おしとやかな恋心
障子を通して入ってくる日の光が何とも緩やかな暖かみを帯びて部屋に注がれる。
私は杓子で湯を掬い、陶器へ注ぐ。
陶器と竹のこすれる音が耳にまで響いてくる。静かな今居る部屋にも染み渡る。
手首をきかせて、軽く、素早く……心を込めて。
「……どうぞ」
手の内にあった陶器の感触を不安げに相手へ差し出し、ゆっくり指を離してやる。
一間おいてから声をかける。
「お味はいかがですか?」
「あの、先輩……私の格好どうですか?似合ってますか」
沈黙に耐えられず、声が口から漏れてしまう。緊張からか汗もひどい。
「雑誌見てて、魔女ガールって流行ってるらしいんで意識してみたんです」
服の裾をつまんで見せ、微笑む。
このまま黙ったらまた沈黙。それじゃあダメ!私はもっと…伝えたいことがあるんだ!
話題を繋げようと頭を働かせるも、のどの奥が渇いてくる。
「あ、あの!わ……た、し」
『先輩のように強くなれますか?火に焼かれたら先輩が教えてくれた、そのセラミックのように固く強く……先輩の側に…隣に…』
私は弱かったんだ。先輩が好きだと言った陶器のようになれない。ただ火に巻かれ……