7話 保護者が増えました
連投です。宜しくお願いします〜。
「王子様がこんなことしていいんですか」
「しー!駄目だよそんな呼び方したら。あと口調」
「……マリ、諦めろ」
フレイ様の付き合いとはなんと街へのお出かけだった。よくあるあれですよ、お忍び。
その話にカイゼルさんが絶対止めるとか思ったんだけどあっさり認めた。んでもって当たり前だけどカイゼルさんも付いてきた。
私達は今、所謂庶民の格好だ。カイゼルさんも騎士服じゃないラフな服。私服初めて見たけど格好良さは相変わらず。あ、でもちゃんと帯剣はしてるよ。
フレイ様はちょっといいトコのお坊ちゃん風で魔法で髪と目の色まで変えてる。まあ金髪碧眼は目立つからね。一般的に金髪は王族とか高位貴族に多いんだって。フレイ様も帯剣してる。
私は町娘風。あれだ、有名な歌ミュージカルの主人公が最初の頃着てたような?あれ程地味ではないけどね。最初ピンクの可愛らしい色にされかけて断った。ダークグリーンの落ち着いた色合いにしたよ。ピンクとか無理プレイだよ!
街を歩いていたらカイゼルさんもフレイ様もちょいちょい声をかけられてる。知り合い多いな。
「2人とも慣れてるよね。つまり抜け出しは常習かー」
カイゼルさんが止めなかった理由判明。
「民を知るのも大事だからね?ねえカイ」
「こいつのは子供の頃からだ。5歳から脱走して何度手を焼いたか」
ははあ。カイゼルさんがフレイ様に遠慮がないのもそのせいか。呼び方も愛称だし。カイゼルさんはカイ、フレイ様はそのままフレイ。で、私はマリ、になった。急激に親しくなってるなあ。
「遊びたい盛りなんだから仕方ないだろう?」
「昔は仕方ないが、もういい年なんだ。いい加減大人しくなれ」
「父上はいいって言ってくれてるけど」
カイゼルさんがため息ついた。
あの王様、息子に甘いな?
にしても仲良しだなあ。
「2人とも仲良いね。兄弟みたい」
「付き合いは長いからね。僕は一人っ子だから実際カイが兄みたいかな」
「手のかかる弟だが」
「いいなー。兄弟かぁ…」
ふと弟を思い出す。ちゃんと元気にやってるかな。まともな食事してるかな。また三徹とか無理してないかなあ。
ちょっと望郷に浸ってしまってしんみりしてたら視線を感じる。2人がすまなそうな顔してる。しまった、気まずくさせちゃったかな。
「あー、えーと、2人は街に詳しいみたいだから案内してくれるよね?」
話をそらそうと明るく言えば2人の顔に笑みが戻った。
「それはもちろん。沢山知ってもらって好きになって欲しい」
「行きたいところがあれば言ってくれ」
「ふふー頼もしいなあ。にしても、カイさんだけって無用心じゃないの?」
そう、一緒なのはカイゼルさんだけなのだ。王子様ならもう何人かくらい付いてきそうなのに。
「昔はもう何人か連れてきていたが、今はいない。フレイが護衛が必要ないくらいに強くなったからな」
「カイほど強くないけどね。彼からは一応5本に1本は取れるくらいにはなったよ」
うわ、王子様強いのね。カイゼルさんはこの国で1番強いらしいからその彼から5回に1回は勝てるんでしょ。凄い。
「そりゃ確かに必要ないかー。という事は私今最強の2人を連れて歩いてるのか。贅沢だね。これなら安心安全だ」
最強ボディーガード従えてるとか贅沢すぎますね、はい。
「だからって油断したら駄目だよ?人攫いが出るみたいだから」
「人攫い?」
また物騒な単語が出てきた。異世界らしいっていうとらしいけど、見た感じこの国はなさそうな雰囲気だったんだけど。
「魔物の襲撃が活発になり始めた辺りから、警備の手が薄くなってな。その隙を狙われた」
カイゼルさんが険しい表情を浮かべる。そうか、騎士団は魔物の討伐もしてるけど街の警備もしてるから。討伐が忙しいと警備まで手が回らないんだ。
ぽん、とフレイ様がカイゼルさんの肩を叩く。
「カイのせいじゃないよ。責任があるとすればそれは上に立つ僕達のせいだ。特に王都の治安維持なら余計に」
「だが…」
