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疑惑―④―

 あれからすぐにプリピュアと接触すべく駆け寄ったが彼女らはすぐに跳んでその場を去っていった。これも昔から一緒だ。

正体を隠し通すために必要な行動なのだが自身が助けられる身となった今ではわかっていても少し寂しい。

(・・・また、会えるよね?)

助けてくれた時美麗の名前を呼んでいた。秘密結社『ダイエンジョウ』の情報通り彼女らはこの学校の生徒で間違いないはずだ。

そうなると自身の近くにいる人物がプリピュアなのか。ただ前回校内で誰が一番可愛いかというアンケートを取った際自身の顔と名前は浅く広く知れ渡っている。短絡的に身近な人間を疑うのはよくないだろう。

(・・・仕方ない。もう一度例の順位を見返してみましょ。何か見落としているかもしれないし。)

何はともあれ今日は実物と接する事が出来たのだ。これは大きな収穫だと言える。後は元プリピュアとしての勘と経験を頼りに絞っていけばいつか必ずその正体に・・・


・・・正体を掴んでしまえば自身は、プリピュア達はどうなるのだろう?


楽しい中学生活が幕を閉じるのか。彼女達が大ピンチに陥ってしまうのか。もしくは敵対組織に身を置いている自分がプリピュアに成敗される可能性だってある。


どこからともなく戻って来たほむら、あかね、りんか達への感情や疑義を忘れる位に深く悩み始めた美麗はこの日作り笑いを返しながら下校した。








「ひゃっはー!!!久しぶりの大勝利だぜ!!!」

ほむらは嬉しさのあまり大声で叫んでいたがその気持ちは理解出来る。

「や、やったピヨ!!これでファイアーキングダムの復活が超久しぶりに一歩進んだっピヨ!!」

「見た目だけじゃなく頭の中まで鳥なのね。せっかく勝利の美酒を味わおうっていうんだから余計な水を差さないでもらえる?」

冷酷にフェニコを睨みつけつつ静かに握りしめるりんかを諫めようかとも思ったが今日の力加減だと問題はないだろう。

実際2か月ぶりの勝利だ。これはプリピュア達にとっても大きな進歩だったし何よりブラッディジェネラルが手放しに褒めてくれたのがまた嬉しかった。

ただ1つだけ。麗美を巻き込んでしまった事だけが唯一悔しかった。

「・・・帰り道で麗美ちゃん元気なかったけど怪我とかしてないかな?」

「うん?見た感じ全然大丈夫っぽかったぞ。それよりもまさかマグマの大噴火と連携して必殺技が撃てるとは思わなかった。あれ次も狙おうぜ?!」

ほむら自身が喧嘩っ早いせいか。多少の傷など全く気にしない性格の為あかねの悩みは一瞬で流されたが麗美は人懐っこく可愛いのだ。

もしどこかに怪我や痣が出来ていたらそれこそ傷物扱いされるかもしれない。将来それが原因で結婚できなくなるかもしれない。考えれば考える程不安になってしまう。


「返信でも大丈夫って答えて来たんでしょ?あの子あなた達が思っている以上に強かだもん。平気平気。それよりほむら、『阿曾山』で喧嘩とかした?」


「え?喧嘩・・・うーん。覚えがないなぁ。基本的に変な客は追い返してるし。」

りんかが別の話題を切り出したので麗美の件は完全に終わってしまったがこちらはこちらで気になる所だ。

2人に聞いても詳しく教えてくれないのだがどうやらりんかはほむらにも何かを紹介したらしい。何度か尋ねても教えてくれない所をみると恐らく健全ではない内容なのは間違いないだろう。

だが今日は祝勝ムードで皆の機嫌も良い。ならば水を差す結果に終わるかもしれないがこの機会にしっかりと問いただしてみよう。そう決意して口を開こうとした時。


ぴこん


突然の着信音が心に警鐘を鳴らす。これはインフルエンサー態蔵からのメッセージだ。

一瞬悩むが彼からの連絡も随分久しぶりだった。恐らくブラッディジェネラルの正体について多方面から調べてくれていたのだろうがその答えが見つかったのか?

ほむらとりんかが楽しく会話していた為あかねは静かに画面を確認するとそこにはとある女性の写真が数枚と共に短い文章も添えられている。


『お待たせ。断言は出来ないけどこの太腿の女性は恐らく彼女じゃないかな。初登場時から10年近くピュアレッドのコスプレしかしてないから有名な人なんだけどどう?』


「え・・・・・」

思わず声を漏らしてしまったので2人もこちらに注目してしまった。

「どしたどした?」

ほむらが明るく尋ねてくるがこれを今見せるのは怖い。怖すぎる。なので慌ててスマホを後ろ手に隠したあかねは作り笑いを浮かべながらその場はやり過ごした。








「あんまり叱られなかったね?」

ネンリョウ=ツイカが不思議そうな顔を浮かべていたがブラッディジェネラルが参戦するまでは散々に負けていたのだ。

逆に言うと彼女が加入して以降一切負けなしだった。であれば久しぶりの敗北など咎める理由にもならないのだろう。

「ま、いいじゃない。たまには彼女達に花を持たせてあげてもね。でも氷上さんを巻き込んだのは失敗だったなぁ。逃げる時間は十分に設けたんだけどなぁ。ほんと何を探してたんだろ・・・」

唯一の気がかりが愚痴となって零れてしまったがそれでも今日の対決は良かった。非常に良かった。自身が敵対組織という事を差し引いてもプリピュアの強さと可愛さを十全に目の当たりに出来たのだ。文句などあるはずがない。

ただ羨望はあった。やっぱり可愛くて純粋な戦士として自分も戦いたい。14年前の強烈な記憶を体験をもう一度この手にしたい。そう願うと心が沸き立ってくる。


「あ!ネクライト!!今日も飲みにいこ!!私が奢っちゃうから!!」


もはや学習能力を欠落したとしか思えないが今日ばかりは高揚感が抑えられなかった。この喜びは同じ組織内の人間としか共有出来ないのだから仕方が無い。

「おお、だったら追人・・・ツイカも一緒に連れて行ってくれないか?私は少し接待があるんだ。」

ところがその話を聞いていたネンリョウ=トウカ閣下が名刺を渡して息子の御守りをお願いすると何故かネクライトが負のオーラを纏うほど暗い雰囲気になってしまう。

彼と追人は従弟だし仲も良いはずなのに何故だろう?特に深く考えなかった翔子はたまにはそういう食事も悪くないと切り替えるとネクライトとは対象に保護者的なオーラをまといつつファミリー向けのお店へ足を運ぶのだった。


いつもご愛読いただきありがとうございます。

本作品への質問、誤字などございましたらお気軽にご連絡下さい。

あと登場人物を描いて上げたりしています。

よろしければ一度覗いてみて下さい。↓(´・ω・`)


https://twitter.com/@yoshioka_garyu

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