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買い物


 雨も止んだ様なので、いざ出発。

 ムラクモ達は雨の中でも引っ張りますよと、言ったのだけど、それもなんだかと待った。

 急ぐ理由も無いし。

 そもそもの目的がマリーのパンツなんだから。

 ゆっくり行こう。


 山を降り。

 草原の石畳をガタゴト進む。


 時折、魔物も出るが、蜂達の新しいスキルのお陰で発見が速い。

 隠れていても、ピット器官の熱探知で1発だ。

 で、一匹づつムラクモのスキル、カエルの舌で引き寄せてボコる。

 まあ、弱い魔物しか居ないのだから、楽勝も当然か。

 むしろ、スキルを取り出す作業がウザイ。


 「魔物のスキルも結構、貯まったなー」


 「先に言っとくけど、ソレ売れないわよ」


 「何で? スキルって売り買い出来るって聞いたぞ」骸骨にだけど。


 「そうね、でも魔物のスキルは擬人にしか使えないのは知ってる?」


 「ああ、範囲が有るってのは聞いた」


 「擬人って、人里に居るときはホボホボ奴隷ナノよ」


 「喋れ無いし、だろ?」


 「そんなのがお金持ってると思う?」


 「イヤ、自分に使役している擬人達に、主人が……」


 「貴方の持ってる様な、低レベルの魔物のスキルを? そんなのよっぽどの好事家か、マニアか、変態よ」

 

 「ピット器官とか、便利だし珍しいんじゃ……」


 「そんなの、スライムを捕獲すれば出てくるわよ」


 「スライム!」溶けて無くなるからスキルなんて出したこと無い。

 イヤ、毒のスキルが自然と出て来たはず。

 自然と、と、スキル召還は、違うのか?

 実際、蜂達に渡した毒のスキル……いまいち意味がわからんかった。


 バラバラと床に転がし「ゴミか?」

 

 「ゴミね」

 

 「イヤ、しかしスキル召喚なんて使える奴は……そんなに居ないだろう?」


 「スキル召喚はね、でもスキルスチィールってのが在るわ」


 「スチィール? 私持ってる」コツメが割って入る。


 「その上位進化版よ」

 「倒した相手のスキルを掠めとるの、特殊な瓶に閉じ込めてね」

 「コツメも、そのうちに出来るようになるわ」


 「……」その場に倒れ込んだ……ふて寝だ!




 そんなこんなで村に到着。

 村長の雑貨屋に直行。


 店には、人の良さそうな、肉付きの良過ぎるオバサンが居た。


 「あら珍しい、旅の人?」


 「ああ、そうだ」頷き「ここは、買い取りもしてくれるのか?」


 「モノにも依るけど、してますよ」

 「あ、弱い魔物のスキルなんてのは駄目よ」笑いながら「そんなの持ってくる人も居ないけどもね」


 ポケットの中で、握り締めていたモノを離した。


 「そんなのじゃ無くて、この回復薬10個を買い取って欲しいの」と、リュックから出す、マリー。


 「良いわよ、オバサンに良く見せてくれる?」

 ソレを手に取り、何やら呪文……鑑定か何かか?


 「うんコレは良いものね、質も良いし、新鮮だし」

 「1個、銀貨1枚ね」

 「全部合わせて銀貨10枚よ」

 