「カイ。この話は何度もしただろう?やれるだけの事をやるしかないんだよ。それに今は聖女様がいるんだ。討伐は負担が減るはずだから大丈夫だ」
ちらっとフレイ様が私を見た。そうだね、私が頑張らないと。
「…わかった。」
「ほらほら、折角マリを案内してるんだからそんな暗い顔してたら駄目だよ?」
フレイ様がカイゼルさんの頬をむにーっと掴んだ。ぶ、ちょっと可愛いよそれ。
面白いから私は反対側をむにむにした。
「こ、こら!やめろ2人とも!」
困ったように慌てるカイゼルさん。わーい楽しい。
「おや、カイとフレイじゃないか。ちょっと久しぶりだね?」
3人で戯れてたら近くのお店から声がかかった。果物屋さんかな?ふくよかなおばさんで気のいい笑顔。彼女も2人を良く知ってるみたい。
「ああ、色々忙しかったからな。変わった事はないか」
「特にはないねぇ。魔物の話も上がるけど騎士団が踏ん張ってくれてるし、聖女様も来てくださったみたいだから安心だね」
信頼してるって感じだ。益々頑張らないとって思っちゃうな。
「そうか、それなら良かったよ」
フレイ様も嬉しそうだ。
「それよりそのお嬢ちゃんは新顔みたいだけど、どっちの彼女なんだい?」
ってぇぇ!私?!私?!彼女!?そう見られてたのか!
「さて、どうだろう?僕は是非ともお付き合いしたいんだけど」
フレイ様!?何おっしゃっちゃって…おわ!カイゼルさん顔が怖い!なにゆえそんな顔してるの!
「おやおや、カイが凄い顔してるねぇ?2人に取り合いされてお嬢ちゃんも大変だね」
「うえ!?いやいや違いますからそうじゃなくて」
慌てて否定するけどおばさん聞いてない。だー!こんなイケメン2人に取り合いされるとかないですからー!
散々からかわれながらおばさんの店を後にする。なんかお近づきの印に林檎ただで貰っちゃいました。
林檎を片手に持ちながら2人を見る。フレイ様はなんか嬉しそうでカイゼルさんは何か、ううむ、拗ねてる??
「面白いなあ。カイもそんな顔するんだね」
「っ、からかうんじゃない」
確かに動揺してるカイゼルさんが珍しいのはちょっと面白いけど。フレイ様が居るとより冷静さが無くなってるなあ。
不思議に思いながらも通りの店がいっぱいあって意識はそちらに向く。
こういう露店て見てるの楽しいよねー。違う世界から来た私には珍しい物が沢山。未だ日本国内から出た事がない私は余計。海外旅行?休みが取れないから行った事ないです。え、だからブラックじゃないよ?うん多分。
あ、あっちにある布綺麗ーっと?
危うく誰かにぶつかりかけたら腰と腕を引かれた。
「周りを見ないと危ないぞ」
「気をつけてね?」
腰はフレイ様で腕はカイゼルさんです。すいません子供みたいにふらふらして。ん?およ?カイゼルさんが更に腕を引いた。
「迷子になりそうだからこうしてろ」
そのまま私の手を握る。お子様扱い度が上がった。がっくり。確かに私は人混み歩いてると迷子になりやすいですけどね。ぐぁぁ、1番歳上なのに情けない。
「あれ、マリだけで僕とは繋いでくれないの?」
「フレイは迷子にならないだろう」
フレイ様なんかにやにやしてー。悪い子の顔だけどまたそれが似合うから怖いわ美青年。
とりあえず迷子には気をつけつつひやかし継続。
あー、あれ美味しそう。あ、なんだろあれ。目移りしまくるなあ。
ん、あのアクセ屋さん綺麗だな。
「気になるのか?」
私の視線に気付いたカイゼルさんがそのお店に寄ってくれる。よく見てるなあ。ありがとうございます。
「いらっしゃい、お一つどうだい?」
若いおにーちゃんがお店の人みたいだ。わー、色々あるなあ。
「欲しいのがあれば僕が買ってあげるよ」
は、しまった。私お金ないんだった。
「え、それはなんだか悪いような」
「気にしなくていいよ。このくらい当然だし。僕だけじゃなくてカイだって買ってくれるよ、ね?」
「マリの為なら幾らでも」
ぐっは!イケメン発言2連打!突如そういうのさらりと言って悶えさせるのやめてくれませんか!
