表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/128

大図書館とラオスティア

 真面目に訓練を受けるとはいっても、訓練開始の10時まで後二時間ほどある。どこかで時間をつぶせるところは……そういえば王城は国の図書館とつながってて王城から自由に出入りできるらしいな。訓練場の場所は覚えたし図書館で本でも読んで時間をつぶそう。


 食堂の隅にいたメイドさんに案内してもらって図書館に来たが……とにかくでかい。ヨ〇バシカメラ本店くらいの面積はあるな。それで4階建てだ。ここが二十四時間営業だったら、もうあんなボロ小屋じゃなくて図書館を住処にしたいほどに豪華だ。夜10時から朝5時までは閉館しているらしいが。


 さすがにここまでの数の本があるとは思わなかった。ちなみに入口付近にあった本棚から数冊を手に取ってみると、エロ系の小説だった。何故入口のそばに置いた。


 俺がここに来た目的はこの世界の常識を知るためだ。今俺は召喚されたばっかりで何も知らない。日本の常識に引っ張られているせいで、その辺の子供とも認識がずれているかもしれない。この世界に一刻も早くなれるために情報収集は必須だろう。


 とはいっても俺一人じゃこの大量の本から目当ての物を探し出すだけで1年ほどかかりそうなので、近くのカウンターで本を読んでいる爺さんに聞く。


「あの、すいません。この世界の常識みたいのが分かる本ってどこに置いてありますか? 後は国周辺の地理が分かる本に魔物や植物などの百科事典も、それと勇者の伝説について書かれた本もあれば教えてください」


 一気に聞いた俺に爺さんは俺をジロリに睨むと

「そんなに一気に聞いてどうする。まさか全部読むとか言いだすわけではないだろうな」

 と、言ってきた。


「そのまさかですよ、二時間もあれば読み終わりますから」

 俺が自信満々にいうと爺さんは呆れたような目を向けた。


「まあ好きにしろ。この世界の地理と事典については1階のAブロックだ。世界の常識と勇者の伝説についてはこの階のCブロック……ここの向かい側だ。詳しいことはそっちにいる奴らに聞け」

 爺さんはそれだけ言うとまた本に目線を戻してしまった。って待てこらじじぃ、お前が読んでんのもエロ本じゃねえか。


 俺はエロじじぃの下を後にするととりあえず反対側の本棚に向かった。

 そちらでは世界の起源についてと勇者伝説の本を、合わせて20冊ほど受け取った。


 そこでも司書のおばちゃんにどんだけ持ってくんだこいつ、みたいな目を向けられたが構わない。


 空いている読書スペースを見つけるとそこに腰かけ最初の本を手に取っていく。じっくりと読みたいところだがそこまで時間に余裕はないので見開き1ページ5秒くらいのペースで活字を追っていく。


 途中で俺の読むスピードに驚いて前で本を読んでいたおっさんがポカンとしていたがこれで大体のことは分かった。


1、暦について、


 この世界は一日二十四時間、一週間が 無、火、水、風、土、闇、光 の七日間で無の日が日曜日に当たる。


 一か月は四週間で、一年間は十三カ月で正月に当たる神の日が別にある。合計で三百六十五日。

 四年に一度閏年があって、神の日の次に聖霊の日というのがあるらしい。


2、この世界について、


 この世界は三つの大陸からなっている。

 三つの中で一番大きい大陸には主に人類が住んでいる。一つの大陸の中にエルフや獣人、ドワーフと言った種族が暮らしているが、エルフは基本的に人里から離れた森で暮らしているらしく詳しい事は分かっていない。


 その次に大きな大陸が魔大陸、魔族が住んでいて魔王が封印されている場所。つまり俺達勇者がカチコミしに行くところである。


 最後に一番小さい龍人族(ドラゴニュート)が住んでる龍大陸。何でも龍人族は出生率が低いので年々人口減少の傾向にあるらしい。なんだか日本みたいだな。


3、勇者について、


 何でも魔王を封印したのが、昔召喚された勇者らしい。1000年ほど前に、死闘の末魔王を魔大陸の地下に封印したものの、今になって封印が弱まってしまったというわけだ。


 ちなみにこの勇者は魔王を封印した後幸せに暮らしたと書いてあるが、実際はどうだかわからん。その力を恐れられて迫害を受けていたかもしれないし召喚した国の奴隷に落とされて戦争の道具として死ぬまでこき使われたのかもしれない。まあ、この本は人間界側の人間が書いたものだ。人間界側に都合よく脚色されているのだろう。もしかすると、そもそも魔王が実はいい奴だったのかもしれないしな。

 もちろん、本当に勇者が英雄としてあがめられた可能性もあるわけだが、王女の態度を見ているとどうしても信じられないんだよな……


 本を元の場所に戻してから時計を確認すると一時間半ほど時間があったので一階に行って地理や事典の方も確認しておくことにした。


 こちらでも大量に本を受け取って司書さんに物凄く変な目で見られたがここは気にしない。が、ここで誤算が生じた。


「いくらなんでも事典でかすぎだろ……最初は地理だけにしておくか」


 さすがに事典が広辞苑の倍近くあるとは思わなかった。とりあえず王国周辺の大雑把な地形と近隣の国の名前だけ頭に刻み込んでおく。


「大体こんなもんかね。……っと、もうそろそろ時間か」


 いつの間にか訓練の時間が近づいていたので、本を本棚に戻すと少し急ぎ足で訓練場へと向かった。

祝!総合PV数8000越え!


この小説はPV数や感想等を養分にして育って行きます。

ご意見・ご感想をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