一、
懺悔に訪れた教会は、脛に傷持つ身である光でさえも温かく迎え入れてくれた。屋外の凍えるような冬の寒さを忘れさせてくれる室内の暖かさ、人の温もり、そして今飲んでいるホットココアの快適な熱さ。光は思わず涙ぐんだ。教会の人々の優しさに触れたことにより、優しくなれた頃の自分を思い出すことができて安堵したのだろう。刺々しかった気持ちが浄化されてゆく。
人は何度でも、いつからだって、やり直せる。神父に言われた言葉が心に染みる。
光は室内をぐるりと見渡した。ふと、中身の詰まった木製の本棚に惹かれて、椅子から立ち上がり近付いた。様々なジャンルの書籍が並ぶ中で、ある一冊の本に目を留める。光は興味本位で、本棚から本をゆっくりと抜き取った。背表紙が真っ黒だ。しばらく目を凝らして見ていると、不思議な魅力を放つ奇妙な本に吸い込まれそうになった。
タイトルは『呪われた人々』。
光は本を開いた。
ーー生き物は生まれながらにして大なり小なり呪いをその身に受けているーー
ページを捲り目次を見た。
『1、周りの人々の評判が真実となる。評判が人を狂わせるのだ。』
『2、道を踏み外した者には不運が待っている。神に意地悪されてしまうものだ。』
『3、障害者を苛めた者には天罰が下る。同じような障害を負うのだ。』
『4、犯罪を犯した者には天罰が下る。神の鉄槌をその身に受けるのだ。』
『5、性格が優しすぎる者も問題だ。神に可愛がられ試し行為をされてしまう。負ければ神に意地悪されてしまうものだ。』
『6、弱者を助ける者は来世で賢くなる。しかし、現世では弱者の影響を受けて巻き添えを食らうことも多いものだ。』
『7、前世に残酷な悪行を働いた者は現世に罰を受ける。足掻いても抜け出せない地獄が待っているものだ。』
やはり不思議な本だ。光は再び椅子に座って本腰を入れて読書を始めた。




