「設定」にこだわりすぎではないですか?
「なろう」で作品を読むようになってから、やたらと「設定」に拘る方を見かけます。
そういう方たちは、設定が「あやふや」だったり「説明がない」ことを論ったりしています。勿論、「必要最低限の設定」は定めるべきです。
私は「読み専」です。その「読み専」の目線から思うのですが、
それって、そんなにダメなことなんでしょうか?
作者様は、読者に作品内の全ての設定を詳らかに開示する必要はない。と、私は思っています。
例になるかはわかりませんが、主人公が作中で一度だけ話すモブキャラは名前すら、場合によっては、性別すら明かされません。必要がないからです。しかし、本来ならそのモブキャラにも名前があるはずですし、経歴もあるでしょう。
では、なぜ明かす必要がないのか。
ストーリー進行上、邪魔だからです。ストーリーに関わりがないモブキャラの詳細な情報は作品を読むのに必要ありません。たった一度、主人公と話すモブキャラの詳細な情報は邪魔以外の何物でもありません。
もっと極端な例もあります。
サブカルをかじったことがある人なら誰でも知っている某有名ライトノベルでは、主人公のフルネームが明かされていません。渾名のみです。主人公の妹もキャラ名が「(主人公の渾名)の妹」です。(ただし、この作品の場合は意図的に隠していて、いずれ明かされる可能性もゼロではないかもしれませんが)
設定に拘る方はこの作品をどう思っているのでしょうか? 私、気になります。
「異世界っていうのは世界観が命」と仰っている方もいらっしゃいます。
これは間違っているとは思いません。
しかし、その方はこうも仰っています。
「(現実世界で)紀元前から存在する物を(異世界で)取り除く事がおかしい。」
要は、「中世風異世界なら現実世界の中世時代に存在した物は作中でもないとおかしい」ということでしょう。
これには首を傾げます。
「異世界」とは、「自分たちが生活しているこの世界ではない別の世界」です。そんな世界になぜ「現実世界」の事象や法則を全て当て嵌めようとするのでしょう?
そもそも、「異世界」というものが「あやふや」なものです。ですので、作者様がストーリーを進める上で必要な設定を自由にご自身で決めることが可能です。
「現実世界」とは違う生態系(魔獣とか)がいる場合もあるでしょうし、人間以外の知的生命体(魔族やエルフとか)がいる場合、「現実世界」と違う事象(魔法や魔術とか)や法則(重力が1Gじゃないとか)がある場合もあるでしょう。
もっと言えば、「異世界の人間」は「現実世界の人間」と全く同じじゃない場合(気や魔力が使えるとか)も考えられます。
ゆえに、「現実世界」にはないもの(魔道具とか)が「異世界の人間」は開発できたり、その逆(石鹸がないとか)もあるでしょう。
「異世界」物は、こういった「設定」が自由に組めるジャンルだと私は思っています。
「必要最低限の設定」を守った上で、これらの設定をどこまで定め、どこまで開示するかは作者様次第です。腕の見せ所でしょう。
詳細な情報を設定し、それらを詳らかにする。
事細かに設定し、一部分しか明かさない。
ストーリー上必要な部分しか設定・開示しない。
「必要最低限の設定」以外は「あやふや」なままにする。
私は作品を読んでいるとき、「この作品はコレだな」と思いながら楽しんでいます。
詳細な情報を設定し、それらを詳らかにするのが間違っている。と言うつもりは全くありません。寧ろ、難しいことをされていて驚嘆しています。
何が言いたいかというと、
「書き手の皆様は自由に物語を紡いでほしい。」
ということです。
「必要最低限の設定」は必要ですが、「設定」に溺れて物語が面白くなくなったら本末転倒だと思うのです。
「設定」を重視する作者様は拘っていいと思います。
だからといって、「設定」が「あやふや」な作品を糾弾するのも違う。と、私は考えます。
皆様はどう思われますか?
ご意見、ご感想があれば、お願いします。
一部、加筆・修正させていただきました。