第五話 おやじのオアシス
さあ~活動報告☆
放課後のWJCの部室。
「今日の活動は?」
私、狭山ななが
幼なじみの男子二人、
横河慎治、渡瀬怜治に
聞くとまず慎治が
「今日は綺麗な
折り紙の折り方とか?」
すると怜治が
「いや、今日はムズイ
創作あやとりだろ?」
「二人とも
地味すぎでしょっ!!
どうするのすっごい
おも~い相談来たら…」
私自身、そんな相談
来ないと思いながら
言ったがもしもが
この世界の常識だ。
「慎治、そんなもの
来ねぇよとななに言え」
「そんなもの来ねぇよ」
「なんで経由した!?
直でいいじゃん!?」
ソファーに寝転んでる
慎治が
「ともかく、そんなの
来ないぜ。待ってるだけ
無駄無駄ぁ~」
「無駄無駄ぁ~☆」
「黙れ☆怜治…。
そんなのわかんないよ。
(人生の道に迷った)
なんて相談きたら…」
「(馬鹿野郎!!人生は
迷って迷って始めて
オアシスなんだよ!!)
って言って解決だ☆
とりあえず、来ないよ」
ガラガラ。
部室のドアが開く。
「人生の道に迷いました」
「「「来ちゃった!」」」
WJCの部室に暗く
青ざめたおも~い顔が
一人余計にいる。
ソファーに三人、
テーブル越しに来客が
来客用のものに一人
座っている。
「名前は?」
怜治が恐る恐る聞く。
「二年三組田中勝馬」
生気のない声、
溜め息混じりに言った。
「で…何の相談です?」
私が聞いたが、
「…」
苦しそうに頭を横に
振るだけだった。
「言いにくいですか?」
「…」
黙っていたがたてに
頭がふれた。
本当に言えないこと
みたいだ…。
顔は先ほどもいった
感じに青ざめ、ほほが
こけているように見える
(ホントに苦しそうだ)
慎治怜治も思ったのか
顔を見合わせてから
眉をひそめた。
そして頷きあい
「「僕達は普段は
しょ~もないことを
やっていますけど、
真剣に悩んでる人には
真剣に向き合います。
すぐには信用出来ないと
思いますが、悩みを
話してみてください。
絶対に助けになりますから…」」
二人がそう言うと
勝馬は顔を上げて
苦しそうだが微笑んで
「ありがとう」
と言った。
「で、相談とは…?」
怜治が聞いた。
勝馬は三人をそれぞれ
見て、
「誰にも言わないと
約束してくれますか?」
三人がゆっくり頷くと
「僕は悩んでます。
それこそホントに人生を
左右しかねないもの…
だと思っています」
勝馬がゆっくりと
話し出した。
「僕には好きな人が
います。多分、向こうは
気付いてるでしょう。
何回か一緒に遊んだり
しました。しかし、
あんまりうまくいかなく
進展がありません…。
何度も何度も告白を
試みましたが…。
僕はどうすれば
いいでしょうか?」
沈黙…。
うう、私はこういう話
苦手だし、アドバイスは
無理かも、とか思って
黙っていたら慎治が
「相手の方の名前と
学年クラスは?」
真剣な顔で聞く。
おお、慎治すご、
と感心した。
「彼女の名前は
西園寺華蘭
2-Aです」
私はちょっと疑問に
思った。
(うちの学校は組は
数字表記なのに…
他校ってことか。
名前もすごいな)
怜治が次に
「西園寺さんの特徴は
どんな感じですか?」
「ポニーテールで
シュシュをつけてます。
痩せ型でメガネで
いつもニーハイです」
(やっぱり他校かな?
ニーハイはうちは
見たことないから)
慎治が
「西園寺さんは普段は
どこにいますか?」
「いつもは学校に…
だけど呼べばいつでも
来ます」
(すごいな、普通の
女の子にそこまで
させるなんて…彼女も
彼のこと好きなんじゃ)
とか思っていたら慎治が
「いま、呼べますか?」
勝馬は少し考えた顔を
したが
「分かりました」
と答えた。なにやら
ごそごそと鞄から
取り出した。
最新型の電話も
メールもゲームも
出来る携帯電話だ。
「メールで
呼ぶんですか?」
怜治が聞くと何やら
携帯から音がする。
「来ました」
「返信早いな…
ってえぇ!これは?」
怜治が変な声を出す。
慎治も私も見ると
「「「ゲームかよっ!!!」」」
「悩んでる彼女って…
このゲームの…?」
「はい。ヒロインの
西園寺華蘭です☆」
「二次元かつ
ゲームかよっ!!!
そんなんで人生を
悩むなぁ~~!!!」
悪びれもせず勝馬は
「失礼なっ!!華蘭は
僕のエンジェルだっ!」
ソファーから立ち上がり
テーブルから身を
乗り出してツッコんだ
私に言った。
その勢いに押された
私は慎治怜治をみる。
二人がこそこそと
話し合った結果、
「勝馬くん、
君と西園寺さんを
くっつける、つまり
ゲームをクリアすれば
いいのかな?」
勝馬は頷き、
「頼む」
「えっ!?ホントに
やるの?」
私が言うと二人が
「「やってみようぜ!
