4話 転用してみました
宜しくお願いします〜。
討伐に行く事に決まってから出発まではあっという間だった。
着替えは必要ないからそのまま向かう。
この白ローブ、実はその下はズボンだから動きやすいんだよね。実戦向きにできてる。
聖女用の一画を出たら沢山人がいた。普通に城に仕えている人達だな。侍女さんとか騎士さんとか神官さんとか文官さんっぽい人とか。皆さん急に現れた私にびっくりしてる。でもすぐに頭を下げて道を開けてくれる。ぐは、初めて聖女らしい仰々しい扱い。こっぱずかしさとちょっとした優越感が混ざり合う。庶民なんだ許してくれ。
カイゼルさんは周囲の事は気にせず真っ直ぐ何処かに向かった。騎士団の敷地っぽい所を抜けてその中のとある場所に入る。
100人は優に入れそうな広さの部屋に神社の鳥居みたいな高さの門があった。作りは西洋の神殿風。
「カイゼルさん、ここは?」
「転移門です。王都のここから国の各地に同じ門があり、移動に使用しています」
敬語なのは周りに騎士さんが他にいるから。うん、こっちもいいよね。何がって?敬語ですよ敬語。両方楽しめるのはいい。
にしても転移門かー。いいな、うちと仕事場に欲しい。さらばラッシュ。あ、戻れないから必要ないか。無念。
「便利ですね。これで討伐先に向かうんですね?」
「はい。先にローレルが騎士を率いて向かっていますから私達はそれを追いかけます」
「わかりました」
カイゼルさんは周囲の騎士さんにいくつか指示を飛ばすと私を連れて門をくぐった。
何もないと向こう側が見えるだけの門は魔力を通すと揺らいだ鏡みたいになって向こう側が見えなくなった。そうしてからくぐった先はもう違う場所だ。
出た先は外だった。一気に室内から外。ふは、ホント便利。ナントカドアだねうん。やっぱりうちと仕事場に…だから!同じことなんど考えるんだ私。
現れた私達にその場にいた騎士さん達が驚く。彼らは門を守ってるのかな。
「カイゼル騎士団長!今日は来られないのでは。それに、そちらの女性は」
「予定が変わった。俺も討伐に向かう。こちらは聖女マリコ様だ」
「聖女様…!これは失礼致しました。ではこれからは聖女様がご一緒下さることに?」
「はい、まだ色々未熟ですが精一杯頑張ります」
「魔物の出現場所は」
「ここから馬で10分程度の場所に。副団長は30分程前に向かわれてます」
案外近い場所みたい。転移門は主要な場所にしかないみたいだから毎回近いとは限らないよね。
「すぐ向かう。お前達はこのまま引き続き門を頼む。馬を用意しろ」
「はっ!」
指示を受けて騎士さんが急いで馬を連れてくる。カイゼルさんは私に向き直り聞いた。
「マリコ様、乗馬の経験は」
「すみません、ありません。ですが頑張ります」
「乗り慣れていませんと辛いかもしれませんがお願いします。決して落馬させるような真似は致しませんので」
乗馬なんて日本じゃ特に余程じゃないから乗らない。大変て聞くけど頑張るしかない。あ、当然相乗りですよええ。自力とか無理無理。
連れられてきた馬にまず先にカイゼルさんが乗る。う、私よじ登れるかな?ってうわ!
悩む前にカイゼルさんが片腕で軽々私を馬上に持ち上げた。うひゃ、凄い。
「身体を私に預けて下さい。飛ばしますから動かないで頂けますか」
「はい」
言うなりカイゼルさんの手が腰に回る。がっしりした腕が私を支える。ひゃー、これはまあドキドキする。こら私、落ち着け。
そこでふと思い出し聞いた。
「カイゼルさん、体調は大丈夫なんですか」
ステータスをみたらまだHPもMPも全回復してない。疲労がある証拠だ。
「この程度ならば問題はありません。ご心配なく」
「そう言うなら信じますが、無茶は駄目ですからね?」
案に昨日の件を匂わせながら言う。ステータス見られるんだから誤魔化せないんだからね?