くうう!こうなったら高いの買って困らせてやる!
「マリにならこれが似合うんじゃないかな?」
「いや、こっちだろう」
って、2人ともナゼ張り合うみたいに探してるんデスカ?
唖然としつつ私も物色する。好きなのは青い色なんだよね。あ、このネックレスの石綺麗…っと、やば。
つるんと滑って落としてしまった。急いで拾おうとしてしゃがんだら急に突き飛ばされた。
え?うわ?
手をつこうとしたらその手が強く引っ張られる。店の横にあった細い路地に強引に引っ張り込まれた。いだだだ!膝いだだ!擦った!
引っ張った男に抗議する間も無く俵担ぎされてしまうと、男は脱兎の如く走り出した。
うげ、これはまさかの人攫いにエンカウントしたのか。注意しろって言われたそばからー!
あばあば暴れたら顔を殴られた。いだい…乙女、じゃないけど女の顔殴るとか酷いー。また殴られたらやだから大人しくした。
顔を上げてみたら私が居なくなったことに気付いた2人が追いかけて来ていた。男は細い路地裏を縦横無尽に走るけど流石2人は離されないどころか迫って来てる。あれならもうすぐ追いつく、と思ったら男が止まった。
「しつけぇ奴らだな。だがここまでだぜ」
男が止まった場所には仲間なのか数十人の柄の悪そうな連中がいた。
私を下ろした男がピタリ首筋にナイフを当てる。冷たい刃の感触にぎくりとする。き、切れるぅぅ。
追いついたカイゼルさんとフレイ様は連中を見て腰の剣に手をやるも私がナイフを当てられてるのをみて抜くのは躊躇してる。うわ、2人とも凄い怖い顔だ。刺すような殺気。あれ、なんか私の顔見て…ああ、顔殴られたからかあ。痣とかなってたら恥ずかしいなあ。ちょっとズキズキはする。平凡顔が不細工に格下げされてないかしら。
「おい、お前ら。妙な真似したらこいつの首搔っ捌くぞ」
「貴様…!!」
ぎり、という歯軋りが聞こえそうなくらいカイゼルさんが睨みつけてる。フレイ様は、ぎゃあ、無表情。美形の無表情こわ!魔力の威圧すら出してないのに圧がこわ!
「魔力感知が出来る奴もこっちにはいるからな。魔力に変化があればわかる。大人しくしてな!」
無法者ばかりかなとか思ったら案外頭が回るし用意周到だな。けどこれじゃあ2人が手を出せない。たぶん2人なら一瞬でも隙があればなんとかなるはず。なら私がなんとかするしかない。
痛いかなあ。痛いかもだけどびっくりさせるには効果的だからやるしかないなあ。まあ。治癒できるからいいか。
意を決して顔を上げたらカイゼルさんと目があった。あ、何しようとしてるかバレた?
