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Luge  作者: トト
7/7

Krieg(クリーク)~戦争~

皆さんお久しぶり?です。


トト=ブリュンヒルデですb


…え?誰だよ、だって?


いやだからトト=ブリュ…


はいみなさぁ~ん、トトです。知ってましたか?私トトですb


今回で過去編が…!!!


終わりませんねw次回で終わるのは確実?なんですが?


なるべく終わらせますはい…


とうとうお待ちかね、今回は戦闘シーン入りです!


上手く書けてるか微妙ですが不満な点やここは違うやろと思ったことはどうぞいってやってください!!!


…あれ?これ…後書きに…

「こりゃ~酷いな…」


Luge(リューゲ)に転界すると霧が視界を妨いでなにも見えなかった。


徐々に霧が晴れていく、すると直ぐ様眼前に入ってきたのは死体の山だった。


しかも死にかたに難あり。ここ一帯に転がってる死体全ての上半身が、ない。


誰が何のためにやったかは知らんが…この殺しかた、見覚えがある。


俺が知ってるなかでこんな殺しかたするやつはたった一人だけだ。


厳島(いつくしま)覇喰(はじき)俺の父と母、霧葉の父を殺した復讐の根源である。


俺の父と母もまた惨たらしい殺され方をしていたし。


霧葉の父の死にかたも聞いたが…惨い。


その一言に尽きる程だ。


周りを見渡しある一定方向に眼を向ける。


(誰か…いる)


「…お久しぶりね、夜霊 虚葉さん」


「なんだあんたか、戦争屋」


ふざけた口調で返事を返す。


霧の奥から出てきたのは戦争をやるなかで知り合った傭兵会社の創立者けんSS級傭兵の亡督(なきかみ)(かえで)、性格はゆっとりしてるタイプだが戦争や殺し合いの時のSっぷりは身震いするほどだ。

