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第六話 super wars


日差しが降り注ぐ

サッカーグラウンド。

右サイドで赤のユニフォームの

選手がドリブルしながら

颯爽と駆け上がる。

敵側のゴールラインに

近づく。

「センタリング!!」

中央の選手が

入り乱れる…

ボールが選手達の

頭上に上がり、太陽と

重なる。


一人の選手がジャンプ…

したかと思うと

ほっそりとした

白い足が鋭く

太陽をとらえる!

「えっ!?」

味方も敵も華々しい

一瞬のプレイに

衝撃を受けた。

「ピピィ~!!!」

ゴールを知らせる笛。

キーパーも今し方

自陣ゴールにボールを

確認した。

「いいぞっ!!なな!!」

慎治怜治がベンチで

応援している。


「ナイスシュート!!

ななちゃん!!これで

ハットトリックよっ!!」

女子サッカー部の

キャプテン寺島香奈が

はしゃいで言った。

「ピ~ピ~ピ~~」

試合終了の笛がなった。


「オーバーヘッドシュートなんて

普通じゃ出来ないよ!

ななちゃんすごいな~」

試合終了後もみんなから

賞賛を得た。

「何でそんなに

うまいの?いいなぁ~」

「サッカー部入ってよ~

いいでしょう~?」

な~んて言われた。

結構嬉しかったけど…

「ななっ!!今日弁当

持って来てないから、

買いに行こうぜっ!!」

群がるみんなを

かき分けて

「わかった!!

今行くよっ!!」

慎治怜治の子守を

しなくちゃいけない

からなぁ~…。



「「すっげぇ~な!!

ハットトリックなんて!!しかも

三点目はオーバーヘッドシュート。

普通じゃ、考えられない」」


今日は土曜日。

依頼でサッカー部の

助っ人で試合に出た。

小さい頃、サッカーが

大好きで三人で少年団で

土日やっていたけど

いつも強かったのは

私だった。

自慢じゃないけど、

クラブチームにも

誘われた。


「あとで、三人で

1対1で勝負なっ!!」

慎治が言った。

「や~だ~。慎治、

私からボールとれないと

投げ技するか、泣くんだもん」


「小さいときの

話だろっ!!」

焦ってる。

「いや、いまもだろ」

怜治が言った。

「俺も投げられた」

「はっ!?怜治は

サッカーあんま

やんなかったし、

投げた記憶ないぞ?」

顔をしかめる。

弁当を買うために

店を探して歩道を

歩く三人。

「…」

沈黙する怜治。

「なっ?何だよ…」

うろたえる慎治。

「あやとりを」

「「ひもかよっ!!」」



「ところで…」

怜治がいぶかしげに

私を見て

「何でボール、

持っているの?」

「あぁ、これ?」

私が網に入った

ボールを二人に

見やすいように

持ち上げて言った。

「これ、香奈ちゃんが

私にくれたの。依頼の

お礼だって。多分、

勧誘も少し入ってる…

今年のW杯モデルの

レプリカ」

「「ふ~ん」」

納得したような音を

だす二人。

「スーパー、あるよ」

「ここで買うか」

もうお昼過ぎ。

土曜なのでお母さんに

負担をかけたくなかった

ので、弁当は買うことに。


二人は付き添いなので

ただ単に弁当を忘れた。

「もうお腹ペコペコ」

「鳴ってないぞ。

そんな音?」

真面目な慎治をスルー。

スーパーの入り口で

何故か、怜治が

立ち止まる。

「どうした、怜治?」

「ドアが開かない」

私が見ると

「自動ドアじゃないよ」


店内に入る。あまりにも

お腹がへっていたので

弁当コーナーに

一直線。まさか、午前中に

三試合やるとは…


「おかん、ガム買って」

「おかんって誰が!?

我慢しなさい!」

「お袋、これ欲しい」

「誰がお袋だっ!?

今日いくら持ってる?」

「500円」

「子供の金額!?

じゃあ我慢しなさい」

と、まあこんな風に

二人がボケ倒すので

弁当を買うのに一苦労。

「よし、これにしよ」

「「俺も決まった」」

二人はカツ丼だ。

「野菜も食べなよ」

「「おかんかっ!!」」

「ううっ…」

レジに進む途中、

怜治が

「トイレ行きたいわ」

私が「行けば?」と

言うと

「鍵閉まってた…」

悲しそうに言った。

レジは二台しかなかった

けど、空いていた。

コンビニにあるおでんが

あったので気が

そっちにいった。

湯気がでてる。

「おかん、この人変」

怜治が子供のように

指さし言った。

「だからおかんって誰?

指さしちゃだめでしょ。

すいま…」

前にいる人を見たら、

言葉が詰まった。

黒い服、白いマスク、

黒いサングラス…

「えっ?」

「おいっ!!大きな声

出すんじゃねぇぞっ!

俺が金盗んでここから

出るまで騒ぐんじゃ

ねぇぞ。

もし、騒いだら…」

と言って懐から

何かを出す。

(刃物!?)






「このフォークが

おでんに突き刺さるぜ!!!」


「「「…………」」」


「ひい!どうかおでん

だけは…お金はいくら

でも出すんで」

店員が怯えたように

言う。


「「「……あの」」」

三人がぼそっと言う。

「「「会計をして下さい」」」



店内には私達三人と

店員さん、犯人、

トイレのジャック犯。


「とりあえずお前ら

警察にでも通報して

みてみろ…

こいつの大事なおでんが

吹っ飛ぶぜ!!」

店員さんはまたもや

ひい!と言った。

「わかったけど…

何でフォーク?」

慎治が怜治と私を

見てコソコソと

言った。

「さあ?何でだろ?」

私が言った。

「知らん」

怜治が言う。

「こら、何ぼそぼそ

言ってんだ!?お前ら」

慎治がまだ言う。

「多分、あれだぜ…

台所にナイフとフォークが

あって、とってが

似てたから間違った

パターンだぜ」

「え~、普通間違え

ないでしょ…

有り得ないよ」

「俺、あやとりのひもと

ロープ間違えたこと…」

「でも、分かんないぜ、

急いでたかも…」

「途中で気付くでしょ」

怜治が

「前に割り箸で強盗が

あったけど馬鹿さ加減は

こっちの方がウケピ~☆」


「こぉぉぉぉらぁぁぁ!!!!!!」


犯人が叫んだ。


「何!?お前ら!!

