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第19話 ギリギリ日本史

久しぶりにあの三人が帰ってきました☆しょ~もない学園コメディの始まり始まり~!!


活動報告~!!

今日は慎哉を含めて

4人で部室に

集合しました。

なにやら慎哉から

お願いがあるみたいで…


「すいません、

アニキ達に折り入って

お願いがあります」

真剣な面もちで

じっと慎治と怜治を

見つめる。

「まあまあ、そんなに

かたくなるなよ。

俺達の仲なんだから

もっと気軽になっ」

慎治が軽くいう。

「で、どうしたんだ?」

「うす」

慎哉が事情を

説明しだした。

「アニキ達も知っての

通り、学校は期末テスト

ですよね」

「あぁ、そうだな」

「俺、全然勉強とか

わかんなくて…

努力はしてるんですが

ど~しても出来ない

教科があるんです」

「それを俺達に

教えてもらいたいと」

怜治が補足すると

慎哉は頷いた。

「もし、赤点でも採れば

留年してお袋に

迷惑かけることに…

お袋は女手一つで

俺を育ててくれて、

だからどうしても

赤点採るわけには

いかないんです」

「わ、わ、わがっだ」

慎哉の話を聞いて

慎治、怜治が

泣いている。

「俺達がなんどが

じてやるがらな!!

なぁ、なな!!」

怜治が私に同意を

求めてきた。

私はギクリとした。

「う、うん!!

そ、そうだね!!」

私の声は裏返り、

妙に明るい声になった。

二人がそのことに

気づかないわけがなく、

「どうした?なな」

「なんか変なもんでも

食べて腹でも痛いんか?」

と心配そうな顔で

私に聞いてきた。

「な、なんでもないよ!

ただ…」

「「ただ?」」

「私は慎哉くんの

力にはなれないかな~

って思って…」

「「どうして?」」

「どうしてって…」

仕方がない。

正直に話すしかない。

「私、私…日本史の

テストで50点以上を

採ったこと…なく…て」

最後の方はかなり

小さな声になった。

すると怜治が

「なら、二人とも

俺達に教われば

よくない?」

「うん、そうだ」

慎治も同意した。

「いいの?」

「慎哉、いいか?」

慎治が慎哉に聞いた。

「勿論です。

一人よりアネさんと

一緒に勉強したほうが

楽しいです。

お願いします」

「やったぁ~!!!」

久々に柄にもなく

はしゃいでしまった。

「じゃあ、日本史強化特訓

スタートだ!!」

慎治が気合いを

入れる。

「「「おぉ!!!」」」






「では、始めるぞ。

先生の質問に答えろよ。

先生は怜治がやる」

「慎治はやんないの?」

「俺は教えるほどの

点数は採ってない。

せいぜい70点ぐらい。

それと…」

声を小さくして

「怜治からは口止めを

されているから

大きな声では言えないが

怜治はどうやら

歴男らしい…しかも

一つの時代ではなく

日本史全般…

俺は怜治が教科書より

知識を持ってると

確信している」

「マジでっ!?」

「なにコソコソ

話してんだ?

始めるぞ」

怜治がやる気まそまそな

感じで私達に注意した。

「慎哉、範囲は

どこからどこまでだ?」

怜治が慎哉に聞いた。

「言いにくいんですけど

全部です」

「全部!!全部って、

どの全部!?」

「いや、日本史の

全部です」

私はクラクラして

しまった。ただの

期末テストなのに

日本史全体が範囲なんて…


「なるほど。ならば

逆に楽だな」

怜治が自信たっぷりに

言った。慎治が問う。

「どうしてだ?」

「全体が範囲と

いっても普通の

テストと問題数は

同じにしなければ

先生が大変になる。

丸付けとかがね。

だから、歴史の

要所要所しか

出せなくなるんだ」

慎哉が不思議そうな

顔をして

「つまりどういうこと

ですか?」

「つまり歴史の

重要なことしか

テストに出せない。

だから、そういうところを

狙って問題をだしていく。分かったら、俺に言うこと。始めよう。第一問…」






「近代化が進む日本の家庭では電化製品が普及しました。そのとき家庭で絶対になければならないもの3つを神様の道具に例えました。3つをまとめて何という。またその3つの製品を答えよ」


うう…わからない。

どうやらそれは

慎哉くんも同じようで

うなっている。

「ヒントは(じ)、で

始まる言葉」

それを聞くと慎哉は

分かったというように

手を叩いた。

「三種のじんぎ」

「正解!!じゃあ製品は?」

「アニキ、ドス、杯」

「ちょ、ちょちょ!!

ちょいまて、慎哉。

何て言った?」

「アニキと

ドスと杯っス」

「それって三種の

仁義だよね!!違うよ。

てか、電化製品って

言ってんのになんで

アニキとドスと杯が

出てくるんだよ!!」

「いや~それほどでも」

「誉めてないけども!?」

私は答えが分かった。

「車、白黒テレビ、

エアコンだ!!」

「違う!!それは3C…

でもないっ!!!