髪の毛は赤茶でロングストレート、モデル顔負けのスタイル、開いてるか開いてないのかわからない目が特徴である。


実力はまずこの世界でもトップクラスの部類の人間だろう。


「前会った時は戦争株式会社だったわよね?次会う時は戦争野郎にでもなるのかしら?」


「いや、次は戦争大好き女だ。お前関わってんだろ?この戦争の(もと)に」


「残念ながら今回は関わってないのよ…あら?御自慢の眼はどうしたの?」


「あん?持ってるが」


瞼を閉じ呪いを引き出す。眼が徐々に燃えたように熱くなり始め、それを確認すると眼をゆっくりと開ける。


「フフフ、本当欲しいわぁその眼」


亡督はうっとりしながら俺の眼を見つめてくる。


「悪いな、この眼はもう俺の出もなければお前の物になることもない飾物だ」


「貴方のじゃ、ない?」


「おっと、これ以上は教えられない」


亡督に釘を指した後、眼を(しま)う。


「焦らすわねぇ」


今この会話で気付いたと思うが俺は眼を持っている。


これが弐重契約の一つ、現実の理ではこの眼はもう俺のではなく霧葉のものなのだが、その理を一時間から五時間の指定時間の間無効にする。


本説は俺にあったが霧葉に移行、今は霧葉が本説で俺が仮説の状態だ。


この弐重契約は本説と仮説の裏の説、裏説だけを変えることによって一時的に呪いを戻すことのできる契約である。


時間はさっき言った通り一時間から五時間の間を指定してその時間帯だけ呪いを戻す、時間が切れたら自動的に呪いは現所持者の場所に戻る。


当然一回きりの効果だ、二回目はない。


亡督と会話をしていると妙な気配を感じとる。


「…狙われてるな」


「あら、いつの間に」


「なに呑気に首傾げてんだよ…てかお前今日護衛的な奴等はいないのか?いつもお前の周りにくっついてたろ?」


亡督は「わかってないわねぇ」とでも言いたげな雰囲気で首を振る。


「たまには一人になりたいものよ?」


「なんじゃそりゃ…」


「乙女心がわからないの?」


「俺は男なんでね」


「…わかる気はないの?」


妙に突っ掛かってくんな。


「なんだよ、わかってほしいのか?」


「いいえ」


「………」


いつもならツッコミをいれてもいいところだが今回はそうもいかない。


「あら、珍しいわね。貴方が焦ってるなんて」


「勝手に入ってくんな」


「怒っちゃって…ゾクゾクしちゃう」


俺はお前の発言に変な意味でゾクゾクするっつの。


「…あら?」


「ちっ、立ち話なんてするんじゃなかった…」


どうやら囲まれたようだ。


「いいじゃない、久しぶりの殺しでしょ?」


「…いや…」


「…え?」


「なんでもない、ここは任せていいか?」


「逃げる気?」


「この戦争を最後にしたいんだ」


「戦争は終わらないわ、人という概念が有り続ける限り、絶対に、ね」


「…他の奴等の戦争じゃない、俺自身の戦争を最後にしたいんだ」


「今更人を殺すのをやめるの?」


「あぁ…」


「……卑怯者」


「ありがとよ」


(シュッ


ふざけたように礼を言うと霧の向こう側からナイフが飛んでくる。


俺も亡督も難無くそれを交わす。


「私、お話の邪魔されるの大嫌いなの」


亡督は右手を前に出したかと思うと直ぐ様横に振る。


たったそれだけで霧は風によって消えた。


「あら?見たことのある顔ぶれねぇ」


「なんだ?知り合いか?ならさっさと話しつけてくれ」


「連れない人ね…まぁいいわ、空の女王たる私に攻撃を仕掛けてきたということはそれ相応の覚悟は当

然、出来てるわよね?」


相手は男もいれば女もいる、当然俺は知り合いでもなんでもないが。


Himmel(ヒンメル)の長に用はない、私達はそこの男に用がある」


「…とか言ってるわよぉ」


「俺はこんな奴等知らんぞ」


「私達もお前なぞ知らん」


「じゃ関わんな、ついでに喋るな、プラスで、消えろ」


「…正論なのか否なのかわからないところね…」


「正論だろ、んでお前らは…雇われか?」


言葉と共に目を閉じ眼を開ける。


空気が一瞬にして変わる、相手側の奴等は空気が変わったと察知したのだろう、一歩下がり構えをとる。


接近戦重視の武器がほとんどか…


俺は空間から愛用の銃、ガバメント二丁を出す。


銀色に輝くその双方の銃を相手に向ける。


「……その銃…お前まさかっ!?」


「今更気付いたの?ま、でも気付けて良かったわね。後ちょっと気付くの遅かったら~…フフフ、どうなっていたのかしらねぇ」


「ちぃ!今すぐ覇喰(はじき)に報告しに行…」


俺はその名を聞き逃すことなく捕らえた。


名を聞いた途端体が勝手に動いたのだ、瞬きをする間にリーダー格の男の目の前まで移動する。


銃は構えず、ただ死線を向け目の前に立つ。


「…(ゴクッ」


「今、覇喰と…言ったな?」


「あ、あぁ」


「どこにいる、その名の男は今、どこにいる!!!」


頭に銃を押し付けると男は後ろに倒れてしまう。


だが容赦はしない、それがなんであろうと。


