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二人の関係は?―①―

 人の感情如きでは本能に抗えないのかもしれない。


父の仇である初代プリピュアの翔子を何としても失意のどん底に落とそうと近づき、『光堕ち』という美味しい話をぶら下げて『ダイエンジョウ』に引き込んだまではよかった。

なのに海から帰って来た夜、彼女の部屋で体を重ね合うと性欲に身を任せて必死で貪っていた。

気が付けばカーテンの外は明るくなってきていて翔子も熟睡状態に入っている。それでも目の前にある柔らかい存在から手を離したくなくて自身も眠りに着くまでずっと抱きしめたままでいた。


「・・・・・ぁれっ?!」


目が覚めるとお昼は過ぎており翔子の姿も見当たらなかったので慌てて飛び起きる。するとキッチンから漂ってくるいい匂いに本能が支配されてしまった。

昨夜からずっと彼女の掌で踊らされている気がしなくもないがそれでもいい。その姿を捉えた暗人は自分が裸なのも忘れてふらふらとそちらに歩いていくと楽しそうに料理をしていた翔子を後ろから抱きしめてしまう。

「おっと?おはよう~ってまだ寝ぼけてるの?いい加減ぱんつくらい履いたら?あ、でもその前にシャワーかな?」

半分寝ぼけていたので翔子のあっさりした対応を考えるに至らなかったが、美味しそうな匂いでお腹がぐーぐーと鳴り始めると言われた通りまずは浴室に向かう。


「ついでにお風呂掃除もしといてくれる~?」


流れる様に雑務も頼まれたがむしろ願ったり叶ったりだ。早速湯船に潜り込んだ後一体どうしてこんな事になってしまったのかを改めて整理する。

しかし体力の消耗と空腹で上手く頭が回らなかった暗人はすぐに考えるのを放棄すると徐に立ち上がり、言われたお風呂掃除とシャワーを同時にこなすのであった。




まずは食事だ。腹が減っては戦が出来ぬという言葉もあるし実際栄養が足りてないせいか身も心もここにあらずといった状態が続いている。

それでも翔子とテーブルに向かい合って座り、2人で遅めの朝食を摂るシチュエーションが出来上がると何も口に運んでいないのに心は満たされていくのだから自分でもよくわからなくなる。

「お掃除ありがとね。お腹空いたでしょ?足りなかったら何か作る・・・あ~、でも食材が無いかな。後で買い物行かなきゃ。」

トースト2枚とベーコンエッグにコーヒー。後はサラダまで用意してあるので十分だろう。ともかくぼーっとした意識のままそれを静かに食べ始めていくらかの言葉を交わしていく。

すると妙な事に気が付いた。何故かただのトーストがとても美味しく、コーヒーがブラックでも甘く感じたのだ。

「あれ?先輩、コーヒーに砂糖入れてくれました?」

「ん-?私は何も入れてないわよ?」

何だろう。何を食べても飲んでも今までない程美味しく感じる違和感に小首を傾げるが、栄養補給を終えると今度は昨夜の出来事について未だにお互いが一言も発していない事が気になってきた。

話題に出していいのか?出さない方がいいのか?確か行為に及ぶ前の約束で結婚とかいうワードも出てしまっていた。

それを掘り返されても自分は平常心を保っていられるだろうか。反面、結婚をしてから復讐すればより翔子の心をズタズタに出来るのでは?とも考える。

何より『彼女をもう一度抱きたい』という本能が言葉を遮るのだ。何としてでももう一度・・・いや、何度でもいい。何とかして彼女の体を・・・気が付けば復讐より先にそちらを先行して考えてしまうのだ。

だがその方がいいのかもしれない。余計な事をグダグダ考えるより翔子に嘘を囁いて散々抱いて抱いて捨てる。うん。こちらの方がいかにも復讐者らしいではないか。


「ねぇ暗人君。連休の最終日って空いてる?」


「えっ?!あ、はい。大丈夫です。」

突然の問いかけに思わず上ずった声になったのは驚き以上に期待していたからだ。もしかしてまたそういう機会を与えて貰えるのでは?と。デートなら下手を打たない限り間違いなくそこまで行ける筈だと。

「じゃあ一緒にコスイベいかない?」

「えっ?!・・・・・い、いいですけど・・・・・」

そういえば彼女は自身のプリピュア時代を忘れられずにずっとイベントに参加しているのだった。暗人自身はそういう場所には行ったことがないので一瞬返答に困ったがこれもまたデートで間違いないだろう。

それに彼女のコスプレ姿を生で見れるのならそれはそれでアリかもしれない。と考えていたのだが何より気になっていた2人の関係が話題に上がる事は無く、暗人はよくわからないままお昼過ぎには彼女のマンションを後にしていた。








