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幼馴染と花屋の娘  作者: ルイ シノダ
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妹とお出かけ

「ただいま」


声を掛けながら腕時計を見る。まだ十八時過ぎだ。早く帰ってこれたな。


「お兄ちゃん、お帰り」

キッチンの方からパタパタと足音を立てながら、妹が玄関に来た。


「まだ、夕飯作っている途中だから、着替えたら降りてきてね」

嬉しそうな顔をしながら、また戻って行った。


 いつも申し訳ないな。親が赴任してから、家の中は、任せっぱなしだ。炊事、洗濯、掃除。さすがに自分の部屋は、自分で掃除するが、他は任せきり。

少し、手伝わないと。夕飯の時にでも、話してみるか。


「麗香」

「うん、何」

箸をおいて、お茶を飲んだ後、顔をこちらに向けた。


「実はね・・。いつも麗香に炊事や掃除、洗濯まで全部家の中の事、させていて申し訳ないな。と思って。僕でできる事あれば、少しは手伝いたいんだが」


じーっと顔を見られると

「うーん、気持ちはありがたいけど、食事は無理でしょ。洗濯も無理。それにお兄ちゃんがやるとなると・・」

顔が、少し赤くなって下を向いてしまった。


そうか。麗香の下・・。それは出来ないよな。いくら妹とは言え、高校二年生の女の子の・・は、ちょっと無理か。

「じゃあ、掃除は。家広いし、ダイニングやリビング、親の部屋なら俺でもできる。夕食後の食器の片づけも出来るぞ」


麗香が顔を上げて

「そうか。そうね。休みの日で良いからダイニングとリビングお願い。お父さんとお母さんの部屋は、たまに私がするからいい。食器洗いは、後があるから、私がするよ」

「わかった。じゃあ、来週の土曜日から始めよう。明日は麗香と出かけるから」


「うん」

妹の笑顔に、毎週土曜なら出来るだろう。勢いで言葉にしては見たものの・・。まあ、何とかなる。


「お兄ちゃん、明日のお出かけだけど・・」


言葉が出てこない妹をじっと見ると


「ドライブしたい。海を見たい」

「えっ、でも今十二月も半ばだよ」

「無理かな」


ちょっと上目遣いに言われると

「わかった。ちょっと待って」


 二駅隣の駅前にレンタカーショップがある。そこを確認すれば。

すぐにスマホで登録してあるレンタカーショップのURLをタップした。


「何時がいい。出かけるの」

顔がパッと明るくなると、

「六時には出よう。近くでもいいよ」

「分かった」


僕はすぐに予約を入れた。

「これで、OKだ。明日はちょっと早いけど、頑張って起きよう」

「日曜だからね」


 次の朝は、五時半に家を出た。よく晴れているとは言え、十二月も半ばだ。だいぶ寒くなってきている。この時間は、特に寒い。


 麗香は、インナーにフリルトップスと白のケーブルニット。それにキャメルのコーデュロイワイドパンツと白いスニーカーだ。

 僕はいつもいい加減。紺のスニーカーにコーデュロイパンツ。厚手のシャツに濃い紺のウィンドブレーカ。


「寒いね」

そう言って、僕の腕に自分の腕を回してきた。そうか、もう麗香も高二だもんな・・。

妹とはいえ、腕に感じる柔らかい感覚に感性が、そちらに行かないようにしながら駅に向かった。


「湘南海岸って、冬でもサーファーいるんだね」


 浜辺の近くの駐車場に車を停めて、防波堤の上で二人で座った。左手に江の島が見える。

後ろは有名な江ノ電の駅がある。


麗香が、体を寄せて腕にしがみついて来ている。

「えへへ。恋人同士みたいだね」

「・・・そっ、そうだな」

「こうしていると心が温かくなる。ずっとこうしていたいな」


妹の言葉に

「麗香は、彼氏とかいないのか」

「いるわけない。同級生とか興味ない。友達の加奈はいる。千沙は、努力中かな」


「麗香だって、それだけ可愛かったら、声位掛けられだろう」

「・・みーんな断っている。見かけだけで付き合いたいと言われても嫌なだけ」


実際、麗香は高校でも何回か告白を受けているが、すべて断ってきた。


「私、お兄ちゃんがいるからいい」

「えっ・・・」


「もうまじめに考えない。とりあえず今は、受験に集中するの。再来年の春には、お兄ちゃんが行った大学に入っていたい」

「何学部」

「うーん、とりあえず建築狙いかな。四年間同じ場所というのも魅力」


建築学科・・。難関だぞ。あの大学では。まあ、麗香が受けたいというからには、自信あるんだろう。僕は電子情報システム工学科だったからな。誰でも入れるわけじゃないけど。一応、公立大学だし。


「そうか、頑張りな。何も応援できないけど」

「そんなことないよ。こうしているだけでもエネルギー溜まるし」


 一時間位、そこに居て、浜辺を少し歩いた後、早めの昼食を取って、帰路についた。

自動車専用道路に乗るといつの間にか、助手席に座る麗香が、目を閉じていた。

 車の振動は睡眠を誘うというが、毎日遅くまで勉強しているようだし、今日は早かったからな。

寝顔がとても可愛い。兄の僕でさえ、そう思うんだから・・。ちょっと要らぬ心配を頭に浮かべながら、空いている道路を巡行した。


 帰りは、まだ十二時前だったこともあり、渋滞もなくレンタカーショップについて、車を返した後。家に戻った。


夕飯の時になって、

「お兄ちゃん、今日はありがとう。楽しかった。・・受験頑張るね」

「おう、楽しみにしているぞ。合格祝い何にするか、今から考えておく」

「気が早すぎるよ。もう」


「麗香、行ってきます」


次の朝は、珍しく玄関まで麗香が出てきて送ってくれた。ドアから出ると、ドアの開けたまま、麗香が手を振ってくれたので、僕も手を振ってから、駅に足を向けた。


「ふふっ、新婚さんみたい。ねっ、お兄ちゃん」

独り言を言いながら自分も登校の準備を始めた。


ドアがちょうど閉まったところで

「大樹、おはよう」

声の方向に顔を向けると道路の反対側にある家から幼馴染の絵里奈が出てきた。


なんか、タイミング良すぎるけど。


「おはよう、絵里奈」

「大樹、今日、仕事何時に終わる。

「えっ、・・うーん、急いでも十九時位だけど」

「じゃあ、それでいいから、会社の帰り、ちょっと付き合って。待合せ場所は、表参道の改札。そこなら大樹も帰宅途中でしょ」


えーっ、一昨日買い物に付き合ったばかりなのに。またーっ。

「何の用事があるの」

「いいの。会ってから」

「分かったよ。十九時二十分でいい。急ぐけど」

「いいわ」


話しているうちに元よりの駅に着いた。家から駅まで十分とかからない。


麗香に連絡入れておかないと。この前も直前だったから。


――――

幼馴染の絵里奈さんの気持ちも・・。


面白そうとか次も読みたいなと思いましたらぜひ★★★★★頂けると投稿意欲が沸きます。

感想や、誤字脱字のご指摘も歓迎です。


お願いします。


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