「立てよ…ほら、さっきまでの威勢はどうした!!!!」


「は、くっ、息、が!」


どうやら呪いの狂気に負けたようだ、呼吸困難になってやがる。


「た、隊長!」


「やめてくれ!隊長が死んじまう!」


「俺はな~んもしてないぜ?」


「くっ、覇喰の場所は私達が教えるから…隊長を!!!」


「いや、だから俺なんもしてないっつの」


「なにもしてないのにこんなに苦しむはずないじゃない!!」


涙を流しながら一人の少女は言ってきた。


だがなにを言われようと俺にはなにも出来ない、何故なら俺はなにもしていないからである。


「おい亡督…」


「貸しよぉ」


「こんなんで貸しかよ…」


「くっ!苦し、い!たす、け…」


「はいはい」


亡督は男に近づいていき男の頭に手を当てた途端。


「ハァハァ!!!」


呼吸困難が治る。


「疲れたわぁ、私治癒は苦手なのよ?知ってるでしょ?」


「知って…え?そうなの!?」


ちょっとふざけてみたりする。


「白々し過ぎるわよ」


亡督にツッコミを入れられる。


そろそろ十五分がたつ、早く終わらさなければ。


…霧葉は、生きているだろうか?もう、死んでいるかもしれない…


呪いはなにがなんでも主人の元に戻るよう出来ている。


その主人が最早死んでいようともである。


だから俺には彼女が生きているかどうかを確認する術はない。


俺はまだ倒れている男に再度質問を投げ掛ける。


「遊んでる時間はないんだ、案内、頼む」


(この人ともあろう偽り(じゅばくしゃ)が、頼む?…フフフ、この戦争…楽しくなりそうだわぁ)


………


着いたところは施設ような場所だった。


案内をしてくれた男は目的地に着くと急に話しかけてくる。


「…お前、この戦争が終わると思うか?」


「この戦争が例え終わっても、人間は愚かだから必ずまた戦争を起こす」


「俺と十も変わらないっていうのに深いこと言うんだな」


「そうか?、あのさ…」


「…?」


男は無言で首を傾げてくる。


逆になにも言ってこないことに安心感を抱いた俺はそのまま口を動かす。


「あんたは『大切なもの』って、知ってるか?」


「また深いことを…『大切なもの』か…昔はあった。今は、俺にとって『大切なもの』はあいつらぐらいだ」


後ろの仲間を指差しながら言う。


『大切なもの』…それは脆く、遠いもの…


俺には大切なものなどなかった。


銃は『大切なもの』、などではない、ただの人殺しの道具に過ぎない。


なにもなかった。普通ならいるはずの母と父はいないし、兄弟がいるわけでもない。


いつしか俺にとっての『大切なもの』は、殺しの道具になっていた。


生き残り復讐するために、母と父を殺したやつとほぼ同じことをしていた。


そんな時、俺に守るべき者が出来た。霧葉である。


突如俺の前に現れた彼女は目が見えないという障害を持ち、父を殺されたのにも拘わらず復讐心を抱いていなかった。


俺には、理解出来なかった…


最初は目が見えないという障害を持っているから復讐自体がもう出来ない、と諦めたのかとも思っていた。


彼女の場合そうじゃないのだ。


本当に殺しはいけないと思い、復讐自体が意味のないものだと思っているのだ。…正論、ではある。


だが俺にはわからなかった。その正論は俺にとって言い訳としてしか解釈出来なかったからである。


…俺は…


理解する気がなかったのかもしれない。


自分を変えてくれるその思考と人を、俺は手放してしまったのかもしれない…


復讐とは?殺しとは?


今更だがそういう考えを改めて思いださせてくれる。それが俺の守るべき人間、霧葉だったんだ。


たった一年、だが一年…


ちょっと不思議で、ちょっとドジで、あまり喋らない障害を持った『嘘』の住人。


霧葉よぉ、俺はお前の大嫌いな俺になる。


…人を殺す、俺になる。


歩き出す。


「おっさん、その大切なもの…俺にもできっかな?」


「お前次第じゃないか?さっき、お前の力に圧倒された。その歳で何人殺してきたかも予想はつく」


「…なにが言いたい?」


振り向き男に顔だけ向ける。


「お前は死に対して無抵抗過ぎる。そんなんじゃ守れないだろ?」


「そうだなぁ、じゃ俺は守れなかったんだな…」


霧葉のことを思い出す。


守るべき者を、守らなくてはいけない者を、ほぼ殺した同然のことをしたのだ、俺は…


「…大切なものがあったのか?お前にも」


「つい一時間前ぐらいに捨てちまったよ、だけどまだ生きてるかもしれない。そんな淡い願いを持ってこの戦争を終わらせる」


「お前、相手が何千でどんな力を使ってくるか知ってるのか?戦争を終わらせるなんて言ってるんだ、それぐらいは知ってるんだろうな?」


「知らねぇよ。相手がどんなやつかなんて知るか、なんだぁ?調べろってか?時間の無駄なんだよ。どうせ殺すんだ」


(…なんだ?今の息苦しさは、普通の人間からでる気じゃない…さっきなんて息が出来なかったし…こいつは一体…)