聞こえないとでもっ!?

聞こえてるよ!ねえ!?

強盗なめてんの?」

「「「いや全然☆」」」


「何その言い方!?

なめてんでしょ!?

ああ、そうですよ!!

間違えちゃったよ!!

だから何!?」

「間違えたの!?」

「認めれば

良いんでしょ!?

ハイハイそうですよ~

急いでました、

気付きませんでした、

さっき出してから

わかりました、

正直かなり焦ってますけど!!何か!?」


「ここまで来た

根性なめんなよっ!!」

犯人は逆上した。

「「まあまあ、

落ち着いて」」

慎治怜治が宥める。

「店員さん、

何でおでんで

ビクビクしてるの?」

私が聞いた。店員さんは

「店長が無類の

お、おでん好きで…

(俺のおでん傷付けた

奴はクビだ、クビ!!)

って言うんです」

(なんて店長だ…)

「聞いたことがある」

「えっ!?」怜治が

真面目な顔をして

語り出した。

「このあたりに

おでんを極めた男が

いると…その男は

おでんを極めたあまりに

(三食おでんじゃね~

と死ぬぞ)と言いながらも

三食納豆を食べる奴が

いると…」

「文脈おかしくない?

納豆っ!?」

犯人が突っ込む。

「それを知っていて

おでんを人質にする…

なんて卑劣」

睨み付け慎治が言う。

「えっ!?俺が悪いの?

店長の暴君さの方が

異常でしょ!?」

「ええい!こんな悪党は!!」


慎治が私が持っていた

カゴの中に入った

カツ丼を取り出して

レジに置いた。

「カツ丼…食うか?」

「いや、食べないよ!?

てか、刑事ドラマ!?」

「食べないか…。

あんまり無理するなよ

田舎のお袋さんが

心配するぞ」

「だから何!?

まだ続くの?」

「夜なべ~して…

作った手袋~♪」

「何この茶番!!」


私はじっと

していられなくなった。

「あんた何しに来たん?」


私の一言で犯人は

我にかえった。

「そうだっ!!

早く金だ、金!!

早く詰めろ!!」

「ひい!分かりました

お願いですから、

おでんには~!!」

「わかったから

早くしろ…」


「無駄な抵抗は

よしなさいっ!!」

いきなり、店内に

響きわたった。

「おいっ!?何だ!?

お前ら警察呼んだんか?」


私も慎治も店員さんも

何もしていない…

あれ?

「抵抗はよして

早く出てきなさい」

外からではない…

店内から聞こえる。

「怜治がいない!?」

私と慎治が驚く。

「何!?早く奴を探せ!」

犯人が言うので

店内をくまなく探すと

人質(トイレ)

とろうなんてふざけた

真似しないで早く

出てきなさい!!

さもなくば、

強行突破もしくは、

私の膀胱が破裂する」

拡声器を使って

怜治がトイレに

呼びかける。

「「ふざけた真似は

お前だ!!」」

犯人と私が突っ込む。



「もう我慢出来ない…」

犯人がブルブル

震えながら言う。

店員さんを羽交い締めに

フォークを首につきつけた!!


「ホントにおとなしく

しないとこいつの

首をホント~にクビに

してやる!!!」


「お願いします!

ふざけないでっ!!」

店員さんが懇願する。

泣きそうだ。

もう、危険だ…

見ていられない。

私の背筋を緊張の

汗が伝う。


三人は近くにいたので

顔を動かさず、

バレないように

最小限の口の動きで

話し合った。

三人が頷く。

「動くなよっ!!」

じりじりと下がる

犯人。すると、三人が

バッと散った。

「動くなっ!!」

フォークを首にさらに

あてる。

怜治がぼそっと

「おじさん…

馬鹿だね…」

「うるせ~!!!

お前に…」

腕を伸ばし、怜治の

方向にフォーク向ける。

「いわれ…」

その瞬間、ななが

ボールを犯人の腕に

シュート!!

「私達…」

「いてっ!!!」

フォークが宙を舞う。

すかさず慎治が

犯人の腕をつかみ、

「WJCに…」

背負い投げ!

一本!!!!

「「「挑むなんて」」」

怜治が創作あやとり

ならぬ、創作縛りで

縛り付ける。

早い!!!





「いや~、

なんとお礼を

言ったらいいか…」

後日、WJCの部活に

店長がきた。

「あなた達が

居なかったら、私は

今、路頭をさまよって

いたでしょうに…」

「「「いえいえ」」」

三人が謙虚に言った。

「当然のことをした

までです…

あまり気になさらず…」

「いやい~やっ!!」

店長がメタボな腹を

更に突きだし

「強盗に立ち向かう

何て普通じゃ出来ない

しかも、店内を

あんなにぐちゃぐちゃに

した犯人にですよ?」


「「「はっ?」」」

そんなに暴れたっけ…

「全く、ホントに

損害額が半端な

額じゃないんですよ…


しかも、所々に

跳ね返ったように

円型の痕跡で壊し…

どうしました?」



ななの顔から

血の気が失せた…




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