依頼人の依頼は
断ってはいけないだろ」」
「僕からもお願いだ。
やっぱり女性の気持ちは
女性にしか分からない
だろうからな」
ハア~部長命令じゃ
仕方ないか…やるか。
溜め息混じりの私を
加えて4人で
恋愛シュミレーションを
やり始めた。
で、早速開始。
「慎治怜治は
こういうゲームを
やったことあんの?」
「「普通のゲームは
結構やってるけど…」」
「勝馬先輩、この
ゲームの名前は?」
「おわしす☆」
慎治が反応した。
「怜治、聞いたか?」
怜治が頷く。
「ああ…」
二人が何故か
喉をゴクリといわせた。
「どうしたの?」
二人が見つめ合い、
意を決して言った。
「「二階堂君も
はまってる…」」
「マジかっ?」
「「二階堂曰わく、
(偉大なダジャリスト達も
苦戦したという
超マニアックオタク
ハイパーゲーム)らしい」」
「ダジャリストってだから
何!?てか、二階堂君、
イケメンなのにオタク!?
てか二人とも仲良いの!?」
「「ああ、メアドも
知ってるぜっ!!」」
「誇らしげに言っても
カッコ良くないよ!!
てか……」
「もう始めていい?」
我にかえり
「すいません」と
謝る。
オープニングを
見る。セーブデータの
読み込みをして、
やっと始まった。
慎治が
「どういうゲームですか?」
「自分が主人公になり
華蘭と関わっていく。
三択の会話から
選び進めていく。
どんなエンディングに
なるかはその三択
しだいになる」
ほぉ~理解した。
つまりどの会話が
良いか選んで欲しい
ってことだ。
「3ヶ所分からない
ところがあるから
考えてほしい?」
「分かりました」
どんどん勝馬が
進めていく。ゲームを
開始してから五分後…
「ここが一つ目だ」
華蘭は美少女アニメの
代表、これぞヒロイン
って感じだ。
『どっか食べに
連れていってよ☆』
華蘭の声が携帯から
出てきた。なんとも
愛くるしい声だ。
「ん?何か三択だ。
この3つから選べば
いいんですね?」
慎治が勝馬に聞くと
頷く。
「じゃあ選ぼう…
三人で多数決で選ぶ」
「「了解」」
私と怜治が頷く。
「じゃあまず外食の
選択肢は…
①ハンバーガー
②が銀座の☆☆☆の
レストランで
③が……
アフリカ部族のミミズと
mix幼虫スパゲティ…」
し~ん。場が静まる。
「慎治、そういう
エグいボケはいらない」
私が言うと
「いやいやマジで
書いてあるからね…」
「嘘だ!ゲーム知らない
私でさえも嘘だと
分かるよ!!」
「ホント、ホントだよ
ほらっ!!」
慌てて携帯画面を
私に見せる。
「マジだぁ~~!!
なんで!?絶対制作者の
ネタでしょっ!!」
「いやいや知らないよ。
俺が制作者じゃないし
とりあえず選ぼう…
せ~ので番号言えよ。
せ~の」
「②」
「「③」」
私が②。慎治怜治が③。
「あんたたち、
ふざけてるでしょ!!
どこのどの女子が
ミミズとmix幼虫を
好き好んで喰うかっ!!」
すると怜治が真面目な
顔で反論した。
「なな!!華蘭が
無類のゲテモノ料理
好きという可能性を
安直に捨ててないか?」
「そうだぜ!なな!
華蘭はフードファイターで
(どんなものも
たいらげる)が代名詞で
休日はいつも世界中の
ゲテモノ料理を
食べまわってるんだぜ!!」
「なんで美少女ゲームの
ヒロインがそんな設定?
オタクでも引くわっ!!」
「いやいや、また
そのギャップ萌えが
たまらんでは?」
「なんでそんなに
ギャップ萌えを推す?
オタクでもないのに
オタクを知ったふり
しないでよ!?」
「とりあえず、
多数決だから③を
選ぼうぜっ!!」
「いいけど、絶対に
batendだからね」
慎治が携帯のキーを
操作し、③に合わせる。
「いくぜ…」
ポチ…
『嬉しい!!大好物!!』
「うそでしょっ!?
華蘭、フードファイター説
当たり!?」
「だから言ったろ」
なんか納得出来ない…
モヤモヤするぅ~
「おっ!次の選択肢だ。
レストランでの会話だ」
『この後、どこ行く?』
「じゃあ、選択肢は
①タワーで夜景を見る
②花火大会に行く
で③が…
居酒屋で二次会」
「華蘭はおっさんなの!?
誰がレストランで
ミミズ食べたあとに
居酒屋で酒のむの!?
てか、華蘭高校生だろ!?
