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同業者と情報

 更新が遅れて申し訳ありませんでした。代わりと言う訳では無いですが、二話同時更新となっております、こちらが一話目。


 大地視点です。

「そういえば昨日、城で同業者に会ったわ」


 雲ひとつない晴天。優雅な王城の、人目に付かない中庭でこっそり話し合っていると、神田さんが衝撃的なセリフを口にした。


 腕輪をつけてから約一週間、大きく状況が動いた。


 一番大きな出来事はやはり二日前、浅野を中心として勇者17人が王国を出た事だろうか。それはもう大々的に公表してパレードも行われたさ。尤も、その中に居残り組17人の名前は無かったけどな。


 そう言えば、出発する勇者には一人騎士が付くと言っていたな。その人は女性だったから、監視だけでなく、あわよくば勇者を籠絡して既成事実を作ってしまえとでも考えているんだろう。さすが権力者はやる事が厭らしい。


 浅野も幼馴染を地球に残したままになってしまったとか言って、それなりにショックを受けていたので、絶対に無いとは言い切れないのが不安だ。


 ……と、思っていたらその日の夜のうちに浅野の所に行き、「くれぐれも女騎士をお手つきにするな」と、超ストレートに伝えに行ったらしいが。


 閑話休題。


王国曰く、各地で起こっている魔物の増加などは、すべて魔王の封印が弱まり、瘴気が世界に満ちているせいである。勇者たちは半分に分けて各地の魔物の氾濫を押さえつつ、聖剣の獲得を目指してほしい。また、大衆の混乱を防ぐために俺達の名前は完全に非公表。街の中に魔族のスパイが紛れ込んでいる可能性もあるとの事で、俺達の存在は各国のトップにしか知られていないそうだ。


 しかも、その中でお隣の帝国は魔族に操られている可能性がさらに高いから気をつけるように云々も言われたしな。このままだと本当に、近いうちに戦争に駆り出されてしまいそうだと言うことで、俺達は結構焦っていた。


 そんな状況で、冒頭のセリフに戻る。俺は驚いて神田さんに目を向ける。横を見ると鎌倉さんも驚きの表情で彼女を見ていた。


「何よ、別にそんなに驚くような事でも無いでしょう。予想は出来た範囲よ」


 神田さんは何でもない事のように言うが、これは大きな問題だ。


「いやいやいや、衝撃的なニュースだろ。まさかこっちの世界にも忍者がいるなんて夢にも――」

「誰が忍者よ、誰が。他国の諜報員が王城に忍び込んできただけよ」


 神田さんが俺の発言を途中で遮り、呆れた様に言う。なんだ、同業者と言うからてっきりくノ一でも現れたのかと……


「まあたしかに、想定にはあったとはいえ、本当に来ると驚くね……それで、その人はどこの国の人だったとか、わかるの?」


 俺がアホな事を考えていると、鎌倉さんが真面目に考え始める。鎌倉さんの言うとおり、勇者召喚で思いっきり目立っていた俺達の国に間者や諜報員が忍びこんでくる事は予想してあった。


 それでその人がどこから来たのかと言うと、一番可能性が高いのはハーメルンだったりする。


 おそらくノスティア王国は、ハーメルンから勇者召喚の方法を盗み出したと推測されているので動機としては十分。冷戦状態のグラント帝国の可能性もあるが、それが原因で両者が戦火を交える事になると言う事を考えると、勇者の存在がある以上考えにくいとの事。


 そして、どうやらその予想は当たっていたようだ。


「その人はハーメルンから来ていたらしいわ。何でも勇者召喚の法を盗み出したアホの暗殺と勇者の情報、それと勇者召喚についての文献を全部抹消しに来たんだって。尤も、情報を盗み出した犯人はすでに国から姿をくらませていたらしいけど」


 神田さんはどうでもよさげに言うが、まさか会話したのか? よく大丈夫だったな。


「よくそんな奴と会話なんて出来たよな……普段警戒心めちゃくちゃ強いのに」


 俺の言葉に神田さんは何言ってんだこいつという表情をする。


「はあ? 私からそんな怪しい奴に話しかけるわけがないでしょう。向こうから話しかけてきたのよ。後ろから『ぐへへお譲ちゃん、今どんなパンツ履いてる?』ってね。ちなみに奴は巨乳だったわ」


