第20話 当たる確率
活動報告の時間で~す☆
今日は学校の
自動販売機前に
三人で集合しました。
ここには全部で四台の
自動販売機があります。
わざわざ自販機に集合…
二人は何を企んで
いるんですかね?
ニヤニヤしています。
慎治がおもむろに
一歩踏み出して一台の
自販機に近づきました。
「今日の活動は
他ならない…
ある投稿があった」
なんかムカつく笑顔で
言うので殴りたい気持ち
を抑えつつ私は
「どんな依頼?」
とサバサバと聞きました
鯖鯖と…
「詳しくはWEB…
じゃなかった。怜治」
(中途半端にボケるな)
と私は心の中で言いました。
「了解。説明する。
匿名希望のPN.
[どじょうするなら票をくれ☆支持率あげぽよ@倶楽部ダチョウ小沢]さんからの依頼だ」
「何で匿名希望なのに
PN長いの…」
私は聞いてて呆れた。
怜治は説明を続けた。
「うちの学校の自販機は
当たり機能がついている
が、何でも[どじょう…
以下省略]さんは
毎日買っているが
いつまでも当たらない
らしいので本当に
当たるのか調べて
欲しいそうだ」
「またまたしょ~もない
依頼だなぁ~
当たらなくても
いいじゃん」
この学校には
もの好きな人が
たくさんいる…
(詳しくは他の話を
お読み下さい。WEBは
ないのであしからず)
まあ、二人より変人は
見たことないけど。
私は遠くを見る目で
二人を見つめた。
早くも私にはわからない
興奮に包まれて
いるようだった。
「あ、でもさ…」
慎治と怜治がこちらを
不思議そうに見た。
「「どうしたなな?」」
私はあることに
気づいた。そういえば
私たちの部活って…
「自販機で買うのに
お金必要じゃん?
部費ないのに
どうやって買うの?
まさか自腹ってことは
ないよね?」
「フッフッフッ」
慎治が意味ありげに
笑う。
「心配は無用だ」
そう言うとポケットから
茶封筒を出した。
「我々の活動が広く
学校に知れ渡り
校長から直々に部費を
いただいたのだ。
その額なんと一万円を
きって9800円!!!」
「通販かっ!!てか、
そこは一万円で
いいでしょ校長!!」
「そういえばそうね」
「軽いな…慎治」
私のツッコミを
軽く受け流す慎治。
部費にはあまり
こだわって…
「あっ!!!でも!!!」
慎治が何かに
気づいたように
大声をだした。
「自販機はひとつ百円
だから98個しか買えない
一万円なら100個
買えたのに…」
「その発想小学生!!」
微妙なこだわりを
見せる慎治だった。
「では早速、
活動に移るが
この自販機のみで
当たりを目指す」
慎治が一番端の
自販機を指差す。
一番古ぼけたものだ。
「なんであれだけなの?」
私が聞くと怜治が答えた
「ひとつの自販機で
やったほうが当たりが
出やすいだろう」
「なるほど」
私は納得した。
変なところには
頭がいいな。
「それと実験の許可が
あれしか出なかった」
「なんで?別に買うのは
自由何だし…」
「言い方を間違えた…
あれでやれと学校からの
命令だ」
「なんでまたあれなの?」
「ななは知らないのか?
自販機で買ったことは?」
「私はいつも水筒。
買ったことないけど
どうして?」
「あの自販機は
この横須賀総合学園
高校の名物、[何でも自販機]だ」
「なにそれ?」
私は初めて
そんなことを聞いた。
そんなものがあったなんて…
「名前の通り何でも
買える夢のような
自販機なんだが…」
「なんだが…?」
「出てくるものが
ランダムなので
たいていいらないものが
出てくる(笑)」
「しょ~もなっ!!」
「しかも設置したのは
何を隠そう校長だ☆
校長の個人的趣味で
置いているらしいW」
「なんなのこの学校!?
校長かるっ!!」
「さらに補足説明をするとこの自販機は春によく売れるらしい」
「なんで?」
「新入生が珍しがって
毎日買うらしい」
「そうなんだ~」
「が、その他の売上は
ほぼ0に等しい☆」
まあ、そうでしょうね。
いらないものを買っても
そくゴミ箱だろうね。
そんなこんなで
私たちは当たりを
目指して自販機で
ものを買い始めた。
「まずは俺が…」
慎治が自販機に向かう。
『おおきに~
あんちゃんいっぱい
買ってやぁ~』
「へ~、この自販機
話すんだ~」
私が感心していると
「うむ。最近はこの
タイプが結構あるな」
「なんで関西弁?」
「さぁ?ただ単に
開発者が[関西弁、
めっちゃええやん!!
温かみ感じるやん!!]
とか言ってる
関西弁大好き関東人
だったんだろう」
「まあ、確かに
関東人って関西弁を
やたら使いたがるもんね」
(開発者の方、
申し訳ないです汗)
作者より
「もういい?」
私たちの会話が
終わるのを慎治が
待っていた。
「「ど~ぞど~ぞ」」
白い見本も何もない
ただ黒いボタンが
数ヶ所あるだけの
自販機に百円を入れる。
慎治が一番に目に入った
ボタンを押す。
ガタン!!
『ルーレットスタート』
普段金額が表示される
ところで数字が
ちかちかとまばたく。
『77…』
「よっしゃ!!
