ニキビと恋と
「やだぁ……ニキビできてるぅ……」
私は鏡の前であごにできたニキビを見てため息をついた。
私は花も恥じらう女子高生。ニキビなんて気になるに決まっている。
スキンケアだって生活習慣だって気をつけている。それでもできるのがニキビ。憎い……とても……。
けれどできてしまったものは仕方がない。治るまで待つしか……。
私は憂鬱な気分で支度を済ませて玄関の扉を開けた。
「よう」
そこには幼馴染みの雅斗(まさと)が待っていた。ニキビなんて見られたくない。特に好きな人には。
私は雅斗のことがずっと好きだ。けれど、幼馴染みという関係性により告白もできずにずるずると今にいたる。
私はなるべく雅斗にニキビを見られないようにうつむき加減に並んで歩く。
「なあ、なんか落ち込むことでもあったのか?」
雅斗はこういうことによく気がつく。まあ、隠したって仕方がないんだけどさ。
「笑わない?」
「笑わない」
「……ニキビできた」
「ふーん」
雅斗はそのまま歩く。小さな悩みもからかったりしない。そんな雅斗だから好きになったのだ。
私は雅斗に聞いてみる。
「ニキビある子ってどう思う……?」
「別にどうとも」
「ホント?」
「今更ニキビの一つや二つで嫌いになったりするかよ」
「……ん?」
えっと……。
「あの……今のって……」
「告白」
雅斗はなんの気なしに言う。
「ホント!? ホントにホント!?」
私は驚いて何度も確認する。
「ホント」
私は顔が熱くなるのを感じた。雅斗はそんな私に尋ねる。
「返事は?」
もちろん決まっている。
「よ、よろしくお願いします!!」
雅斗はおかしそうに笑った。
「おう」
ああ、ニキビ様々だ。ニキビのおかげで雅斗と恋人になれた。私はニキビを好きに……はやっぱなれないわ。やっぱ嫌だわ。
でも……少しだけニキビに寛容になれた気がした。




