第4話 マジ凄いオタク部屋にアレがあった!!(前編)
ポロンの宇宙船で光につつまれたボクはチョットの間、目を瞑っていたんだけど、
次に目を開けた時には、なんか知らんけど、12畳くらいの広〜い部屋におった!
「え、なにここ!!?」
キョロキョロ見回した瞬間、ボクは思わず「うわぁ〜〜!」っなった。
だって、壁にはデッカい本棚がズラ〜ッと並んでて、人気のマンガからコアなマンガまで、ぎっしり詰まっとる!
それも、めちゃくちゃキレイに並べてあって、なんか本屋さんより整ってるし!?
ガラスケースの中には、アニメのフィギュアやプラモとかがびっしりズラリ!!
中には、エッチなヤツもあったりする!
しかも、全部メチャクチャ細かく丁寧な作りで、塗装が神すぎる!!
グラデーションとか、傷のエフェクトとか、マジ職人レベル!
そして極めつけは壁!
壁一面がポスターで埋まっとる!!
もうどこが壁でどこがポスターかわからん!
しかも全部、美少女キャラ!!!
「こ、この人……何者!?」ってレベルの、ガチな“オタクの聖地”やん!!
ボクがガチモードで真剣にそいつらを調べていると、
犬の姿になったポロンが、ワンカスのくせに人間みたいな口調で言った。
「このオタク部屋から、邪悪な宇宙人の匂いがプンプンしております!ピポっ!」
その尻尾はまだ!アンテナ見たく、ビガビガッと光っててウザい。
「はじめ君!こっちに、なんかありますよ!!」
ポロンが鼻をヒクヒクさせながら、本棚の裏へヒョコヒョコと歩いていく。
「おいおい!」
ボクはプラモの精密なディテールをもっと観察したかったけど、気になるんで、ついてった!
そしたら、見た。
いや、見ちゃいけなかったかもだけど、見た!!!!!
ーーーーーーー
部屋の奥には、大画面のパソコンと、光るゲーミングチェア。
その隣に、まるで玉座みたいな高級げな椅子。
そこに、あの人形が座っていたんだ。
実物大の女性キャラ“ピュン子ちゃん”の人形が!!!
完ッ全に人間サイズで、表情も髪のツヤもリアルすぎる!
ちなみにピュン子ちゃんは、アニメ「魔法少女パピプペピュン子ちゃん」の主人公のドジっ子魔法使いだ!
「はじめ君!コイツです!コイツから、ものすごい悪のオーラが出ています!!」
何言っとるん、ただの恥ずい人形やんと思ってたら、
ボクの心臓がトクンとなって、
世界が止まったみたいに、ピュン子ちゃんしか見えんくなった。
空気の全部が、あの笑顔の色に変わっていく感じ。
ーやられた!ー
正直に言います!
ボク、はじめ君は、12歳にして、初めてマジ恋に落ちました!
ーーーその時だったーーー
部屋の扉が**ガチャ!**と開いた!!
そして、トドみたいな体型で、ロン毛で、メガネがズリ落ちた部屋の“主“が入ってきた!!!
そいつは、当たり前だけど、ボクらを見るなり、パニクって叫んだ!!
「おおおお、お主たち誰ぇ!? ド、ドロボーー!!?」
やっば!! ガチで詰んだ!!!
ボクは慌てて手をブンブン振りながら叫んだ!
「違うんです!違うんですってば!!!」
……なのに!!
ポロンのヤツが、何を思ったのか
“主“に、ヒップアタックを喰らわせた!
ズドォォォン!!!
そんで、更に倒れた“主“の鼻のあたりに、自分の尻を押し当てて、
「スゥ〜〜〜ッン」って、匂いをかがせた。
ーーーーー
そうしたら次の瞬間、なんか知らんけど、
“主“の動揺がスンと静まり、
まるで悟りでも開いた仙人みたくなった。
「……まあまあ、座るでござる。」
いや!落ち着くんかい!?!?
ポロン!!! 一体この人に何したん!?!?
……と思ったけど、まあとりあえず助かった。
「はじめ君、この人は、ボクのお尻の匂いを嗅いだことで、ボクたちが“悪い宇宙人を退治しに来た正義の味方”だと、ちゃんと理解し、納得してくれました」
「だから心配いりませんよ!ですよね?ピポっ」
いやいやい〜や、どんな理解の仕方なん!?
てか“お尻の匂い”で納得せんて!!!
すると、“主”がゆっくりと話しはじめた。
「はじめ君、安心するでござる!」
「拙者、伊集院 小生と申す。」
小生さんは、気持ち悪い顔でにっこり笑って言った。
「なんでも聞いて良いでござるぞ!」
どうやら、マジでいい人っぽい。
とりあえず、ボクは感動を伝えた!
「小生さん!この部屋マジやばいっす!!飾ってあるプラモ、レベル桁違いっす!!」
小生さんは、ズレたメガネをクイッと直し、
ニンマリと微笑んだ。
「ふふ……はじめ君、わかるか。この“プラコレ”の輝きを!」
……え、なんで名前知っとるん?
ボクがギョッとした瞬間、小生さんはつけ加えた。
「いや〜、ポロン殿の“信頼フェロモン”……実に効いたでござる。」
「嗅いだ瞬間、すべてを理解したでござる!」
「マジか!!個人情報ダダ漏れやん!!」
そしたら、ワンカスのポロンが犬なのに急に真剣な顔になって話しはじめた!
「それで、小生さん!いよいよ質問の本題に入ります。」
「ボクの極意宇宙人センサーの尻尾がその等寸大フィギュアにビンビン反応してるんですが、何故なのですか?ピポっ」




