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幼馴染と花屋の娘  作者: ルイ シノダ
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幼馴染と会社の帰りに


緑川さん、ちょっと・・・。これ。

大樹と絵里奈が会う前の一時を追加で前書き。


―――――

 広瀬君が、もう帰り支度をしている。まだ、十九時前。でも、こんな時間かな。今日誘っても無理かな。


 彼が周りに挨拶をしながら、退社していく。私も途中まで同じだし・・。ふふっ。

時間ありそうだったら、声かけよ。


帰ろうとすると、隣の同僚が、

「あっ、緑川さん、もう帰りですか。もし良かったら・・」

「ごめん、急いでいるの」

相手が話し終わる前に、席を離れた。ちょっと悪いことしたかな。まあいいや。


 駅までのルートはいつも同じ。今日は別エレベータで行こう。十階から一階へは六基のエレベータが動いている。会わないように別のエレベータに乗った私は、そのまま駅に向かった。


 表参道駅で、田園都市線に向かうと思ったら、改札に向かっている。あれっ、何か用事あるのかなと思って見ていると誰かと待ち合わせのようだ。


 広瀬君に女性の人が近づいて来た。はっきり言って容姿では勝ち目がない。背は私より高く、胸元まで伸びる輝く黒髪。はっきりした二重瞼の目にすっきりとした鼻。可愛い唇、そして圧倒的に大きな胸。周りの通行人も二人を見ている。


女性が嬉しそうな顔をして、何か言った後、広瀬君の手を引いて歩いて行った。


これは、不味いな。早めにアクション取るか。他の人に、彼を渡すわけにはいかない。


§


「大樹。待った」

「いや、今来たところ」

「あら、定番のセリフね。でも嬉しいな。さっ、行こうか」


いきなり絵里奈に手を掴まれると引っ張られるように地上に上がる階段に向かった。


「ここから、うちの事務所まで五分位。大樹遅れるかなと思って来たら、もういるから嬉しかった」


おーい、今日僕を誘った理由言ってくれ。


「大樹、ちょっと素敵なお店見つけたのだけど、一人では入りずらいから・・」

「今日誘われた理由って、もしかしてこれ」

「うん、いけなかった」


 僕の身長は、一七八センチ、絵里奈の身長は一六五センチ。近づいて来て、上目遣いされると・・、見えなくていいものも見えてしまう。避ける様に横を見ながら


「分かったよ。絵里奈にNoの言葉は無いから」

「本当。今の言葉信じていいよね」

「もちろんだよ」


この時は気軽に答えたが、この言葉が、後に響くことになる。


「大樹、どうこのお店。素敵だよね」


 食事をした後、カウンタ席に移動した。

 僕は、ジャックダニエルのオンザロックを絵里奈は、モスコミュールを注文。既に二人ともお代わりをしている。

少し、アルコールが入ったせいか。体を僕に預けながら話してくる絵里奈に


「そうだね」

「ねえ、大樹」

ジト目で僕を見ると

「さっき会った時、私の胸元見ていたでしょ。いいよ、大樹なら」


えっ、えーっ。絵里奈どういうつもりで・・。でも単に酔っているだけかな。


「ふふっ、大樹、この前の日曜日、麗香ちゃんとどこ行ったの。麗香ちゃんとても嬉しそうな顔をして帰って来たよね。麗香ちゃん、大樹の腕をぎゅっと掴んでいたし。もしかして麗香ちゃん。ブラコン」


何気なく心当たりはあるが、大切な妹だしと思うと


「えっ、いや、両親が海外赴任して、だいぶ経つし、麗香も家事全般頼んでいるから、気晴らしにどうかなと思って、出かけただけだよ」

「どこ行ったの」


「湘南の海を見に行っていた」

「えっ、この時期に」

「でも、天気も良くて風も無かったので、とても気持ちよかったよ。麗香、受験生だから午前中で帰って来たけど」


絵里奈は、少し前を見つめた後、再度僕の顔を見て

「私も連れてって。湘南の海、半日じゃなくて一日」


「もう年末近いし。今度にしよう」

「今度っていつ」

「二月初めになれば、海沿いは暖かくて花も咲き始めるから、その頃どうかな」

気軽に言ったつもりだった。


「分かった。じゃあ、二月初めね。ふふっ」


「もう一杯飲まない。大樹。まだ九時過ぎたばかりだよ」


だいぶ酔っている感じだと思うと

「絵里奈、今日はここまでにしよう」

「じゃあ、また二人で来てくれる」

その場凌ぎのつもりで

「うん、そうしよう」


 表に出ると、街が明るい。当たり前か、ここ表参道だもの。ちらりと横目で絵里奈を見ると、ちょっとふらついているような気がした。

「タクシーで帰ろうか」

「ううん、大丈夫。あっ、いや、タクシーにしよ」


そう言って、また寄りかかってきた。


何となくワザとっぽい。


「絵里奈、着いたよ。降りて」

半分寝ていた、幼馴染を起こして、タクシーから降ろさせると、目の前が家なのに、じっと僕の目を見ている。


 はあ、家まで送れと、玄関まで五メートルですよ。

 手を引こうとすると、動かない。さっきと同じ、じっと顔を見ている。両手で僕の背中に手を回してきた。


えーっ、この状況って。絵里奈、幼馴染だよ。僕達。

その時、ガチャと音がして、絵里奈のお母さんが、玄関から顔を出した。


「あらっ」


何を思ったか、またドアを閉めてしまった。


「絵里奈、家に入ろう」

「やっ」

「やって言っても」

「じゃあ」と言って、絵里奈をぎゅっと抱きしめ


少し時間が経った。幸い人通りがない。


「仕方ないか。今はここまでかな」


言っている意味が分からずにもう一度玄関を見ると、またドアが開いた。


僕の体から、スッと体を放すと、

「大樹、今日はありがとう。またね」

と言って、家に入ってしまった。


はあ、どういう事。くるっと体を回して、道路の反対側にある我が家に足を向けた。


§


 外でタクシーが止まった音がした。今日は、絵里奈さんと寄ってくると言っていた。お兄ちゃんは、絵里奈さんに優しいというか弱いので、誘われると断れなかったんだろう。

仕方ないか。生まれた時から一緒だものね。あの二人。


 私は急いで、玄関のドアを開けると、えっ。

お兄ちゃんと絵里奈さんが、抱擁している。えっなんで、仲のいい幼馴染でも、恋愛関係はないはず。何とも言えない気持ちが胸に渦巻いた。


お兄ちゃんが玄関に近づいてくる。急いでリビングに戻った。


「ただいま」

 あれ、麗香の返事がない。リビングに行くとテレビを見ている。テーブルの上には、参考書が置かれている。夢中だったのかな。でも・・。


「あっ、お兄ちゃんお帰り。勉強に夢中で気が付かなかったよ。ごめん。お風呂空いているよ」

「ああ、ありがとう」


 お兄ちゃんが二階の自分の部屋に戻る姿を見て、とても胸が苦しい。自分の部屋に行こう。

部屋に戻るとベッドに転がった。天井を見ていた。


 私は、妹。今は受験生。大学受かったら、その時は。それまでは、絵里奈さんごめん・・あまりお兄ちゃんと距離を詰めないで。


――――

あれれ、幼馴染の絵里奈さんまで。妹の麗香ちゃんの気持ちも・・難しい。

そういえば、緑川さん、なんでそこまで急ぐの。


面白そうとか次も読みたいなと思いましたらぜひ★★★★★頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘も歓迎です。


お願いします。



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