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シドとシノの大冒険  作者: レイン
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シド様にお手紙を書いた

「シド様にお手紙を書いたのですが、届けてもいいでしょうか。」


直接カラリーサさんに交渉して欲しいという事だったので持って来た。


「……中を拝見しても?」


「いやぁ……乙女の秘め事が克明につらつらと描かれているので……もじもじ……」


「……中を拝見しても?」


「はい、大丈夫です。」


軽いジャブをひらりと躱されてしまう。全くセンスがない←。


「……これを、渡すのですか?」


眺めるように手紙を読むと私に尋ねてくる。


「ええ、まあ。」


「……正直、渡すことは問題ないと思いますが、この内容にどんな意味が?」


「……いやあ……てれてれ……」


照れてみる。


「まあ、いいでしょう。別段おかしなところは見受けられませんし。カラマに行って、渡させましょう。」


「よろしくお願いします。ぺこり。」


……とりあえずは手紙を渡すという事は出来る様になった。……だからどうだという話かもしれないけれど。


……


男達は再びしょぼくれていた。結局ここから出るなんて無理なのだ……アホな男を信用したことがいつまでも悔やまれる。


シドは受け取った手紙を読んでいた。


シド様お元気ですか。

こちらはお菓子がおいしいです。今度一緒に食べましょう。

何時がいいですか?では、明々後日にしましょう。

ぴーぴーがしゃがしゃがしゃ。そういえば次に会った時の夜のご飯は何がいいですか。

はぁ、なんだか文字を書くのも疲れてしまったので、この辺りでごきげんようです。


シド様のシノより☆ミ


「あいつらしいな。……明々後日の、夜か?」


……わけの分からない怪文章だが、時間と日にちを指し示す文脈がある。……何か行動を起こすというメッセージだろうか……


「……さて、どうなるかな。」


……


……


……


「さて、どうしよう。」


……とりあえず手紙を書いては見たものの、だからと言って何がどう進展したわけでもない。今のところシノには何の作戦も無いのだ。あの手紙は本当にただの怪文章だった。何の意図もない。


パッと思いつく事として、何らかの騒ぎを起こせば、みんなそっちに回るだろうからその隙に鍵を開けて迎えに行くと言うのがある。というか、これしかない。


問題はどんな騒ぎを起こすかだ。……そこそこみんなの意識がそっちに集中するけども、でもあんまり大きな被害を出さないようなものが望ましいのだけれど……


……


ぴーん。思いついた。


よし、とりあえずそれでやってみよう。


シノは外へと出て行った。


えーと、どこかに居ないだろうか。あ、居た。赤めけモンだ。


「めけー!!」


「……きゃー。」


わざとモンスターに自分の姿を確認させると遺跡まで誘導した。


遺跡は聖浄化されていると言ってはいたが、外からモンスターを入れることは可能らしい。……モンスターを侵入させて一騒動起こすのだ。


「あ、シノさん、どうし……モンスター!?」


「ああ、セフシアさん、こんにちは。街へ行こうとしたらモンスターに……」


「そういう事。……まあ、こいつ一体ぐらいなら……せいッ!!」


一気に詰め寄りモンスターを壁へと投げつけるッ!!その勢いでモンスターは動かなくなる。


「ふう、大丈夫ですか?」


「ふう、大丈夫です。」


「……あんまり外へ行かない方がいいですよ。シノさん一人では危ないですから。」


「肝が冷えました。」


「……そうでしょう。戻りましょう?」


「戻ります。」


……なるほど、これは使えるかもしれない。……たぶん、みんな強いだろうから、大丈夫だろう。


作戦は決まった。


……


「おーい、こっちはなんなんだ?」


「あー?その部屋か。……ゴミ置き場だな……」


シドはやることも無くなってきたので一角にあったドアに興味を移した。


「てかあんた、そろそろ仕事してくれよ……別に食う物食っても構わないけどちっとは俺たちの手伝いしてくれてもいいだろう……」


恨み言を言われるのもまあ納得ではある。シドはここへ来て何にもしていない。ただ男たちも食べ物や水は普通に渡してくれる。……とは言え、働かざる者食うべからずという言葉もある。いつまでも甘えているのはいかがなものだろうか。