私の視線の意味に気付いたカイゼルさんが苦笑いする。
「剣に誓って。では参りますよ」
そして馬は走り出した。
想像を超えて馬は大変だった。
まず揺れる!道が整備されてないのもあるから揺れる!舌を噛まないように黙ってるしかない。あと速い。とんでもなく速い。カイゼルさんの乗馬技術はかなりなんだろう。私を片腕で支えながら右腕だけで馬を操っている。それでこの速さ。競馬のトップスピードくらいはあるよ?
流れる景色を横目に見つつ私はある事をしようと魔力を込める。
腰に回っている腕に触れて魔法を発動させる。回復と防御と攻撃アップと素早さアップと状態異常無効!
「っ!?マリコ殿何をした!?」
魔法が使われたのがわかったカイゼルさんが視線は前を向いたままで聞いてくる。あ、びっくりし過ぎで敬語じゃない。
「い、色々!」
舌を噛まない為に詳しく話せないから簡潔に言う。心配だからもうてんこ盛りした。ちなみに相変わらずMPはさほど減らない。
「色々って。とんでもない付加がついてるぞ…?」
この速度で話せるカイゼルさんすごーい。舌噛まないのか。って、前に何か見えた。
まだかなり遠くだけど誰か戦ってる。着いたんだ。
私はそれを確認すると手を前に出してまた魔法を発動する。距離はまだあるけどたぶんできる気がする。視認さえできれば威力は落ちるけど出来ると何となくわかっていた。
「癒しと防御!」
「なっ!?この距離でか!」
驚愕するカイゼルさんを他所に魔法は上手く発動した。見える範囲の騎士さん達に回復と防御の魔法がかかった。おお、流石に1万は減ったMPが。
そこで馬は止まる。飛び込むように現れた私達に後方支援していたらしい騎士さん達が驚く。
「団長!?何故ここに?その女性は一体…それに今の魔法は?」
矢継ぎ早に質問してくる騎士さん達。うん、私明らかに怪しいよね。
「話は後だ。この方は聖女マリコ様で助力に来て下さった。それより状況は」
「魔物の数が多く苦戦しています。副団長が踏ん張ってくれていますが数が何しろ多く。怪我人も増えて前線が崩れかけです、が…怪我人は先程の魔法により回復しましたのでまだ大丈夫かと」
あ、効いたんだ良かった。わかってたけど実際ちゃんと効いたかどうかは不安だったんだよね。
「凄い治癒魔法でした。それにこの防御魔法。かなり魔物の攻撃を弾いてくれています」
何か治癒もだけど防御魔法がやたら強いんだよね、私。土日引きこもりが魔法に反映されたのかしら?こう、ほら、殻に閉じこもってるみたいなのが。違うかな?
話を聞いたカイゼルさんはやや安堵したものの今直ぐにでも前線に行きたいような表情だ。
私はそれをみて背中を押す。苦戦してるならカイゼルさんが行った方がいい。
「カイゼルさん、行って下さい。私は大丈夫ですから」
「それは出来ません。私は貴女の護衛です。お側を離れるなど」
「自分に防御をかけましたし、結界も張ります。ここにいる騎士さん達に守って貰いますから大丈夫です。それに、カイゼルさんが私の所にまで魔物をこさせるようになんてしないでしょう?」
信じてますよ、と言外に告げればカイゼルさんは困ったように眉を下げる。ちょっとずるい言い方してごめんね。
「強情な方だ。わかりました。ここからは絶対に動かないで下さい。そして騎士達から離れない事。お前達、聖女様は何としてでも守れ!」
「はっ!命に変えても!」
最後は騎士さん達に向けて言うとカイゼルさんは前線に向かって走り出した。はやっ!?もうみえなくなったよ!?何でもかんでも規格外だなぁ。
