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最終決戦―⑥―

 「そんな訳あるかぁぁぁあぁあああぁぁぁ?!?!?今すぐ変身を解きなさいっ!!!!」


「おやぁ?今の時代にそぐわない発言だねぇ?あ、それともただの嫉妬だったかなぁ?ごめんなさいっ!」

あまりにも腹が立ち過ぎて一瞬意識が飛びそうになる。まさかこんな事の為に発足されたプロジェクトだったというのか?

そもそもプリピュアとはプリティでピュアな少女が選ばれてきたはずだ。条件が何一つ合致していない我欲に塗れた売国奴のような人間が決して手に入れてよい力ではない。

(・・・強いて言うなら純潔は守られているのかしら?)

混乱から別の方向に思考は傾いていたがこちらの戦力にはまだ切り札が2枚残っている。


「ひっどいわねぇ~。そんな姿を世界中に晒されたら貴方こそ二度と社会に顔を出せないわよ~?」


「・・・汚い。この一言に限る。」


意識を取り戻した愛美と来夢が再び変身出来たのはホップンのお蔭だろう。戦える戦士は5人になったのだがそこに自分が加われないのは残念だ。とても、非常に残念だ。

「『ピュアイエロー』!『ピュアグリーン』!あとはお願い!」

「任せて~!昔聞いた事があるよ~汚物は消毒だってね?」

「ぐふふっ。今の君達に消毒する力があるとは思えないねぇ。」

これで正統派プリピュアは生徒達3人と親友2人の5人になった。もしかすると前年のプリピュアならホップンやフェニコの力で何とか変身出来るかもしれないが今は彼らもプリピュアをサポートする事で精一杯らしい。

最初はどうなる事かと思ったが1対5の戦いとなると流石にこちらが優位な方向へ戦いの流れが動き出す。それを見て翔子の溜飲も下がりだしたのだが岩破首相から感じられる余裕は何だ?


「ぐふふふっ。やっぱり若い娘はいいねぇ。よぉし、おじさん頑張っちゃうぞぉ!」


「プリピュアの格好で自分をおじさんと呼ぶんじゃないっ!!」

やっと収まりかけた怒りが怒声となって発せられるが敵は全く気にする様子はない。再び憤怒で頭がくらくらしていると遂に『ピュアクリムゾンバースト』が隙を見て『ピュアマグマ』との連携技に入った。

「これで沈めてやるっ!食らえっ!!プリピュア!!フェニックスボルーケーノッ!!バーストォォォ!!!!」

最終必殺技の発動を確認するとやっと悪夢から目覚められる安堵からため息を漏らすが黒幕であり国家権力というのは一筋縄ではいかないらしい。


「プリピュア!防衛大臣シールドッ!!」


彼らもまた仲間、というか名実共に徒党を組んで戦うようだ。突然現れた新しい高齢のプリピュアがセンスを全力で投げ捨てた技名を叫びながら間に割って入ると困った事にそれを防ぎ切られる。


「やれやれ。今時の若いもんは礼儀がなっておらんな。プリピュア!!環境大臣グラビティ!!」


恐らく環境大臣らしき人物が『ピュアクリムゾンバースト』達に必殺技を放つと彼女達は相当な重力攻撃を受けて皆が地面にめり込むように倒れ込んでしまった。

まさか閣僚全員がこの力を身に着けているのか?余裕を感じたのはそれが理由か?だとすれば数からしても不利な状況だ。せめてここにいる全員が、いや数人でもいい。もう一度変身出来れば太刀打ちできるだろうに・・・

「さて。既にプリピュアを生み出すシステムは完成しているし首相、ここは邪魔立てする非国民を法で裁こうと思いますがよろしいですか?」

「いいよぉ。我々も実戦は初めてなんだぁ。皆自分の力を大いに試して、楽しんでいこうぅ。」

外見は高齢者たちが可愛いコスチュームに身を包んでいるようにしか見えないが中身は要職を預かる政治家なのだろう。

敵は既に10人以上が集まって立ち上がれないプリピュア達を囲みこんでいる。放っておけば追撃されるのは目に見えているが一般人に戻ってしまった自分達に出来る事など何かあっただろうか。


「待ちなさいっ!!これ以上あなた達の好きにはさせないわっ!!」


それでも教え子を、後輩を、親友を守る為に大きく腕を広げて間に割って入る。

下手をすると命を失うかもしれない。相手は国家権力なのだから自身の存在すら戸籍ごと抹消されるかもしれない。だが翔子は決して希望を捨てる事無く行動に出ると閣僚プリピュア達は下卑た笑い声を上げ始めた。

「ひゃっはっはっはっはげほっげほっ!、き、君は確か五菱会長のお気に入りだったねぇ?げほっげほっ!だ、だったら傷を付けずに献上すればさぞ喜ばれるねぇ。」

「ですな。わしもいくらか持ち帰らせてもらいますぞ。さて、誰がいいかのぅ。」

「後で記憶を改竄するので現役から選んでもよろしいでしょうか?私は『ピュアクリムゾン』をどうしても痛めつけたくて痛めつけたくて仕方が無かったのです。いや、今からも痛めつけますけどね?」

老人会の面々は笑い過ぎてむせる首相を中心に各々が欲望駄々洩れの発言で盛り上がっている。こんなのがプリピュアに変身したり『プリピュアプロジェクト』を使って国内を好き放題荒らしていると思うと怒りで何度も気を失いそうになる。


何とかしたい、この状況を。自分達の輝かしい栄光を利用し、汚す彼らに何としてでも鉄槌を下さねば。


「ホップン!フェニコ!去年や一昨年までプリピュアだった彼女達を変身させる事はできないの?!」

その世代ならまだ純潔を保っている可能性は十分に考えられる。それに司っていた力の種類が少し違うだけで伝説の戦士として選ばれた資質があるのだから何とかなるのではないか?