「…話しは終わったかしら?」


不意に亡督が話しかけてくる。


俺はまた足を動かし始める。


「よく、見ておきなさい」


「やつをか?」


「そうよ、あの人をよ。幾多の戦争を十代で全て乗り越え、幾多の戦争で何万という人間を殺し、幾多

の戦争で戦争を学んだ。それが彼、夜霊 虚葉…」


「…なるほど…なるほどなるほど、俺はとんでもないやつに手を出そうとしてたわけだ」

………


俺は施設のような教会の扉の前に立つ。


凄い魔力の放出量だ。儀式でもやっているのか?


「ま、なにをやっていても俺にはなんの関係もない、か…」


………


「だがたった二丁の銃でなにが出来るんだ?」


「フフフ…」


不適な笑みを浮かべる亡督、それに続くかのように俺も笑みを浮かべ質問に応える。


「いい質問だおっさん、この銃が二丁あるだけでなぁ…」


銃を地面に向けて両方合わせて六発撃つ。


その撃った場所をキテンに魔方陣が展開される。


俺は亡督とおっさんとおっさんの仲間の方に体を向ける。


そして不適な笑みを継続したまま言う。


「…この戦争を終わらせらることが出来る」


右手に持っていたガバメントを空に向け発砲する。


魔方陣は俺の足元を超え、半径ニ百メートルまで延びる。当然亡督達がいる場所も魔方陣の展開内である。


「な…っ!?」


「亡督、そいつら守ってくれ」


亡督はその言葉に反応する。


「人の世で、なにがあったか調べる必要があるわねぇ」


その言葉と共に亡督がおっさんと複数の仲間に風の魔法をかける。


「…調べなくてもわかるさ……俺は今一度、人殺しに戻る。ただ関係のない者には被害を加えたくないだけだ」


「『嘘の世界』だからって嘘つくなんて…笑えないわぁ」


「ダジャレでもなんでもないからな…」


「戦争の真っ只中だっていうのにお前ら呑気だな…」


「変な静けさよりましだろ?…んじゃ、始めっかな」


俺は施設に向き直る。


施設自体はそんなに大きくはないが目の前にすると異様な感情を覚える。


だが今はその感情を詮索してる暇はない。


「…燃えろ…」


その言葉には魔方陣を起動させる魔力が込められてると共に、この状況下を楽しむ高ぶる感情と…後悔の思いもこもっていた。


魔方陣が紅く光始める。


その吐き気がする程に光った魔方陣の線から火が炎々と出始める。


「…火、いや…なんだこの魔法は」


「フフフ、あれはただの『嘘』よ、火であり、また、火ではない…視ては駄目、聴いても駄目、触れて

も駄目…あれは五感では絶対感知出来ない物。それが『嘘』の魔法よ」


「死でなく、また真でもない。それは…嘘であった。」


火の火力が一気に増す。


魔方陣全てに火が廻り、施設に火は移り燃え始め焼け落ちていく。


数秒程で建物はやけ崩れていき中には人影が数人。


真っ黒なフード付きのコートを羽織った人間。


「火が効いてない…貴様ら六感…いや、第七感まで使えるのか?」


『………』


あ、無視ですか…


「この中に厳島(いつくしま) 覇喰(はじき)という名の者はいるか」


最初は誰も動かなかったが、数秒程たつと一人の男らしきがたいの黒コートが前に出てきた。


男はフードを取ると俺の目を直視し言ってきた。


「私だ。私が、厳島 覇喰だ」


「お前か…始めまして、だな?」


なんだこいつの目…まるで光がない…


自分の意識あるのか?


