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彼女の観察日記

春は嫌いだ。



恐ろしいほどの羞恥心にさいなまれる。

桜の甘ったるくて官能的な薫りがどこまでも追いかけてくる。

幾度も気絶しそうになりながら

やはり自分は生きてはいけない人間じゃないかと思う。






彼女に会ったのは、そんな自分を辱める満開の桜の薫りが特に強くなった、高2の始業式の時だった。

高2の始業式。



僕は中学が一緒だった高島ふみえとクラス替えの結果同じクラスになった。


「ゆいこ!!!元気だった?」


「いや、昨日も会ったから遊んだから。元気だったってなんだよっ!!!!!」


「いや、久々の再会チックな雰囲気をだそうかなと」


「いらないいらないいらないから!!!!!」


そこではじめてふみえの隣に少女がいるのを認める。

優しげな口元。大きな目。ストレートの黒髪が風になびいてさらさらと音を立てているような気がする。


「…ゆいこ、その子可愛いでしょ」


ふみえがにやついている。

と、同時に少女が口を開いた。


「大谷柚木です。ふみえちゃんとは去年同じクラスだったんだ。よろしくね」


差し出された柔らかい手を軽く握りながら僕も自己紹介でそれに応じた。


「川村由利子です。こちらこそよろしく。」



ここでならちゃんとやっていける。



そんな気がした。



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