だくじゃない? やっぱりそんな状態で一緒にいたら嫌われちゃうかなって思って……」


 魔王よりも強いんじゃないか、と錯覚させられるオーラをまとった鈴ちゃん大魔王を鎮めるために必死で訳を話す。すると納得してくれたのか拳を下ろした。


「なるほどね、別にあなたくらいなら汗の香りで誘惑してそのままエロいことに持ち込んじゃえばいいのに」

「いやしないよっ!? それにわたしじゃそんなことできないから! それに如月君の前でそんなことしたら絶対に嫌われちゃうし!」


 さらりととんでもないことを言い出す鈴ちゃんに必死で反論する。私なんかじゃ到底無理だ、


「……あのニブチン(如月君)もひどいけどこの子も大概よねぇ……」

「え? なんて?」

「何でもないわよ、どうせ私のところに来たってことは、着替えを選んでほしいんでしょ? 時間も無いみたいだし早くしなさい」


 そうでした。如月君を待たせている事を完全に忘れていた。


「そうだよ、どんな服がいいと思う?」

「大丈夫よ、そんなにあわてなくても。こんなこともあろうかとすでにあなたの服は用意しているわ」


 何とも仕事の早いことである。だが今回は助かった。

 彼女から服を受け取ると早速着替える。すると何か違和感を覚えた、主に胸に。


「ちょっと鈴ちゃん!? いくらなんでもこの服、胸が開きすぎじゃない!? かなり恥ずかしいよこれ!」


 抗議する私の胸を鈴ちゃんは何か恐ろしい物を見るような目で見て,

「いつの間にこんなに差が開いて……さっき私が着たときはずり落ちて着れなかったのに」


 と呟いていた。この服着たんだね鈴ちゃん……

「大丈夫、似合ってるわ、さすが私が目を付けた服なだけはあるわね。自信を持って行きなさい!」


 鈴ちゃんからGOサインをもらい、私は部屋を出てきた道を引き返した。如月君の下へ一刻も早く行くために……



*******

「フフフフ……図書館デートを楽しみなさい結衣。私が厳選した脳殺ドレスの効果を存分に発揮してくるがいい!」


 この日、神田鈴のとなりの部屋に戻ってきた女子生徒の証言によると訓練から部屋に戻ってきた途端、となりの部屋から高笑いが聞こえてきたという。


鈴ちゃんは訓練を受けた後誠一に話しかける結衣の姿を見て状況を察し、一足先に部屋に戻ってスタンバってました。

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