それよりなんだ?こいつの魔力と霊力(呪力)の半端じゃない量は…


俺のように身体に呪いを所持している訳でもない、だからと言って生まれつき持っている『器』もそう大きい訳でもない…


俺は眼を使う。


「…なるほど」


こいつ自身に意思がない?だがそしたら何故喋れる?まるで意思があるかのように俺と目が合うんだ?


疑問疑問疑問…


だがそんな疑問もまた俺の前では無意味。


「人形師、か…ちっ、名前まではわからんか」


眼で見てみるもこいつら自身に人形師の名前が吹き込まれていないため残念ながら黒幕には近づけなかった。


…だが待て、引っ掛かる点が一つ…


『俺の母と父を殺したのは厳島 覇喰ではない』


という可能性…


殺したのはこいつだとしてもだ。


殺す時にもう人形師の手中にこいつがいたとしたら?俺は最悪の誤解をしたまま復讐を果たすところだった訳か、眼には感謝だな。


…だが、殺したことに代わりはない。


ただ殺すべき相手が一人から二人になっただけのお話だ。


俺はこの思考を巡らせた時に「はっ」と気付く。


(やはり人は一年なんて数字じゃ変われやしないんだな…)と。


「…ハハハ」


おかしくなってつい笑ってしまう。


……


「笑った。しかも眼を使ってる状態で…本格的にまずいわねぇ」


「なにがまずいんだ?」


……


フフフ、ハハハ…


「…うっ」


急に嗚咽が襲ってくる。


それさえも


!!


「クックックッ、アハハハハハハ!!!!!」


『なにがしたいなにをしたい?お前のその眼はお前が望む全ての願いを全て叶えまた、与えてくれる産物だ』


声が聞こえた。


美しい囁きだった。


まるで()ってしまえと言っているような…


まるで壊してしまえと言っているような…


そんな誘惑的囁き…


「ハハハ…カカ…」


……


「まずいわねぇ、壊れたわぁ。退いた方が賢明かも」


「退くって…アイツはどうすんだよ!」


「どうすることも出来ないわよぉ?見てわかるでしょ?」


「いや、笑ってるのはわかるが…?」


「狂ったの。しかも呪いにやられて、ね」


「よくわかるな」


「空気が変わったじゃない?わからないの?なんなの?死んだらどうかしらぁ」


「隊長を虐めないでください!」


「…なに?貴女から死ぬ?」


「ひぃ!?た、隊長ぉ!」


「貴方達といると疲れるわねぇ。…まずい」


「あん?」


……


俺は後ろから聴こえているはずの亡督やおっさんの声はまるで頭に入ってこず、ただ目の前のこいつらを殺すことだけしか考えられなかった。


余った銃弾をまた地面に撃つ。


肩の位置まで銃を持っていきマガジンを抜く。


(シュッ


鉄の擦れる音と共にマガジンが落ち、落ちた瞬間に肘の部分から新しいマガジンが空間から出てくる。


そのマガジンを両腕を横に振りながらマガジンには触れず装填する。


(カシャンッ


「…準備はいいかぁ?」


「……」


「また無視ですかい」


俺は「ハァ」とため息をひとつつく。


すると敵さん方は一歩後ろに下がり魔力を込め始める。


(ザッ


「おせぇんだよ」


最早遠慮する価値無し。


込めてる時にはもう俺は後ろにいた。


ただ姿と音が付いてこれていないだけだ。


黒服の連中は一瞬にして周り込まれたことにより俺が元居た場所に逃げるように退避する。


…だが…


「カッカッカッ、眼使わなくてもそこに逃げることぐらいわかってんだよぉ!!」


「っ!?」


黒服の達が地面につくと、マガジンを変える前に撃っておいた魔方陣が展開される。


ヒュッという風が集まる音が聴こえたかと思うと、魔方陣の真ん中に手の平サイズの小さな球体が現れると共に、魔方陣自体に結界が張られる。


俺は黒服達を馬鹿にしたような口調で言う。


「当然、死なないよな?」


それは一瞬の出来事ではあるが絶対的に見た者の脳裏に残る一瞬…


( !)