「プリピュア!法務大臣サンダー!」

「ぐあぁぁぁっ?!」

「きゃぁぁああぁっ?!」

「おおぉ。良い技ですなぁ。悲鳴が更によい演出となっている。どれ、わしらも参加しますか。」

しかし元プリピュア達に大きな変化が起こる事は無く、身動きが取れない中『ピュアクリムゾン』達が甚振るように扱われ始めると見ていられなくなった翔子は見えない重力空間に飛び込もうとした。


べちゃんっ!


すると半球型のガラスに覆われているかのような感触に拒まれて中央で苦しんでいる彼女達には近づく事さえ出来なかったのだ。

「わかった!わかったわ!!私の体を五菱に捧げるからもうやめて!!」

「あっはっはぁ。君の意思に関係なく後で捧げる事は確定しているんだからそれじゃ取引にすらなってないよぉ?さてぇ、次は誰が必殺技を放つぅ?」

全く話にならない老害集団によって何故目の前で教え子と親友を甚振り続けられなければならないのか。元プリピュア達も彼女達を助けようと見えない力を叩き始めるが少女の力ではびくともしない。


どうすればいい?どうすればいいのだ??


翔子の心が焦りと絶望に支配されていくと力は奪われていく。叩いていた両腕も段々と動きが鈍くなっていくとその場に跪いて項垂れる。

自分は間違っていたのだろうか。一般人では国家が関わる『プリピュアプロジェクト』をぶち壊す事など到底不可能だったのだろうか。過重力によって全く動けないプリピュア達を痛めつけて楽しむ人間を前に何一つ反抗出来ないのか。

既に怒りは無く、ただ悔しくて悲しくて心が張り裂けそうになっていた翔子には考える力さえ残っていなかった。


「・・・諦めちゃ駄目プンッ!!!」


なのにホップンの声が耳に届くと僅かに希望の芽が生まれてしまう。まさか元の姿で彼の声が聞こえるとは・・・しかしだからどうしたというのだ?


この逆境を打破するには絶対にプリピュアの力が必要なのにもうそれは二度と叶わない。純潔も失い最古参で年齢も平均のダブルスコアを叩き出している自分にはもう何も残っていない。


「・・・熱い魂に希望を!!それを融合させれば何とかなるかもしれないッピヨ!!」


現在目の前で教え子と親友が酷い目に合っているというのにフェニコも中々無理な注文を付けてくる。しかし妖精達の声が諦めるという選択を許してくれない。

ならば縋ろうじゃないか。今この状況を打破出来るのであれば何でもいい、何だっていいのだ。傍には自分以外の元プリピュアが50人以上いる。その中の誰でもいい。誰かが再び変身して悪逆非道な老害プリピュアを退治してくれれば・・・!

「・・・皆!!希望を、熱い魂を心に満たすの!!ホップンとフェニコもまだ諦めてないわ!!」

先程は皆の思いを一身に受けて『ピュアレインボー』へと昇華したが今回もまたそうなるとは限らない。しかし奇跡を生むには皆の協力は不可欠なのだ。

何でもいい。何かが起こって欲しい。

皆を助ける為に、『プリピュアプロジェクト』によって歪んでしまった国政と自分達の存在価値を正す為に、これを利用してきた人間達を裁く為に純粋な心で強く強く願うとその思いは世界中でも奇跡を起こしたらしい。


その原因の1つに戦いの全てがテレビやネットで放映されていた事が挙げられる。


これは暗人が叔父と協力して裏で働いていた事により実現したのだが首相を始め、この時は誰もその事実を知る由は無かった。

先程地下で発生したプリピュア達だけの希望の光ではない、全てのプリピュアファン達の熱い魂と希望の篭った力が流れ星のように国会議事堂前に集まって来るとそれらは全て翔子の体に吸収されていく。

「な、何ぃ?!ま、まさかこれ程の『プリピュアエナジー』がぁ?!」

やはり最後を締めくくるのは『ピュアレインボー』という事なのだろう。皆の希望と熱すぎる魂を感じていた翔子は体を一気に発光させると再び伝説の戦士に変身を完了させる。




・・・・・つもりだったがやはり条件はクリア出来なかったらしい。




「・・・まぁこの姿でも戦ってきたんだし、似たようなものね!」

世界中から集まった熱い魂と希望、そして元プリピュア達の思いを再び預かった翔子は少し懐かしい『ブラッディジェネラル』の姿に思いの外満足するとジェネラルウィップを顕現してふざけた過重力の壁を打ち破るのだった。


いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

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