白黒テレビじゃ

Cじゃないじゃん!!」

珍しく怜治が

ツッコミ疲れている。

「なあ…二人共、

ふざけてないか?」

私と慎哉くんは

首を思いっきり

横に振った。

「真面目、

真面目なんだね!

すっごい天然だな

二人共」




「正解は三種の神器で

洗濯機、冷蔵庫、

白黒テレビね。

ちなみに3Cは

車、カラーテレビ、

エアコンね。じゃあ次」






「鎌倉時代、鎌倉幕府は

仕えていた武士達に

御恩として土地を

与えていました。

武士達はかわりに

戦いがあると(いざ、

鎌倉)といって

駆けつけて戦いました。

この関係のことを

御恩と…?」

慎哉くんは手を挙げた。

「はい、慎哉」





「上下左右っす」

「それは方向!!

おしい!…か!?」

「分かった!!」

私は続いて手を挙げた。





「東西南北だ☆」

「違うよ!!それは方角!

どちらかというと

正解から遠ざかった!

正解は御恩と奉公ね」

慎哉がおかしな顔をして

「あってるじゃ

ないすか~」

「漢字が違うし

そもそも答えかたが

違ってたでしょ!!次」





「古代、海外からの

侵略に備えて

九州沿岸で防衛に

あたっていた人達を

なんというでしょう?」


今度こそ分かった

私は思わず

大きな声で言った。





「やきもきだ!!」

「待ち合わせ中デスカ!!」

「違うの?」

「さっきから

なんとなくは

あってますけど

根本的には全然

違いますよ!!正解は

防人ね。次」







「冷戦のときの

アメリカ側の組織の

名前は?」

二人で揃って




「「納豆!!!」」

「食べ物!!

組織だって組織!!次」






「中大兄皇子と中臣鎌足が蘇我入鹿を暗殺した事件のことは大化の?」


「「かえしん!」」

「シャープペンか!!」



「元の初代リーダーは?」

私達は何も

思いつかなかったから

黙っていたら、

「う~ん、分かんないか

正解はチンギス・ハン」

「ジンギスカン?

ふざけないでよ、怜治。

歴史なのになんで

料理名?」

「チンギス・ハン!

チンギス・ハンだよ」

「あぁ、チンギス・ハン」

「次、その子孫で

日本に攻めたのは?」


これも私達は

答えなかった。

「フビライ・ハン」

「エビフライ犯?

捕まったんすか?」

「逆にこっちが

聞きたいよ…」





「キリスト教を

布教した人は?」

私が答えた。

「イエス・キリスト?」

「そうだけども

意味が広すぎ!!」

「イグナティウス・ロヨラだ!」

「日本史日本史!!

慎哉わかる?」

慎哉くんはボソッと

「ガスパル・ヴィエラと

ルイス・フロイス?」

「ちが…って

あってるけど、

もっと代表的な人。

あの頭が特徴的な人」「侍!!」

「ななは黙っときんさい!!!」


怒られた…

頑張ってるのに。




こうして2時間

日本史の特訓をしたが

とうとう怜治の体力も

限界に近づき、

「つ、つぎが最後の

問題にしよう」

ハアハア言っている。

ヨロヨロと

立っているのも

やっとのようだ。


「最後の問題。

弥生時代に作られた

特徴的な器は

何て名前?」


慎哉くんが今までにない

自信まそまそな顔をして

私を見てきた。

「ちょっと耳を

拝借」

ゴニョゴニョと

私に囁いた。

そして立ち上がった。

向かいのソファーに

座り、なにかを布で

磨くような仕草を

しだした。

私は慎哉くんの

言うとおりにした。

慎哉くんがいう。

「やよいさん、

もう閉店時間ですよ」

私は台詞を言った。

「いいじゃない。

もう少し飲ませてよ。

これからが私の時間よ」

言い終わると

私達は怜治をじっと

見つめた。

怜治は苦しそうに

一言ずつ噛み締めながら

「つまり、やよい(時)?」

私達が頷くと

怜治は倒れた…











数日後、慎哉くんが

部室にきた。

「アニキ達のおかげで

なんと…」

日本史のテスト用紙を

私達に見せた。

なんと89点!!

「すごい!!良かったね」

「有難う御座います」

「いやいや、お前の

努力だろ」

慎治が慎哉くんを誉めた

「ところで…」

慎治が私を意味ありげな

視線で私を見た。

「ななはどうだった?」

私はテスト用紙を見せた

「うおっ!!95点」

「マジっすか!!」

「えっへん!!」

私は人生の中での

日本史の最高点を

採ってしまった。

「これなら怜治に

勝っちゃったかもね☆

怜治は…」


私は言葉を失って

しまった。なぜなら

部室の片隅で

壁と見つめ合い、

膝を抱えて

ブツブツと言っている

怜治がいた。

「あのなぁ…なな」

慎治がひそひそと

「あいつ、日本史0点で

しかも解答が全部

お前達みたいな感じ…

納豆って書いたり

やよい時って書いたり」





ごめん…怜治…

私はこのときほど

怜治を哀れに思ったことはない。






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