 価値がわからん……。


 「ソレで良いわ、お願い」

 と、瓶と銀貨を交換したマリー。

 「で、パンツが欲しいの」オバサンに近付き、小声で。


 「待ってなさい」

 奥に行って、ゴソゴソと。


 改めて見渡した店内。

 いろんなものが置いてある。

 鍋とかの調理用具。

 鍬とかの農具。

 剣とか盾も有る。

 勿論、防具も。


 「ごめんなさい、今は、コレしかないわ」と、持って来たのはチョッとセクシー過ぎる下着。

 「値段も高めで、銀貨10枚……どうする?」


 「ウーン」唸るマリー。


 「モノは良いんだけども、ねえ」


 「良いわ! 買った!」


 「そう、ホントに良いのコレで……」

 と、マリーに手渡して。

 「銀貨11枚ね」


 「え! 今10枚って言ったのに」


 「え?」


 「消費税ってヤツだ……」


 「そう、消費税が付くのよ、モノを買うと」


 「なにソレ!」


 「寝てる間に、税制が変わったんだろ」


 「キぃー、誰よ! 変えたの! 王様! 何様よ!」


 税金は何時の世も腹が立つもんなんだ。ポンと肩に手を置いた。


 「無理! 買えないわ」と、オバサンにパンツを返した。


 そんなやり取りの中の、店の奥から声が掛かる。

 「おや? いつぞやの冒険者さん」

 村長が出てきた。

 

 「あら、知り合い?」オバサン。


 「ほら、この間の御嬢様の恩人ですよ」オバサンに。


 ん? 村長はオバサンに頭が上がらないのか?


 そのオバサンは、俺を上から下から品定めをし。

 「人は、見掛けに依らないモノねえ」


 失礼な! 


 「ははは」と苦笑いの村長。

 「時に、冒険者さん、この間の御嬢様の御父上様から

お礼を預かって降ります」

 と、革製の巾着袋を差し出して来た。中には金貨10枚ある。

「コレはその、ほんの1部だそうです」

 今度は、羊皮紙を出して来て「是非に1度、御屋敷にと、その時に改めての御礼をしたいとの事で、コレをお持ち下さい」と、手渡されたモノにナニやら書いてある。


 「わかった、その内に伺うよ」頷き「で、良いか?」


 「はい、言付かりました」


 さて、思いがけずに大金を手にした。多分……大金。


 「マリー、パンツ買うか?」


 口をあんぐりと、開けて俺を見ていたマリー。

 「要らないわよ!」なにソレ! なんでよ! と、ブツブツ言い始める。

 

 じゃ、と「カエルのハッピはあるか?」


 

 店を出た後。

 幌車を引くムラクモ、ハッピ姿にフンドシ、そのフンドシにキセルを差して、とても嬉しそうにしている。

 幌車を押すシグレは、朱色の着物、後は化粧ポーチの中身も少し充実した、コチラも嬉しそうだ。


 マリーには、パンツは要らないと言うので、魔法使いのローブを買ってやった。赤色の頭巾付きのだ。

 子供用なのでとても可愛らしい。

 が、気に入らないのか、その上に白衣を着込んでいる。

 後、肩掛けバッグもだ、何でも魔方印が打って有って、使えるスキル持ちだと、結構な量の荷物が入る魔法の鞄らしい。

 マリーに聞いたら、使えると言うので買ってやった。

 ただ、コレも色が気に入らないそうだ、黄色い可愛らしい色なのに。


 俺は、とうとう念願の煙草を手にいれた。

 早速に一服。


 「ねー私のは? 何で私だけ何も無いの?」サッキからずっとだ。

 「蜂達にも有って、何でよー」蜂を指差す。


 その蜂達は、買ってやったジャム瓶に、美味しそうにたかっている。


 「お前には、スキルを一杯やったろ、ソレで我慢しとけ」


 「えー」

 「そんなの、やだー」


 「ああ、うるさい」余りに五月蝿いので、お釣りから銀貨10枚を渡してやった「今度、ソレで好きなのを自分で買え」


 

 「さて、目的地、何だが……」

 

 「そのまま、ドワーフの村よ」俺の言葉に被せぎみに。

 「城下町は、絶対にイヤ」


 「パンツ、買ってやるって、言ったのに」


 「五月蝿い! 要らないわよアンなの!」プリプリと。


 「ハイハイ、じゃドワーフ村ね。その次に城下町で、行こうか」


 ――で、その村はドッチの方向で?――


 「アッチよ」と、指差すマリー。


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