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第2話:ルカの初仕事①

 翌朝。


 あれは夢だったのかも……半分信じられないまま目を覚ました灯里は、もやっとした気分で朝ごはんを終え、自室に戻った。


 すると、そこには昨日の天使・ルカがいた。

灯里のベッドに仰向けで寝転び、少女漫画を読んでいる。


「……いるし。しかもめっちゃくつろいでるし」


「あ、おはよ」

 ルカは人懐っこい笑顔で灯里を迎える。変だけど、悪いやつではなさそうだ。


「……てかどうやって入ったの?」

「天使の能力を持ってすれば、天界からの移動なんてあっという間だよ。一度契約したら人の家なら簡単に入れるんだ。便利でしょ?」

 屈託のない笑顔を向けられるが灯里はドン引きしてしまう。


「契約ってそんな重かったんだ……」

(そんな重要なこと、先に説明してよ……!)


 戸惑う灯里の表情に気付き、ルカが明るく声をかける。

「そんな顔しないで。新人でも能力は一緒だし、全力でやるからさ!」


(いや、逆に色々できすぎるのが怖いんだって……!)

灯里の不安をよそに、ルカはやたら堂々と自信満々だ。


「じゃ、行こうか」

 当然のように学校についてくる気だ。


「え? 一緒に来るの? 目立つってば!」


「ああ、それなら――はい」

 パチンと指を鳴らすと、羽も輪もふっと消え、制服姿に変化するルカ。

(……すご。便利すぎる……)


◇ ◇ ◇


 教室に入ると、なぜかルカの席があった。しかもクラス全員、何事もないかのように受け入れている。


「……嘘でしょ」


「僕の力、信じられた?」

 ルカはドヤ顔。単なる変な人だと思っていたけど、記憶まで操作できるなんて反則すぎる。


「そんなことより――あれが瀬戸陽真(せと はるま)くん?」

 ルカの視線の先には、友人に囲まれて笑う、クラスの中心にいるような少年――瀬戸陽真の姿があった。


「あ、うん……」

 灯里は気まずそうにルカから視線を逸らす。

 昨日、アンケートに“好きな人”として名前を書いた相手だ。実際は、空欄を埋めるために無理やり書いた、“唯一少しだけ話したことがある男子”に過ぎない。


(やっぱり本当にキューピッドの仕事進めるんだ……まずい……! ちゃんと訂正しないと……)


「あ、あの実は……」

 灯里が口を開こうとするが、ルカは察して遮るように声をかける。


「人気者だから難しいかもって不安だよね……でも大丈夫! 僕が全力でサポートするから、安心して任せて!」


「いや、そうじゃなくて……」


 ルカは手をひらひら振る。すると急に先生が現れ、


「今から席替えを始めます!」


「えっ?」

 驚く灯里をよそに、あっという間に席替えが進み、いつの間にか陽真の隣に座らされる。


「どう? すごいでしょ?」

 超得意げなルカ。どうも魔法で仕組んだらしい。予想以上の万能っぷりに、灯里は思わず目を丸くする。


「こんな感じでどんどん行くよ~! じゃあまたあとでね!」


 ルカはそう言って一瞬で姿を消してしまった。


 

 灯里は小さく息をつく。目の前で起きたことが非現実的すぎて頭が混乱する。

(あいつ、好き勝手やってあっという間にいなくなったな……)

(なんか妙にやる気満々だし、今更嘘って言いずらい感じになってきたな……どうしよ……)


 思わず肩をすくめ、頭を抱えた。

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