私が行動する前にカイゼルさんが剣を前に放り投げる。フレイ様も同じことをした。
そのまま私達は人攫いに拘束されてしまったのだった。
「カイゼルさん!大丈夫?!」
「…このくらい、平気だ…」
転がされてるカイゼルさんはどうみても平気そうじゃない。
私達はあの後、人攫いに連れて行かれて王都の外れの空き家の地下に押し込まれた。窓もない暗い地下。食料用の倉庫か何かに使われていたんだろうか。
私は最初に入れられた。女だからか両手の拘束くらいで済んだ。次にフレイ様が連れてこられた。綺麗な顔がちょっと殴られて両手足を縛られてた。男だから仕方ないか。最後にカイゼルさん。彼はかなり痛めつけられて両手足拘束の上に魔力封じまでつけられてた。これ、魔力を4分の1まで奪ってから回復も封じるものらしい。転がされたカイゼルさんはかなり辛そうだ。
フレイ様より酷いのはやはりカイゼルさんが見た目は1番強そうだからだろう。フレイ様はぱっと見お坊ちゃんぽいから手加減されたな。
にしても酷い。治癒したいけど縛られてるから手に魔力が集めにくい。盛大に魔力つかって治癒してもいいけどそれだと奴らに気付かれて私も魔力を封じられちゃう。それは困る。
まずは拘束を外さないと。うーん、何とかならないかな。あ、そうだ。
もそもそ歩いて私はフレイ様の横に寄る。フレイ様は魔力封じられてないんだよね。
「マリコさん?どうしたの?」
「フレイ様、魔法使えますよね?私の縄焼いてくれない?」
フレイ様に縄を焼いて貰えばいい。うん、いい考えだ。
「なっ!?それは駄目だよ!火傷してしまう」
「大丈夫大丈夫、すぐ治癒するから」
「それにしてもだ!顔にも膝にも怪我をしてるのにこれ以上貴女に傷を付けるなんて」
そういえば膝も擦りむいてたっけ。うわ、砂利で擦れて酷い有様に。もー、やだわー。魔法なかったら痕になるところだった。
「大丈夫だから。魔法で治るから早く。あいつら戻ってきたら面倒ですよ」
フレイ様は凄く嫌そうな顔してたけど私が何度も頼んだら漸く頷いてくれた。因みに小声で話してたからカイゼルさんには聞こえてない。
「2人ともさっきから何をこそこそ話してるんだ?」
「あー、えーと、怒らないでね?ほらフレイ様早く」
かなり渋々といった様子でフレイ様が魔法を使う。
「灯火」
小さな炎が私の縄に着いた。ちりちり音がして縄が焼ける臭いが漂う。
あちちち!あち!でももう少し我慢!緩んだら即抜く!
「何をしてるんだ!」
「あち!大丈夫だからあちち!あ、よし!」
焦げ目から縄が緩んだので急いで手を抜く。あちちち!いただだ!真っ赤な火傷と縄が擦れた痕で手首が大変なことに。
「馬鹿な事を!早く治せ!」
私のした事にカイゼルさんが案の定怒る。これ以上怒られる前に私は治癒魔法をかけた。良かった、痕残らなかった。
それからまず真っ先にカイゼルさんの治癒。そしてフレイ様も治癒。合わせて手足の拘束も解いた。
うにゃ、カイゼルさんが怖い。
「マリコ殿、何故あんな真似を。自らを傷付けるなんて」
マリ呼びをやめてる。すっかり騎士モードですね。
「ごめんなさい、でも脱出するにはあれが手っ取り早いかなと」
「ごめんカイゼル。僕は反対したんだけど」
「…さっき連れて行かれた時も無茶しようとしただろう。どうして貴女は大人しくしてないんだ」
すいません暴れん坊聖女で。
「頼むから、進んで怪我をするような真似はやめてくれ」
「ごめんなさい」
カイゼルさんの悲しそうな顔をみたら罪悪感でいっぱいになる。いつもこうやって心配かけちゃうのは本当に反省だな。
「やってしまった僕が言うと説得力は無いけど、大切な人が傷付くのは僕も嫌だからね。今後は僕やカイゼルをもっと頼って欲しい」
フレイ様の言葉に私は頷く。聖女の魔力の強さに溺れたら駄目だね。
「さて、さっさとここを出るぞ」
カイゼルさんが立ち上がっては軽く手首を回す。あ、魔力封じ。
「カイゼルさん、魔力封じはどうするの」
言われて思い出したのかカイゼルさんが手首を見る。簡単には外れそうにない腕輪なんだけど。
「魔力が無くても問題はないが、万が一もあるからな。マリコ殿、これに魔力を流して貰えないか?」
「魔力を?」
「魔力封じはね、付けた人の魔力を上回る魔力を流し込と外れるんだよ。他にも方法はあるけどそれが一番早い」
フレイ様が説明してくれた。成る程。キャパオーバーさせて壊すのか。
私はすぐに魔力を腕輪に流し込む。するとあっという間に腕輪は粉々に砕け散った。
「流石聖女様だね。ここまで盛大に砕け散るとは」
「普通は?」
「ビビが入って割れるくらいだな」
あははー。まあ魔力10万ですから。
「よし、行くぞ」
乾いた笑いを浮かべてたらカイゼルさんが扉に向かう。扉は鉄製でかなり頑丈そうなんだけど。というか拘束は解いたけど丸腰で平気なの?