リーチ…」
『778』
「「「うわ~~」」」
慎治が言い終わらない
うちに無残にも8が
ハズレを示す。
「惜しかったね~」
「大抵はこんなもんだ。
リーチで期待させといて
だいたいがハズレ。
おおかた、開発者の
ドSな性格を示す
ものでしかない」
(開発者の方申し訳ない)
作者より
「当たりより私は
何が出てくるか
気になる」
慎治が出てきたものを
取り出す…
「ゴーラ?」
「珍しく普通に
ジュースが出たなW」
慎治が赤い缶を
取り出した。
私はちょっと安心した。
二人の話から
もっと危ないものが
出てくるかと思ってた。
「じゃあ次私が」
慎治からお金を受け取り
自販機にすべりこませる
『ねぇちゃん
かわええなぁ~
いくつなん?』
「おっさんか!!!」
自販機にツッコんだのは
初めてだった。
ガコン。
「なんだろ~」
ガチャガチャとかで
感じるあのワクワクした
感覚が私を包んだ。
受け取り口に手を入れる
「うん?」
何やら白い箱が…
「なんだろ?」
そこにたまたま
顧問の谷山先生が
通りかかる。
「お~」
「「先生」」
慎治と怜治が
挨拶する。
「なにこれ…」
私は箱に気を
取られていた。
なぜならカチカチと
中から音がする。
「時計かな?」
「お~狭山も…!!
お、お前それ…」
「あ~、先生。
これ知ってるんですか?
何なんです、これ?」
谷山先生は顔が
真っ青になっていた。
「爆弾だよ…」
「へ?」
「実験でたまたま
出来ちゃった爆弾。
いいから早く寄越せ」
「そんな馬鹿な~☆
先生の冗談はいつも
聞いてますよ」
「はやく、こっちへ!!」
「しょ~がないな。
いきますよ~
それ!!」
「ば、なげるなっ…」
ドカーン!!!
谷山先生は黒こげ。
『じょうちゃん
ハズレや~。
またこうてやぁ~
次はサービスするわぁ』
陽気な声がこだました。
「次は俺が行こう」
意気消沈気味な私を
差し置いてウキウキ声で
怜治がいった。
『あんちゃんか~
じょうちゃんがええなあ』
「エロおやじ販売機だな」
軽く流して怜治が
ボタンを押す。
ガコン。
何やら茶色ものが…
『残念!タワシやな!
またいらっしゃあ~!い!!』
「新婚さんかっ!!!」
「なかなか手強いぞ。
この自販機…」
「あまりツッコまずに
スピーディーに行こう」
「「「了解」」」
慎治が二巡目。
テキトーボタンを押す。
ガコン。
消しゴム(20個入り)
私は心の中で叫んだ。
(いらねぇ~~!!!!)と。
私の二巡目。
ガコン。
お茶らしきもの。
ホッとしながら
取り出すと…
「熱い!!!」
夏なのに
ホットがでるよ
あったかい
川柳を詠んでしまった…
怜治の二巡目。
何やら生物が…
ギョーザ!?
五角形のギョーザが!
しかもなんと文字が
かいてある。
「ギョーザの☆将!?」
絶対に焼いたら
中が生になるだろう。形的に。
慎治、三巡目。
「そういえば、
2つのボタンを同時に
押すと当たりが
出やすいって聞いたぞ」
何やら自信ありげに
慎治が言い出した。
「俺もある」
怜治も続く。
「え~。聞いたことない」
私が言うと慎治が
「男専用なんだよ」
といった。
「俺で当てるぜ、
よしっ!!!」
2つを押す…
「ダメでした☆」
でしょうね。
結局ハズレると
思ってましたよ~。
「いや、慎治。
お前の押すタイミングが
少しばかりズレていた」
(どんだけ同時押しを
推してんの、この2人。
過信し過ぎでしょ)
「そうかっ!!」
(納得しちゃうのかい!)
「次頼んだ怜治」
「いや、俺はやらない」
(やらないんかい!!?)
「俺はおつりレバーを
下げながら押すと
当たると聞いた」
(前言撤回?
2つボタン聞いたって
言ったよね!?)
「なな、次は俺が行く。
いいか?」
「ど~ぞど~ぞ」
ぶっちゃけ私は
アホらしくなったので
心のツッコミに
専念します。
怜治が百円を入れる。
ゆっくり深呼吸したあと
一瞬でボタンを押し、
おつりレバーを同時に
下げた。
カラン。
百円玉がおつりで…
(そりゃあ、
そうだろうね)
怜治が再び挑戦。
カラン。おつり。
怜治がただのイタい子
としか見えなくなった。
もう一度やろうとする
怜治の肩を慎治が叩く。
怜治が振り返る。
慎治が首を横にふる。
「もう…いいんだ怜治」
「し…慎治!!!」
2人が抱き合った。
(何この茶番…)
そのあと慎治怜治の
2人が交互に買ったが
依然として当たらない。
お金も徐々にに減り、
98回目となった。
『あんちゃんは
もう勘弁やぁ~
若いピチピチの
じょうちゃんを
連れてこんか~』
「くそ!自販機のくせに」
慎治が自販機を
睨みつけた。
「しかし慎治。
あと百円しかない。
次で当てなければ…」
「そうだな。
だけど、もう俺達が
やっても出ないだろう。
ここは自販機の
言うとおりにななに
買ってもらおう」
「めんどいなぁ~」
「「ネエサン頼みます」」
2人が無理やり私に
百円を押し付けた。
『お、じょうちゃんや。
サービスするでぇ』
「ハイハイそうですか」
ガコン。
普通のペットボトルの
[午前の濃い茶]が
出てきた。
『ルーレットスタート』
『77…』
『777!!
当たりやぁ~
おめでとさん!!』
慎治怜治が喜びで
爆発した。
「「おおおお!!!!!!」」
ガコン。
何かが出てきた…
『大阪名物タワシや!!!』
「「「いらっしゃ~い!!!!!」」」
それじゃあ~師匠も
椅子から転げ落ちるね☆
私は二度とあの自販機を
使わないと心に決めた…