未成年は飲んだら
ダメでしょっ!?」
「いや…」
ここで勝馬君が
しゃべった。
「華蘭の設定は
コスプレ好きの
28歳のOLでバツイチだ」
「「マジかよっ!?」」
これには慎治怜治も
びっくりと思いきや…
「「28歳でこの若さ?
ギャップ萌え~」」
「そこっ!?」
「いやいや
ゲームの世界も
侮れないな…
じゃあ、多数決。
せ~の」
「①」
「「③」」
「また!?今度は
間違ってるからね?
どこにそんなおやじな
OLいるの!?」
「じゃあ、選ぼう」
「シカトっ!?」
ポチ…
『居酒屋!?
いいわよ!!良いとこ
知ってるから行こっ!!』
「おやじかっ!!」
またまたツッコんで
しまった。
「おぉ!居酒屋に
入るぞ」
『らっしゃい!!』
華蘭が
『大将いる!?今日も
いつものお願い』
「華蘭、常連かよ!!」
「さすがにこれは
ないわな(笑)」
慎治怜治が言った。
このゲーム、
絶対にネタだろっ!!
「次が最後の選択肢だ…
心してかかってくれ」
勝馬が調子をあげて
言った。
華蘭と主人公が
居酒屋から出て
公園のベンチに座る。
『私、いまちょっと
人生という道に迷って
いるんだ…。人生って
『この後、どこ行く?』
「じゃあ、選択肢は
①タワーで夜景を見る
②花火大会に行く
で③が…
居酒屋で二次会」
「華蘭はおっさんなの!?
誰がレストランで
ミミズ食べたあとに
居酒屋で酒のむの!?
てか、華蘭高校生だろ!?
未成年は飲んだら
ダメでしょっ!?」
「いや…」
ここで勝馬君が
しゃべった。
「華蘭の設定は
コスプレ好きの
28歳のOLでバツイチだ」
「「マジかよっ!?」」
これには慎治怜治も
びっくりと思いきや…
「「28歳でこの若さ?
ギャップ萌え~」」
「そこっ!?」
「いやいや
ゲームの世界も
侮れないな…
じゃあ、多数決。
せ~の」
「①」
「「③」」
「また!?今度は
間違ってるからね?
どこにそんなおやじな
OLいるの!?」
「じゃあ、選ぼう」
「シカトっ!?」
ポチ…
『居酒屋!?
いいわよ!!良いとこ
知ってるから行こっ!!』
「おやじかっ!!」
またまたツッコんで
しまった。
「おぉ!居酒屋に
入るぞ」
『らっしゃい!!』
華蘭が
『大将いる!?今日も
いつものお願い』
「華蘭、常連かよ!!」
「さすがにこれは
ないわな(笑)」
慎治怜治が言った。
このゲーム、
絶対にネタだろっ!!
「次が最後の選択肢だ…
心してかかってくれ」
勝馬が調子をあげて
言った。
華蘭と主人公が
居酒屋から出て
公園のベンチに座る。
『私、いまちょっと
人生という道に迷って
いるんだ…。人生ってどうすれば迷わなくて
すむんだろうね…』
「「「重っ!!」」」
「てか、華蘭、
キャラ定まってな!!」
怜治が言った。
「しかも、最後は
自分で打ち込まないと
いけないぞっ!!?」
またもや沈黙…
私は
「なんて打つ…」
怜治が
「なんて…って
言われても…」
勝馬も悩んだ表情を
浮かべた。
ただ一人、慎治は
違った。カチカチと
携帯に打ち込む
「ちょっと慎治!?
勝手に何打ち込んでるのよ!?」
「いや~みんなが
悩んでるから…ね。
こんな感じでどう?
(馬鹿野郎!人生は
迷って迷って初めて
オアシスなんだよ!)
って打ってみた☆」
「いやいや、
さすがに無理でしょ?
だって彼女おやじよ?
もう十分人生の苦汁を
舐めてるのに…
そんな生ぬるい言葉じゃ
心動かさないでしょ!?
てか、あんたも星
出さないでよっ!?」
「可愛いでしょ☆」
「可愛くないわっ!」
ここで怜治が
「ちょっと…」
指さす方をみると
勝馬が泣いている…
「え…な、なんで
泣いているんですか?」
すると勝馬が涙を拭い、
「さっきの、言葉…に
か、感動してしまい
ま、まして」
「ホントにっ!?」
私はびっくりした。
「はい。深い言葉だと。
慎治君…君の言葉は
素晴らしいものがある
どうかその言葉を
華蘭に言ってくれ」
慎治を見ると真面目な
顔で
「わかった…。
君の気持ちもこめて
伝えてあげる」
「ありがとう」
二人は固く握手した。
慎治が
「二人共、依存はないな」
ぶっちゃけ、私は
ど~でも良かったので
適当に頷いた。怜治も。
「いくぞ」
ポチ…。
『オアシスぅ?
そんなもんどこにも
ないんだよっ!たくよ!
甘ったれてんじゃ
ないわよっ!!』
「「「嘘だろっ!!」」」
今回の活動報告…
華蘭はとてつもない
おやじフードファイターでした
以上☆
しょ~もなっ☆!!