それは嘘の音、目の前では確かに絶大な爆発が起こっているがこれは嘘の魔法、有るが無い魔法。


……


「…なんなんだ今のは、音なんてこれっぽっちも聴こえなかったのに、耳元で爆発が起きたようなあの感覚…これも『嘘』なのか?」


「見ての通りって感じかしらぁ…フフフ…アハハハ、ハァ、ハァ…欲しいわぁ~彼の全部が、欲しい!!」


「…変なこと言うんじゃねぇよ亡督!鳥肌たっちまったろ!」


「まだ戦闘中でしょ~?油断大敵よぉ」


「…アイツら逃げやがったよ!爆破寸前、どっかに転移しやがった」


てか推測ってか事実を話してる場合じゃないのが今の俺達の置かれてる状況だ。


奴等がどっかに転移したと思ったらこの施設のような教会に全力で向かってきている人間がザッと三万程度。


「…あらあらまぁまぁ、凄い量ねぇ」


顔を赤くしてちょっと問題がある発言をする亡督。


『ッブ!?』


おっさんの仲間の若い衆(男)達が問題発言に過剰に反応する。


「若いわねぇ」


「お前まだ二十歳もいってないだろうが…それよりか、この状況どうしたもんかね」


「まずこの人達をここから離さないとよねぇ?」


「なっ!?ここまで来たんだ最後まで…」


「無理」「無理よぉ」


おっさんは俯いて黙り込んでしまう。


数秒の沈黙が続くとおっさんは俯いたまま口を動かし始める。


「…もう俺達は雇い主を裏切った時点でアイツらの敵になったんだ。今更ここを離れたところでアイツらに殺されるだけだ…」


「お前、守る気ないだろ?なにが「殺されるだけだ…」だよ。死に無抵抗なのは認めてやるよ、でもあんたは逆に死に抵抗し過ぎなんだよ。命に代えてもこいつらの命守ってやるていう気持ちはないのか!?アンタの…大切なモノなんじゃないのか!!!なら守ってみせろ!!!なにウジウジしてんだよ、みっともねぇ!!!!」