カイゼルさんを見送り周りに結果を張ってから私はその場に座り込んだ。
「聖女様!?どうされましたか!?」
急に座り込んだから騎士さん達があわあわする。あ、すみません大丈夫です。ちょっとね。
「まさか魔法のせいでしょうか?それとも体調が?」
「あ、違います違います。その、馬酔いで」
速さは大丈夫だったけどゆれが。ジェットコースターとも船とも違うから酔った。たぶんジェットコースター系は何でも大丈夫だから慣れたら平気なんだろうけど。
「あ、ああ…団長の全速力に乗られてきたんですよね…」
「それは大変でしたでしょう」
騎士さん達が苦笑いする。あ、やっぱりあれは特別凄いんだね。
「団長の全速力には我々も追いつけませんから。どうぞ」
労わるように水を差し出された。それをのんで一息ついてから皆さんに言う。すいませんまだ座ったままで。も少し休ませて。うう、若さか?若さがないせいか?回復が昔より遅い。ああ、最近行ってないけど富士山のあそこのアレはもう無理かしら。
「酔いはちょっとありますけど座ってればそのうち落ち着きますので、怪我人の方がいらしたらこちらに来るように言ってください。あ、もちろん動けない方がいるなら私が向かいます」
「無理はなさらないで下さい。しかし助かります。まだ重傷なものはおりませんがそれも時間の問題でしたから」
良かった、間に合ったみたいだ。酷い怪我の人がいなくて本当に良かった。
私は休みながら怪我人の治癒と合わせて防御魔法をかけていく。治った人はすぐ戦いに向かう。これは確かに大変だ。いくら聖女でもちゃんと魔力制御しないとMP切れしちゃう。私は全然大丈夫だけど。けど早く制御覚えよう。そうすればもっと役に立てる。
そうして怪我人を治癒し続けていたが一向に収まる様子がない。魔物はまだいるんだろうか。戦いに戻る人たちもだいぶ疲労してる。魔法で疲労は回復しないからこのままじゃジリ貧だ。
「前線はどうなってるんですか」
「団長がいらしたのでかなり持ち直したのですが、やはり数が…あちこちに散らばっていてまとめての魔法も使いづらく」
話していたらまた怪我人が。見ればかなり重傷だ。利き腕を深く切られている。
その傷に昨日のカイゼルさんの怪我を思い出しびくりとする。また、あんな怪我してないよね?
辛そうな騎士さんにすぐさま治癒をかける。あっという間に治った傷に周囲は驚くが私はそれどころじゃない。前線が気になって仕方ない。
でも、私は攻撃魔法は使えない。魔物は倒せない。どうすれば。
あ、防御魔法は出来るから、逃さないようには出来るんじゃ?
ある方法を思いついた私は立ち上がる。
「前線に連れて行って貰えませんか」
「!それは出来ません!危険過ぎます!」
「思いついた方法があるんです。それが出来たら一気に魔物が片付けられるかもしれめせん」
「ですが!」
「危なそうならすぐに逃げますから、お願いします!」
私の強い押しに騎士さんも折れた。
「絶対に側を離れないで下さい。危険だと判断したらすぐに引きます」
「ありがとうございます!」
私は感謝してから騎士さん達について前線に向かった。
そこはまさに戦場だった。
剣撃と魔物の叫び声があちこちで響く。みな傷だらけだ。
私はすぐさま治癒魔法を発動する。ついでにカイゼルさんにかけたのと同じものを次々と使う。うおお、MP5万切った。でもまだいける!
よし。やるぞ!
