プロローグ
主人公登場ですね。
何か急いでますけどね。
俺の名前は・・・と言いたいところだが、今はそんな紹介をしている暇はない。
普段は親の家業を継いで畑を耕したり、父親が所属する猟友会で猪を狩ったりしながら生活しているのだが、近くの小学校で熊が目撃された・・・らしい(小学生が見たらしい)ので猟友会でも若い俺たち三人が軽トラに乗って急行しているわけだ。
熊が現れたのが本当かどうかを話しながら小学校に向かっているのだが・・・。
「ほんとに熊なんぞいんのかねー?」
「いない方が良いけどな。」
「しかしなぜに熊がこげんな所に。」
「山に餌が無いとか?」
「分からんねー。」
・・・緊張感がないな。
まあ熊なんぞ見たことがないから致し方がない。
「もう小学校さにつくぞ。」
もう小学校につくらしい。
とその時向こうで何かが動いた!
「おい! 今なんか向こうで動かなかったか!」
「俺は見てねー。」
「おらは見た!」
「二人が見たと言う事は・・・。」
軽トラが坂道で止まる。
「いるな。」
「よし、いくさー!」
「銃さ忘れるな!」
大慌てで銃の確認をする。
俺の銃はモスバーグのM500だ。
猟友会の親戚が使いづらいと言って譲ってくれたが俺は気に入っている散弾銃だ。
仲間の銃は中古のイサカのM37と親から譲り受けたレミントンのM870である。
世界的に有名で俺も使わせて貰った事があるが良い銃である。
さて、銃のチェックは終わり物影が見えた方に向かい始める前に連絡を取ることにした。
「目撃したところとは違うが何かが居た、だからこれから追いかける。」
『どこでだ?』
「小学校が見える農道。」
『分かった、たぶん熊じゃないと思うが気をつけろよ。』
「ああ。」
『間違えても人を撃つなよ。』
「分かっているよ、親父。」
簡単だが携帯で連絡をして現状を伝える。
これから入る山は携帯の電波が届かないからだ。
「この山に人ね・・・。」
「いるとは思えんさー。」
「オラも。」
山に入ると猪と出会う確率が高いため、あまりこの山には人が入らないのである。
「でも熊はもっと聞いたことが無いさー。」
「んだんだ。」
「とりあえず進むか。」
そんなわけで山に入っていった。
「・・・。」
「何もおらんなー。」
「そうだな。」
それから30分は探したが何もいなかった。
「二人とも後でおごれよー。」
「分かっただ。」
「とりあえず目撃されたところに向かうかー。」
悲しい気持ちになりながら山を下り始める。
「確か旧山道入り口だったな。」
「ああ、そんだ。」
「誰運転するかー。」
「お前運転しろよ。」
「またオラがか?」
「この辺詳しいだろ。」
「お前さんも変わらんだ。」
ガサガサ
「ん?」
物音で振り返ったらそこに熊がいた。
ガサガサ
「く、熊だー!」
「え!!」
大慌てで二人が振り返る。
「でかー!」
「なんつー大きさだぎゃ!」
そこにいたのは全長2メートルくらいの熊だった!
それも5メートルも無い!
「こっち来たー!」
「ヤバイさ!」
「牽制で良いから撃って足止めろ!」
バン!バン!バン!
三人で銃を撃つ!
だが熊は興奮しているらしくて止まらない!
「散弾じゃ止まらんわー!」
「木の陰に隠れろ!」
何とか熊の突進は躱すが、距離はほとんど無くなった!
「とにかく撃って逃げるさ!」
バン!バン!バン!
「一粒弾持ってるか!?」
バン!バン!バン!
「散弾だけさー!」
「オラもだ!」
「くそ!」
バン!バン!バン!
「されより弾切れたさ!」
「ちょっとは考えて打てー!」
バン!バン!
「装填するさ!」
「無茶だー!」
「く、援護射撃!」
バン!バン!