「めんどくさい。」


「……はぁ……頼むからいつか働いてくれよな……」


「ゴミ置き場か、なんか無いかな。」


……


うわ……汚ねえ。


The・ゴミ置き場だ。


何もねえなあ。……暇だからなんか捜してみるか。ゴソゴソ……


……


1時間ぐらいそこで暇をつぶしてみるが、何も無い。たまに遊び道具があったりするがすぐに飽きた。


「なんだこれ。」


奥の奥の方に、ちょっとしょぼくれた機械っぽいようなものを見つけた。ガラクタ、よりかはちょっと高度な感じに見えた。もしかしたらお宝ではないだろうか。


「ふーん。ぽちぽちっと。」


ボタンをいろいろ押してみるが、動いてるんだか何だかよく分からない。


「おらー!!あた!!あた!!」


蹴っ飛ばしたり、殴ったりしてみる。


「どおおおおりゃああああああ!!!!」


最後におもいっきりブン投げる!!!


「あーすっきりした。」


すっきりしてシドは出て行った。


……そしてシドが出て行った後その機械は起動する。……それが最悪の事態を招くのだが……そんなのはまだ先の話だ。


……


シドとシノ、各々の行動の後、ついにシノが行動を起こす。


「ふむふむ。辺りは暗くなりました。夜です。」


シノは再びこっそりと外へ出ていく。


「(……さて、なるだけめんどくさそうなモンスターを……)」


……


……おお、あの辺りがいいかもしれない。


そのモンスターたちに石を投げつけてみる。えい。


……おお。来てしまった。


逃げながらも目に入ったモンスターたちを更におびき寄せて気づけばモンスターの大群に追われる身となる。……あんまり考えなかったけど、これ捕まったらおしまいだ……


ただ、今は荷物も持っていないこともあってか体はスムーズに動くので遺跡までは全然大丈夫そうだった。


……


……遺跡に着いた。そして遺跡の中へとモンスターの大群を引き入れる。1F部分はモンスターたちが徘徊する事になる……


素知らぬ顔でシノは地下へと戻る……


「セフシアから連絡があったのですが、地上に魔物の大群が入ってきたと……」


「……面倒ですね。カラマ、ノノノンとともに防衛団を連れて鎮圧しに行ってくれますか?」


「もちろんです……ただ、結構な大群なようなので、少し手間はかかるかと……」


「……なら私も行きましょう。」


「カラリーサ様が?」


「……こんな時ぐらい、皆の前に立って一緒に戦いたいのです。皆が危険な目に合うのを安全な場所では見ていられません。」


「……全力でお守りします。」


「頼みます。」


「……行きましょう!」


……じー。


とりあえずやってみたけれど、思ったよりうまくいった。カラリーサさんまで行ってしまうとは思わなかった。主要な人物は全員地上へと向かったわけだ。


「……さて、後は、どうしよう。」


……見張りの女性は未だ健在だ。


……どうにか、適当にやってみよう。


「あの。」


「?どうしましたか?」


「カラリーサさんからあなたに伝言を頼まれたのですが。」


「私にですか?」


「……地上で何があるか分からないので、皆で協力して、自分たちが戻ってきた時の為に手当の準備などのを整えておいてほしいと言われました。


「なるほど、確かにそうですね……」


「……私でも見張りぐらいならできるだろうと見張りを交代するように言われました。そんなわけでみんなを纏めてもらえますか?」


「分かりました。じゃあ、少しだけお願いしますよ。無いとは思いますが、何かあったら大声で知らせてください。」


「はい、大声で知らせます。」


……はぁ、嘘をつくのは心が痛む。いたた。


……こんな嘘に引っかかってくれるのは……私を仲間として信じているからだろう。……信頼を裏切るのは、人として最低な事だ。……最低な私だから、仕方ない……


……誰の姿も無いことを確認して、こっそりと私は下の階へと向かう……


……階段をしばらく下りるとドアがあった。おそらくここだ……


「失礼します……」


誰に言っているのかわからないが開けると……そこはなんとも寂れた風景だった。


シド様は……見当たらなかった。どこだろう。


……


「なんだ?今日の配給はもう終わってるよな。ってか、初めて見る奴だ……一人か?」


……彼らにとって、いかにも弱そうなシノは格好の獲物にしか見えなかった。どんな状況だか知らないが、彼らが一気にシノに襲い掛かるのは、自明の理だった。


「何だか知らねえが!!女一人なら、とっ捕まえちまえ!!」