私は魔力を込めると防御の壁を展開した。これ、普通は攻撃から身を守る為にはる一番簡単なもの。まさに壁だから正面しか守れない。
それをえいや!と魔物へ向けて吹き飛ばした。予想違わず魔物がぶっ飛んで消える。この世界の魔物って死ぬと煙になって跡形もなくなくなる。魔力の塊みたいなものだからそれが失われると形を保てなくなるとか。すぷらったぐちゃあ、じゃなくて助かった。
「防御の壁を、飛ばして倒した…!?」
防御魔法の有り得ない使い方に騎士さん達が驚愕してる。うん、力業だよね。聖女にあるまじき使い方なのはわかってます。
とりあえず飛ばせることはできたから後はこれであれができる。
周囲を見渡し広い場所を探す。よし、あそこなら。
「すみません、皆さんに言ってあそこに魔物を集めてもらえませんか?集めたら私が囲いますから」
「囲う?ああ、なるほど!わかりました」
どうやら私の意図は伝わったみたいだ。騎士さん達が伝えていく。
私も魔物を壁ですっ飛ばしては目的の場所に集めていった。なんかこういうゲームありそうだよね。でも失敗したらリセットなんて効かないから気をつけないと。
騎士さん達の活躍で魔物が一箇所に集められる。うん、あれなら良さそう。ってあ。
ここで流石にカイゼルさんが私に気付いて目の前の魔物を一刀両断してからすっ飛んできた。強っ!あと、はやっ!?本日二度目のびっくり。ホントどんな移動速度してるんだこの人。
「マリコ様、何故こんな場所に!!お前達、何故連れてきた!!」
物凄い剣幕に騎士さん達が首をすくめる。私も思わず2、3歩引いた。怒ってるの初めて見た。こわー!背が高いし迫力が凄い。
でも今はそれどころじゃない。せっかく集めた魔物がまた散っちゃう。
「すみません、お説教はまたあとで!今はあれを何とかしないと」
「あんなに魔物を集めて一体どうするんですか」
「こうします!とりゃ!壁!」
気の抜けた掛け声とか言わない。出来ればいいの!
私は防御の壁を4枚作ると魔物の周りに飛ばす。四方を囲んで閉じ込めた。
題して一網打尽作戦。あとはあれに落し蓋して潰す。全体を覆う結界だと集めて囲って逃がさないだけしかできないけど、あの壁なら頭は開くから上から攻撃できる。
更にもう一枚出そうとして私はその場にへたり込んでしまった。ありゃ、力が入らない。げ、MPがいつのまにか5000になってる。調子乗り過ぎたか。
「マリコ様!っ、まさか魔力の使い過ぎで…!」
急にへたりこんだ私にカイゼルさんも周りの騎士さん達も顔色を青くする。
「あー、えっと?あ、それよりとにかく魔物!あそこになんか攻撃魔法突っ込んで下さい!」
あははと誤魔化しつつそうお願いする。トドメがさせないので頼むしかない。うー、やっぱり燃費悪いのは駄目だな。
「ああ、全く!後で話がありますから!」
これはかなり怒られるのは覚悟した方がいいっぽい?カイゼルさん顔般若。
怒りの勢いのままカイゼルさんが魔物に向かって魔法を放つ。
「業火!」
ずどん、という衝撃と共に火柱が上がる。これがカイゼルさんの攻撃魔法。凄い。羨ましい使いたい。
その威力に哀れ魔物は消し炭になりました。
魔物を一網打尽に出来たおかげでその後の討伐は楽に済んだ。
これで今日の任務は無事終了だ。私の魔法のおかげで酷い怪我人もなし。良かった良かった、んだけど。
撤収準備をして再びカイゼルさんと相乗りをして帰還となったんだけど。カイゼルさんが無表情でずっと無言。最初に会った時に戻ったみたいな。魔力の使い過ぎで立てなかった私は実は世の乙女の憧れ、お姫様抱っこをされたのだがロマンスが全くなかった。
だって、カイゼルさん無言!雰囲気めっっっさ怖いんだよ!?きゃっきゃうふふとかないよ!?真逆でぎゃっぎゃうぎゃぎゃだよ?!連行されるみたいな気持ちだったよ!見た目はお姫様抱っこなのに俵担ぎされてる気分だったよ!