「それどうやってあけるの」
「魔法で壊すに決まってる」
「でもカイゼルさん魔力大丈夫?」
「この程度ならまだ大丈夫だ。少し下がってろ」
言われて扉から離れる。魔法でって言うけど、心配なので私は私と2人に防御魔法をかけた。私がかける防御魔法は何もしなければ物理と魔法の両方を防げる代物です。
カイゼルさんが扉に手をかざす。
「氷雪」
さっむ!凄い冷気。一瞬で扉が凍りついた。
その扉をカイゼルさんが蹴り飛ばす。
派手な音がして哀れ扉は砕け散りました。強い!ローレルさんあの蹴りくらったのかあ。南無三。
「行くぞ。離れないようにしろ。フレイ様はマリコ殿を頼みます」
「任せて」
音に気付いた人攫いの連中が上からわらわら降りてきた。全員武器をもってる。防御魔法かけたけど大丈夫かな、どうするんだろ。
「大丈夫。カイゼルは強いから。剣もだけど彼は体術も強いからね。僕は体術ではカイゼルに勝てた事ないよ」
さりげなく庇うように前に出たフレイ様が王子様スマイルで言う。
うん、確かに杞憂だったよ。
男どもをカイゼルさんは鮮やかな体術で制圧していった。1人当たりたぶん2秒くらい。的確に殴り飛ばし蹴り飛ばす。ふえー、凄い。
「このやろう!」
あ、魔法!そういえば魔力感知が出来るって言ってたけどかなり使える奴がいるのか。
はっとしてカイゼルさんをみるけど冷静に対処してる。放たれた魔法を相殺して打ち消した後に倍の威力の魔法を放って倒してた。
あれよあれよと言う間に人攫いは残らず倒されてしまった。
伸びた連中をそのままに空き家から出たらいつ連絡したのか騎士さん達が集まってた。
「殿下、団長、それに聖女様も!ご無事ですか!」
「大丈夫だ。中に例の人攫いの連中がいる。全員拘束しつて連行しろ」
「はっ!」
「いつの間に連絡したの?」
「マリコ様が連れて行かれた時に魔法で伝令を飛ばしました。後は私の魔力を探索してもらったのです」
カイゼルさん切り替えはや!あ、そうだ。
「カイゼルさん、今回の事は私も不注意だっから気にしたら駄目だからね」
また何か処罰云々言う前に先手を取る。
それを聞いたカイゼルさんが眉を寄せる。
「私の謝罪を先取りしないで頂けますか」
「事あるごとに気にされてたらこっちが困るし」
「貴女という人は、全く」
「ふふ、諦めた方がいいよカイゼル。今回は僕もいけなかった。マリコさんと出かけらるからと浮かれて注意を怠ったからね。僕も処罰は考えてないよ」
「殿下までそのような。部下に示しがつきません」
カイゼルさんホント真面目だなあ。
「なら、カイゼルは明日1日謹慎。魔物の襲撃以外では外出は許可しない。マリコさんとずっと一緒にいる事」
処罰するんだ、謹慎かーってフレイ様最後のは何?!何故私!普通は自室で大人しくとかじゃないの!
「殿下、それでは普段とあまり変わらないのでは」
「意義は認めないよ?これは命令」
「っ、畏まりました」
わあ、フレイ様ずるい。そこで命令とか言う。
「さあ、城に帰ろうか。お腹が空いたしね」
さり気なくフレイ様に手を取られる。うーむ、これは私の保護者がまた増えたかなあ。
おばさん聖女、保護者は歳下ばかりです、はあ。