撃ちまくったおかげで止まっていた熊だがまた近づいてくる!
「また来たぞ!」
「見りゃわかるわー!」
「装弾できんさ!」
「全力で軽トラまで逃げろ!」
バン!バン!バン!
適当に撃ったら即逃げた。
「ひー!」
走ったらすぐ軽トラが見えてきた。
「乗ったらすぐ走るさ!」
「当たり前だー!」
「後ろに熊は見えるか!」
「怖くて振り返れるかー!」
「ならオラが」
仲間が振り返る、が!
「ってうわ!」
「こけるなー!」
大慌てで立ち止まるとすぐそばに熊が!
「あ、あ・・・。」
「これでも喰らえー!」
カチ!
「くそ、弾切れだー!」
そして熊が手を振り上げる!
「くそ!」
一気に仲間のところに走る!
「無茶だー!」
そして仲間をその勢いで弾き飛ばした!
「うわ。」
しかし当然俺が残るわけで。
「危ないー!」
熊の手が振り下ろされる!
スローモーションの様だった。
弾き飛ばした仲間が泣き顔でこっちを見ている。
そういや『彼女が出きたど』と自慢していたよな。
だから軽トラの運転手にしたんだよな。
もう一人は間の抜けた叫び声を上げながら必死に散弾銃を装填しようとしている。
お前は変に間が抜けていて焦ると失敗するよな。
今回もそうだ、散弾の向きが逆だぜ。
・・・なんだかんだ言いながらこの三人で遊んだよな。
「・・・ありがとう。」
熊の手が俺の体に当たった。
「あー!」
「えらい事さ!」
見るからに力なく横たわっている仲間。
そして側に熊。
見るからにやばい。
「ど、どうするさ!」
「どうするったってなー!」
いつも三人で考えてきたのはあいつだ。
俺に考えろと言われたって無理だ。
「ああ!!」
「やばいー!」
熊が口をあけて仲間に近づく!
プルプルプルー!
地面で何か鳴り出す。
「な、なんだー!」
「携帯さ!」
熊が携帯の鳴っている方に姿を向ける!
「今だー!」
「ほいさ!」
仲間の両腕を二人で持ち一気に軽トラまで駆け抜けた!
オラの代わりに傷ついた仲間を軽トラの荷台に放り込みオラは一気に運転席に滑り込む。
そしてエンジンキーを回す。
キュンキュンキュンキュン!
「早くしろー!」
荷台から叫び声が聞こえる。
もう一回!
キュンキュンキュンキュン!
「エンジン掛からん!」
「熊来たぞー!」
もうダメだ。
オラはそう思った。
体を無理やり引きずられたらしい。
おかげで足まで痛くなった。
その状態で軽トラの荷台に放り込まれる。
体に激痛が走る。
右肩に架けたM500はそのままのようだ。
軽トラが震える。
そしてもう一回。
エンジンが掛からないようだ。
今度は激しく軽トラが揺れる。
見てみるとさっきの熊がいた。
アナログに見えた。
でもそんな事構わなかった。
右肩の散弾銃を手に取った。
「うおー!!」
自分でも不思議なくらい力が出た。
熊と目があった。
その目に向けて散弾銃を突きつける。
そして引き金を引いた。
バーン!
銃声と共に意識は消え去った。
最初からクライマックス!
次回からはのんびり行きます。
3行銃紹介
・モスバーグM500
珍しく銃剣がつけられるショットガン(主人公は未装着)
日本の海上保安庁の特別警備隊でも使用されている。
アニメでは特に登場なし。(主人公の使う武器なのに…)
・イサカM37
軽くて頑丈なショットガン。
学園黙示録では南リカの私物として有名(?)
ちなみに本人は使わない。(ちょwww)
・レミントンM870
使いやすくて頑丈なショットガン。
BLACK LAGOONでダッチやレヴィが使用。
あとは魔法少女まどか☆マギカで暁美ほむらが組の事務所からお持ち帰りを…(使わなかったけどな。)