 お、おう。なんかツッコミどころ満載だな……いや、そんな事よりもだ。


「神田さんが後ろを取られるってそれ、相当な手練なんじゃないか? 本職の忍者を出し抜くようなもんだろ」

「まあね。騎士団長さんと近衛の動きに、注意を割きすぎていたってのもあるけど、それを抜いても隠密の技術は私より上、それにあなた程ではないけど、正面での戦闘も相当なやり手でしょうね」


 神田さんが少しだけ悔しそうに呟く。多分気付けなかった事が悔しいんだろうな。


「でも何でその人はわざわざ話しかけてきたりなんてしたんだろうね? 忍びこんできたのなら、見つかる危険を冒してまで敵か味方かわからないような人に話かけるかな?」


 鎌倉さんの至極尤もな疑問に、神田さんは溜息をついた。


「それだけ余裕があったというのと、私が勇者の中の一人かどうかを確認したかったんでしょうね。見回りが来ないタイミングを見計らってたみたいだし、そんな余裕も含めて私より上って事ね。勇者について色々聞かれけど、こっちもある程度の情報を教えてもらえたのは大きいし、結果的には良かったのだけれどね」


 その後、神田さんはその人に教えてもらったと言う情報を話し始めた。


 曰く、近い内にお隣のグラント帝国と戦うのはほぼ間違いない。そうなれば、勇者という存在がいる以上、周辺国はまず王国側に立たなくてはいけない為、帝国はほぼ確実に負ける。


 その後、魔王討伐に向けて本格的に動き出す事になるのだろうが、魔王討伐に成功した場合、王国は大きな名誉を得ることになる。この大陸にはそこまで宗教的に強い力を持った国が存在しないため、この国が宗教的に大きな力を持てば、将来的には天下統一を目指して動き始める可能性さえある。


 そのためには、勇者の内数人は人質にとられ、場合によっては俺達の誰かが、勇者――特に浅野辺り――への見せしめに殺される事も考えられる、とのこと。


「待っていたらどんどん状況が悪くなるものの、この腕輪が勇者全員から外れない限りは動くのは難しい。でもこれを外す方法は今の所腕を斬り落とすくらいしか方法が無い。と」


 要するに状況は最悪ってことだ。浅野が【勇者】スキルを発現させれば浅野だけは隷属状態から解放されるのだが、それでもクラスメイトを盾にされては動けない。


「俺が調べた限りじゃ、隷属の腕輪を力づくて解除するのは不可能だ。となると主人に洗脳をかけて外させるか、さっき言ったみたいに腕を斬り落とすしかないだろうな。俺達の中の人間が洗脳系の魔法を習得するのは難しいし、ほぼ護衛が付きっきりの王女に洗脳魔法をかけて解除させるってのは非現実的だ」


 となると本当に腕を斬り落とすくらいしか方法がなくなってしまう。鎌倉さんの回復魔法はどちらかと言うと、外傷よりも病気や毒の治療などに長けているため、まだ部位欠損を治すまでには至っていない。


 具体的な結論が出ないまま、俺達は頭を悩ませるのだった。

 大地さんのステータス。上昇値は忍者と勇者(77話)のあとがきで書いたステータスから比較。


【名前】 ダイチ・ノモト  17歳


【性別】男


【種族】人族


【レベル】27(10↑)


【生命力】330(80↑)


【魔力】 360(100↑)


【筋力】 310(60↑)


【防御】300(60↑)


【持久力】340(70↑)


【敏捷】 310(65↑)


【魔攻撃】280(120↑)


【魔防御】210(40↑)


【運】100


 ◆スキル


※鑑定系スキル

[鑑定 lv7]

[看破 lv7]


※隠蔽系スキル

[偽装 lv5]

[隠密 lv6](2↑)


※戦闘系スキル

[剣術 lv7]

[見切り lv6]

[威圧 lv6](2↑)


※魔法スキル

[魔力操作 lv7](1↑)

[水魔法 lv6](1↑)

[土魔法 lv7](1↑)

[火魔法 lv7]

[光魔法 lv6](1↑)

[魔法陣魔法 lv6](2↑)

[闇魔法 lv4](NEW!)


※索敵系スキル

[遠見 lv5](1↑)

[索敵 lv6](1↑)


※生産系スキル

[裁縫 lv1]


◆称号


[異世界を渡りし者]

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