それから戻って騒ぎを知ったマースさんやらカミーリアさんに心配で泣かれながらも部屋に戻り一息ついて今。
椅子に座りカイゼルさんと二人きりで居ます。私椅子、カイゼルさんはその正面に立ってます。見下ろされて無表情。だから怖いって。
昔高校生の時に夜中の学校に侵入して先生に怒られたのを思い出した。あの時は正座させられたなぁ。
かなーり長い沈黙の後カイゼルさんが口を開く。
「貴女は自分が何をしたか解っているのか?」
「…魔力使い過ぎて倒れかけました」
「それだけじゃない。俺の言葉を無視して前線にまできて戦いに参加した。たまたま無事だったから良かったが一歩間違えれば死んでいたかも知れないんだぞ」
「…すみませんでした」
無茶をした自覚はある。前線は確かに怖かった。でも、騎士さん達が、カイゼルさんが怪我したらと思ったらつい身体が動いてた。
けどそれは私の我儘。カイゼルさんが正論だ。結果的に大事には至らなかったが最悪の結果もあった。今、私が失われたら3人目はきっと間に合わない。
だから言い訳はせずに謝る。 後悔はしてないけどね。
深い深い溜息が聞こえた。
「討伐に連れて行くのも本当は嫌だった。それがあんな前線まで来て。貴女の姿をあの場で見かけて、そして魔力を使い過ぎ座り込んだのを見て俺がどんな気持ちになったかわかるか?」
カイゼルさんの顔が歪む。これは怒ってるんじゃない。本当に、本当に心配させたんだ。
「…頼むから、もうあんな無茶は二度としないでくれ。それと、俺を側から離す事も」
酷く辛そうな顔。胸が締め付けられた。
「本当に、ごめんなさい。もう、しない」
心から言う。こんな顔させたかったわけじゃない。歳ばっかり重ねてこういう所は本当にまだ未熟だと思う。思いついたら即行動を改めないと、皆んなに迷惑かけてしまう。会社でも時々無理して頑張って、結果はオーライでも色々皆んなに協力してもらったりしてた。
「わかれば、いい」
そう呟いたカイゼルさんがいきなりしゃがみ込む。え、どうしたの!?まさかまた怪我?
「カイゼルさん!大丈夫です?!ってわっ!」
椅子から立ち上がって様子を見ようとしたら足がもつれた。あー、魔力疲労がまだ回復してない。
倒れる前にカイゼルさんに抱きとめられた。
「大丈夫か?!全く、まだ急に動いたら駄目だ」
「う、ごめん。それよりカイゼルさんは大丈夫なの?いきなりしゃがみこんで」
「俺は、気が抜けただけだ。本当に心配したんだからな」
あ、そういう。脅かさないでよね。それにしてもカイゼルさんちょっと心配性過ぎじゃない?過保護?お父さんか?
「いいか、次からは絶対に、絶対に無茶はするな。俺から離れるな。あと何かするならまず俺に言え」
「あ、何かするのは止めないんだ」
「止めても聞かないだろう?なら聞いて無茶をさせないようにするだけだ」
あ、性格見抜かれてる。はい、言われても止まりませんー。出来ることはやる、がモットーです。さっきの反省はあれはあれ、これはこれ。全く無謀に突っ込んでるわけじゃないよ?おばさんそれ程若くはないからね?
「とりあえず今日はもう休め。色々あって疲れただろう」
そうだなあ。言われると眠くなってきた。
「そうする。あ、カイゼルさんもちゃんと休んでね?ステータスに疲労があるから」
チェックするのが欠かさない感じになってきた。あれ、過保護なのは私もか。郷里の母の気分はこうなのかしら。私は両親同居だから想像だけだけど。
「その他人のステータスを見るの、俺以外に簡単に使うんじゃないぞ?」
やや呆れた顔で言われた。わかってます。かなりのチートだし他人に自分の情報知られるとかあまりいい気分じゃないしね。
「とりあえずカイゼルさん限定にします。無茶しないように」
「俺限定、か。…ローレルよりは近づけたか?」
は?今の何?どういう意味?そこでローレルさんの名前がでるのよくわかんないんだけど?ちょいちょい妙な事言うようになってきて。デレが早いよだから。最初の頃の無表情はどうした。というか距離詰めてどうするんだこのおばさんに。
「まあゆっくり休め。俺は隣にいるから何かあれば呼んでくれ」
意味深な言葉残して行くな!もう、変に振り回すんじゃない!
歳上おばさんなんだからからかうのはよくないよ。あ、歳上は知らないか。
とりあえず、休もう。色々はそれからだ。