男は一つ笑みを溢す。


誰に向かってやったわけでもない、紛れもない自分に向かって笑みを溢す。


「…ハハハ、まさか俺の一.五倍も年下のやつに気付かされるなんてな。みっともねぇなぁ…」


「っと、しんみり浸ってる時間もなくなってきやがった!!早く転移の用意を!今から時間を掛けて作

った転移魔方陣なら充分な距離に転移出来る!」


「…小僧!『お前に聞く』、名を、なんという?」


「夜霊 虚葉、ただの…魔法使いだ」


おっさんは「ふっ」と鼻で笑うと仲間に転移魔方の準備を急がせる。


俺は「そうだ」と切り出す。


「そういやぁおっさんの名前聞いてなかったわ、『アンタに聞く』、名をなんていうんだ?よかったら戦場を前にした俺に聞かせてくれや」


数秒の間が空いて


「…死葬(シソウ)如月(キサラギリュウ)流、如月家次期当主、になれそうにない…如月(きさらぎ)大樹(たいき)だ…」


「カカ、花の如きかなその月の名…覚えておこう」


「生意気な小僧だ」


「うるせぇおっさんだ」


顔を見合わせ笑う二人はまるで、親子を思わせるような…そんな存在。


『そうだ夜霊、俺はお前を気に入ったよ』『そうだ如月、俺はアンタを気に入ったよ』


まるで打ち合わせでもしていたかのようにハモる。


話してるうちに遠目でだが、確認出来る範囲まで敵は近付いていた。


だが男は馬鹿だ。


「生きて帰って来い、オレンジジュースぐらい奢ってやる」


「ふっ、当然果汁百パーセントなんだろ?」


「当たり前よ」


そして男は…


「…行きな」


「……おう」


格好をつけたがる…


如月とその仲間は魔方陣の中に消えて行った。


その後戦場には男と女の二人が残った。


「なんだ?一緒に死んでくれるのかいハニワさん」


「死なせない為に残ってるんじゃなぁい」


「カカ、ありがてぇ…だけどな亡督…」


俺は亡督に近づき肩に手を置く。


そして肩に置いた手に魔力を込める。


「なんのつもりかしらぁ?」


「いや、アンタには色々と恩がある。それにアンタには大切な仲間がいる。こんなところで馬鹿みたいに死ぬなんて…それこそ、馬鹿だ」


「…あらあらまぁまぁ…殿方は御優しくなられましたのねぇ」


「悪いな。俺は臆病者だからよ…」


「私は残酷非道な貴方も、御優しい貴方も好みですのよぉ?」


「ありがとうよ。ここに来て帰る理由が二つもできちまったよ…」


魔力を放出、亡督を基点に魔方陣が展開されていく。


「あ、もう一つアンタを死なせたくない理由あったわ」


彼女は人差し指を顎に当て首を傾げながら「なにかしらぁ」と言ってくる。


「アンタさ、戦争は好き出しちょっとSなところあるけどさぁ…」


魔方陣が光始め転移がいつでも出来る状態になる。


「やっぱしアンタ可愛いからよ、死なせなんてしちまったらこれから、もしかしてアンタのことを好きになるやつに頭が上がらなくなっちまうじゃねぇか…あ、今のは未来を見た訳じゃねぇからな?俺個人の言い分だ」


亡督はなにも言わず硬直したまま顔を赤くしていた。


「ハハハ、『空の女王』のお前がまさか顔真っ赤にするなんてよ~…ふっ、最後に良いもん見せてもらったぜ」


俺は亡督に背を向けて歩き出す。


すると後ろから小物が飛んでくる。


頭に直撃したそれは指輪だった。


「…結婚、すか?」


「ち、違う…お守り…」


語尾を延ばす亡督はどこへやら…


「有り難く着けさせていただくよ」


「…帰って来なかったら…世で暴れる…」


「アハハハ!そりゃ帰んなきゃまずいな(笑)」


呑気に笑ってると亡督目掛けて槍が電気を帯びて飛んでくる。


だがしかしそんなのお構い無しに槍を掴み粉砕させる。


「…じゃぁな」


俺は今度こそ完全に背を向ける。


亡督はなにも言わず転移して行った。


走ってくる敵、それは完璧に俺を殺すためだけに今ここに存在している人間。


歩いて敵に向かって行く俺。


最初は遅めだが徐々に歩くスピードを早めていき最終的には走る状態にまでなる。


走りながら目を眼に変える。


自分の目の前に魔方陣を張り走り続ける。


「カカ!死んでも文句言うんじゃねぇぞぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!」


いつもならば意味の無い戦争だった。


嘘の戦争だった。


勝っても負けても得る物もあらず。


ただ戦い殺し続けた少年。


意味のあった戦争はいつしかただの殺戮に変貌していた。


気付くこともなく、止めることもなく。


そんな境地に立っていた少年にたった一人の少女が言ったとさ。


「行くな」

「殺すな」

「死ぬな」


…少年は変わった。


否。


今、変わろとしている。


だがやはり神は、戦争は…それを拒むかのようにそれを邪魔してくる。


少女は言ったとさ…「行くな」と。


少年は言ったとさ…「行く」と。


少女は言ったとさ…「殺すな」と。


少年は言ったとさ…「殺す」と。


少女は言ったとさ…「死ぬな」と。


その言葉を聞くや否や、少年はなにも言わず変わろと努力を始めたとさ。


書いた方が…あれ?


いつの間に後書きに!?


っというつまらないネタで人を引かせるのもまた…トトの仕事です(キリッ


まだまだ続くのでどうかこれからもよろしくお願いします。


うん、なんで今言ったのかって思った人、いるよね?


自分も思いました!!!


では、また会う日まで……

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