「(……まずい。シド様早く来てくれないと帰っちゃいますよ……)」


そんな事を思っているうちにシノに男がとびかかる……シノの力と弱体化した男の力はほぼ五分と言ったところだ。押さえつけられて身動きが取れない……


「(ちょっと浅はかだった……凄い力で絞められる……)」


……


「ッ……シドさ……」


大声で叫ぼうとしたその時だった。


「おい。何してんだ。」


久しぶりに聞くその声。


「ああ!今こいつがのこのこ一人でここにやって来たんだ!今なら出られるかもしれない!!」


「……何してんだって言ってんだ。」


「いや、だから、こいつが一人でのこのこと……うぐぁああ!!??」


シドは、思い切り蹴飛ばす。いや、蹴り飛ばす。それはとても弱体化しているとは思えない力で。


その光景を目の当たりにして、他の男たちも、微動だにしない。いや、動けない。自分もその巻き添えを食うかもしれない……そんな恐怖がよぎる……


「……シド……様……けほっ……」


「大丈夫か。」


「……お久しぶりですね。」


「アホか……」


「……あの、助けに来ました。」


「そこの扉か?」


「はい。」


「おっし。じゃあ行くぞ。」


「はい。」


立ち上がると、久しぶりに二人並んで歩き出す。そしてドアを通って、階段を駆け上がる!!


……


「……明々後日じゃなかったのか?」


「?何がですか?」


……どうやら考え過ぎだったようだ。


「まあいい!!とっととこんなとこからおさらばだ!!」


再び次のドアを開け放つ!!そこは、女性たちの住むエリアへと続く扉。


「ッ!?男?」


見つかった。さて、どうしよう。


「ちっ……!出口までさっさと行くぞ!」


逃げるが勝ち……か。


あ。


「シド様、ちょっと逃げていてください。」


「何!?」


「忘れ物を……」


「……早く戻ってこい!!」


「行ってきます。」


しまった。大事なものを。うーん。計画はやっぱりしっかり立てないとこうなるんだ。


……


魔物達の討伐は順調に進んでいた。だが、そんな折カラリーサの所へは良くない知らせが届く。


「……下から男たちが?」


「一斉に現れて暴れているとか……まあ鎮圧は時間の問題と思われますが。」


……思い当るのは、シノだった。というか、この魔物騒ぎ自体も彼女が引き起こしたものではないだろうか。


……同じ女性とは言え、仲間を危険に晒すようなことをする人だというのならば、少し考えを改めなくてはならないだろう……この魔物達を倒し終わったら、すぐに向かわなくてはならない。


……


……


……


シド達に乗じて男たちも上のフロアへと上がってきたが、いかんせん力の差は歴然だった。地上へと多くの人間が向かってしまったとは言え、残った女性たちもそれなりに力を持っている。弱体化している男達ではまず相手にならない程度に。


「うう……ちくしょう……」


一人、また一人と動けない程度に痛めつけられていく。


そんななか、シドはとにかく逃げ回っていた。


「だー!!!まだか!!!」


あっちこっちへとひたすら逃げ回る。最初の頃こそ他の男たちも紛れていた為一人へと狙いが集中することも無かったのだが、もうそんな状況ではない。


「……きょろきょろ。」


ようやっとシノは忘れ物を取ってきた。それを携えてシドを探す。


「あいつを捕まえろー!!!」


「あ。」


みんなが追いかけている先にいるに違いない。先回りしてみよう。


……


「ッ……!」


「シド様ー。」


やっと戻ってきたか。……それを忘れるなんて、勘弁してほしいと思ったが、そんな言葉はここを出てからたっぷり言わせてもらおう。


「これを。」


シノは手渡す。彼の剣を。


「おし!!……くそ……ちょっと重いな……」


弱体化の影響はここにも出てくる……だが、無いよりは遥かにいい。


どうにかこうにか剣を振り回しながらも二人は出口の方へと向かっていく。


「シノさん。そこまでにしましょう。」


……が、ちょっと時間がかかりすぎた。


「あ……」


「げっ……」


「……大した騒ぎになっているようですね。」


……魔物達を倒したカラリーサ達が戻ってきてしまったのであった。


急ごしらえと言うか、後先考えない作戦は、やはりうまくは行かないのだった。

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