5日後にはまた会える。そう言い聞かせていたにも関わらず暗人は前以上に翔子に会いたくて仕方がなかった。

もはや彼女の写真や似た動画ではとても満足できない。あの温もりと柔らかさと快感を是が非でももう一度味わいたい暗人は何度連絡を入れようとしたかわからない。

それでもギリギリまで我慢し続けて、そういえば時間や場所の指定がまだだな、と気が付いた時には迷わずメッセージを送っていた。

会いたい、触れたい、声を聞きたいし顔を近づけたい等々、頭の中は欲望で一杯だったせいか。5分待っても返事が来なかった暗人は何も考えられずに電話をする。


がちゃっ


『あ~暗人君!ごめん!今手が離せなくって!!ちょっとコスの仕上げがね~!!これ終わってからでいい??』


「あ、そ、そうでしたか・・・あの、まだ完成してないんですか?」

『そうなのよ!いつもなら3日前には完成してるんだけどほら、海に行った分スケジュールがずれちゃったっていうか?』

なるほど、それなら確かに理解出来る。となると暗人にも責任はあるかもしれない、いや、きっとある。あるに決まっているだろう。

「でしたら僕も何かお手伝いしましょうか?どうせ暇でしたから。」

『えっ?!っと・・・いいの?』

「はい。海に誘ったのも僕ですし、それで遅れが生じたとあればお手伝いくらいは。」

『・・・海のせいじゃないんだけど・・・何でもない!うん!じゃあお言葉に甘えようかな!今から来てもらってもいい?』

自分で海に行った分とか言っていたのに海のせいじゃない?よくわからないがこれで翔子に会う口実が出来たのだから万々歳だ。深く考えなかった暗人は早速身支度を整えると急いで彼女のマンションへ向かう。




ぴんぽーん


『おお?!は、早いわね?!いいわよ。入って~。』

エントランスでのやり取りも早々に、暗人は逸る気持ちを抑えつつ彼女の玄関まで急ぎ足で向かうと中に招いてもらう。それから手土産として翔子の好きな銘柄のビールと焼肉弁当を渡して部屋に入ると少し驚いた。

「これは・・・中々に凄い状況ですね。」

そこにはミシンが真ん中に鎮座しており周囲には型紙と素材が散乱している。というか床とベッドの上がそれで占有されている為文字通り足の踏み場がない。

「あっはっは~・・・はぁ。うん、凄いよね。今回はちょっと集中力が足りてないっていうか納得がいかないっていうか。これってスランプなのかな?」

適当に髪をまとめた薄着姿の翔子はまた普段と違う印象だったが、何よりスランプという言葉からやや気落ちしているのは強く感じ取れた。

「こういうのにもそういうのってあるんですか。でも・・・素人意見ですみません。あとは縫い合わせるだけで終わるのでは?」

「うむ!素人意見だね!!ちょっとフォルムが納得いかなくてね~何度も作り直してるのよ。」

「ほう?」

確かにコスチュームというのは立体的な構造の為イメージ通りに完成させるのは難しいのだろう。それから暗人はその話を一通り聞き終えると頭の上に電球が光るほどの閃きが下りて来た。


「でしたら僕がしっかりと見定めてみましょう。」


「ええっ?!」

こうすれば彼女のコスプレ姿を拝みつつ的確なアドバイスに加え、自身の欲望すら満たせるのだ。時間も迫っている為、無理矢理納得させるとまずは暗人が待ち望んでいた生着替えが始まる・・・

「・・・ちょっと?向こう向いててもらえる?」

「・・・・・えっ?」

「あんたねぇ。女性の着替えを見るつもり?それって倫理的にアウトでしょ?」

「・・・・・は、はい。」

(あれ?確か肌を重ねた・・・よな?お互いの裸も見たし・・・あれ?夢でも見てたのかな?あれ??)

翔子の対応に頭は混乱を極めていたがここで言い争うメリットは何もない。むしろ4日前に自分がどこまでやったか、どこか記憶が抜けている場所がないかを必死で思い返す。

うん・・・・・初めてゴムを実践で使った記憶もしっかり残っている。なのに着替えを眺めるのはダメなのか?線引きの理解に苦しんでいると彼女が声を掛けてくれたので振り向いてその姿を目に移す。すると思考が瞬時に固まってしまった。


「・・・とても、いいんじゃないでしょうか?」


元々彼女が14歳の時に身に着けていた衣装なのでまずサイズがどうしても今の体型になってしまうのは仕方がない。だが当時の資料を知る暗人からみてもその再現度はかなり高く思える。

何より翔子が少し気恥ずかしそうにしているのがまた良かった。中身は28歳の教諭なのだから当然と言えば当然だろうが、それも込みで出来は素晴らしいと断言できる。

「そ、そう、かな?何だろ・・・私としてはもう少しプリティさを表現したいんだけど。やっぱりスカートの形状が悪いからかなぁ。」

暗人からすれば形より短さが気になったが翔子は真剣そうに悩んでいたのでそこは突っ込まないでおこう。彼も秘蔵のファイルをスマホで開くと彼女に回って貰ってしっかり確認を取る。

「・・・若干前後のふくらみが大きすぎる気がしますね。もう少しボリュームを抑えれば本来の姿に近くなるんじゃないでしょうか?」

「ふむふむ。ってことはここを短くして繋ぎ直せば・・・よし。やってみよう。あ、脱ぐ時もちゃんとあっち向いててよ?」

何故?!と反論したいがそれをするといらぬ言い争いに発展しかねない。なので暗人は再び彼女の意向に沿うべく、素直に従うと翔子は何故か嬉しそうだった。


いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

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